「まさか ジープで来るとは」
せきしろ×又吉直樹 作
幻冬舎 刊
・・・・・又吉直樹の句・・・・・・
空想の中でも妥協する
こんな大人数なら来なかった
薄い手相だ
自分の分は無いだろう 土産に怯える
新しい鞄を見て 旅への意気込みにひく
病んでいるのかと馬鹿が聞いてくる
鍋沸騰しろ 会話が無い
巨人に踏んでほしい人がいる
自分が注文した料理が余っている
独りなのは真夜中のせいだけではない
・・・・・・せきしろの句・・・・・・・・・
手のひらに空気と爪の跡
思い出しすぎて何もできない
少しの傷でも捨てたくなるのに
走らなくても間に合ったんじゃないか
カレー食べるんだったら 次で降りるが
家にいると決めた日の夕焼けが誘う
約束して帰り道面倒になる
キリギリスが死んで クワガタが逃げた日
第九の中 ひとり年末
八両編成だった