アリストクラート (Aristocrat)社は、1953年に豪州で設立されたスロットマシンメーカーです。カジノ業界の見本市では、少なくとも90年代には既に他の大手メーカーに引けを取らない大きなブースで出展していましたが、ワタシがラスベガス(ネバダ州)でその機械を見るようになったのは2000年前後、ビデオスロットが急激に発達してからのことだったと記憶しています。
アリストクラートがネバダに進出して間もない2002年、50のペイラインを持つ「50 LIONS(フィフティーライオン)」と言うビデオスロットが画期的なボーナスゲームシステムを搭載してヒットしました。更にその続編となる、100のペイラインを持つ「100 LIONS(ワンハンドレッドライオン)」も大ヒットしました。
アリストクラートの製品は、豪州の法律によってスロットマシンを「ポーカーマシン(豪州では「ポーキ―マシン」と呼ぶ)」と強弁する必要があり、そのためシンボルにはトランプを示唆する「A、K、Q、J、10」などのシンボルが小当たり用として採用されています。ワタシはまずそれに馴染めないところがありました。また、その頃のビデオスロット全般に言えることでしたが、ペイラインが多くどこのラインに何の当たりが発生したかがわかりにくいため、あまり手を出す気になれませんでした。
ワタシの意識が変わったのは、2008年に発売された「Buffalo(バッファロー)」からでした。「バッファロー」に採用された「Reel Power」システムは、従来のペイラインと言う概念では無く、リールのどこにでも現れてさえいれば良かったので、何がどこで当たったかで悩む必要がありませんでした。さらにボーナスゲームでは爆裂なアタリがしばしば出ることでも大人気となりました。更に続編が作られるたびにまた大ヒットすることを10年以上に渡って繰り返し、他社も真似をして似たような作風の機械を作りました。
アリストクラートの凄いところは、その快進撃がバッファローシリーズに留まらなかった点にあります。2016年に売り出した新ボーナスシステム「Lightning Link」がまたもや大ヒットし、その後のアリストクラートの製品の多くに採用され続けているだけでなく、これもまた他社が似たようなボーナスシステムを真似るようになったことで、アリストクラートはバッファローから数えて20年以上の長きに渡ってスロットマシン界のトレンドを作り上げたことになります。
そのアリストクラートが、既にBallyがホッパーを搭載してスロットマシンに革命を起こした後(関連記事:米国「Bally(バーリー)」社に関する思い付き話(2))の1966年にどんなスロットマシンを作っていたかと言うと、実はまだセガと同じく、従来の機構と大差のない、電気が無くても作動するメカニカルスロットを作っていたのでした。
アリストクラートが1966年の新製品として頒布したフライヤーの表紙側(上)と中側(下)。ハードカバーの本の表紙のように、左右両端が折り込まれて、全8ページのような構成になっている。
表紙側の左半分(上)と、表紙側の右半分(下)の拡大図。
中側の左半分(上)と、表紙側の右半分(下)の拡大図。
ただし、オペレーションがしやすいように筐体前面が開くようにしたり、筐体下部を手前に引き出すことでキャッシュボックスにアクセスできる
(関連動画:one arm bandit Aristocrat Arcadian(Youtube))など、オペレーションのための工夫がされている点では、セガの「スターシリーズ」(関連記事:SEGA MAD MONEYがやって来た!(2):MAD MONEYの解剖その1)よりは洗練されていたとは言えそうです。
【お知らせ】10月8日より1週間、ラスベガスに行ってまいります(4年ぶり)ので、来週日曜日の更新はお休みさせていただきます。なにとぞご了承ください。
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