去る25日(金)、幕張メッセで開催された、AM業界のトレーディングショウ「JAEPOショウ」を視察してまいりました。
会場の広さは僅か2スパンで、この業界の市場規模がいかに縮小しているかが伺われるところですが、それでも残っているメーカーたちはいろいろと知恵を絞って新しいアミューズメントにチャレンジしています。
今回のショウで最も人々の耳目を集めたのは、おそらく二つの会社からピンボール機が出展されていたことではないかと思います。これはおそらく、JAEPOショウの前身であるJAMMA/AOU両ショウを含んで、20年か、ひょっとするとそれ以上ぶりのことではないでしょうか。
今回出展されたピンボールは、ホットトイズジャパン社より米国Stern Pinball社の6機種と、バンダイナムコテクニカ社よりやはり米国Jersey Jack Pinball社の3機種です。
ホットトイズジャパン社のブース(上)と、バンダイナムコテクニカ社のピンボールが展示されていた一角。
AM市場におけるピンボール機は、1980年初期に一度危機的状況に陥りましたが、1984年にWilliamsが発売した「Space Shuttle」を機に再び回復し、その後はデータイーストの参入もあり、一定の人気は保っていました。しかし、1990年代には再び退潮傾向に入り、1996年にはGottliebが、1999年にはBallyと Williamsが相次いでピンボールから撤退して、ピンボールというジャンルはほぼ絶滅に近い状態となってしまいました。
しかし、ピンボール界のレジェンドと言われる「Gary Stern」氏が、データイーストピンボール社の流れを汲むセガピンボール社を買収しStern Pinball社として、ピンボールの日を消すまいと孤軍奮闘していました。そして2011年には「Jack Guarnieri」氏がJersey Jack Pinball社を立ち上げ、二つ目のピンボールメーカーができました。
とは言え、ラスベガスのダウンタウンにあるゲームアーケードの例(関連記事:ラスベガス半生中継・2018年10月 (7) DAY 7~帰国まで)を見ても見当がつくように、必ずしもAM市場でピンボール機が再び(というか三度)活況を呈するようになってきているわけでもなさそうです。ではなぜ今これだけのピンボール機が作られているかというと、オペレーターでだけはなく、個人がピンボールを購入できるルートを設けるようになったからであるようです。
ピンボールが殆ど生産が行われなくなった2000年以降は、好事家や篤志あるコレクターによってピンボールを集めたロケが世界のあちこちに作られ、それらはピンボールファンの聖地と目されて各地から同好の士がやって来ます。ピンボールとはかくも熱狂的なファンが世界に存在する、ある意味特殊なゲーム分野と言えましょう。そうであれば、個人が趣味で車やバイクを買うのと同じように、ピンボールだって個人需要があってもおかしくはありません。なお、ホットトイズ社が扱うピンボールの価格は、スタンダード版が120万円、プレミアム版が160万円とのことです。
そんな事情はともかくとして、いずれにせよ、ピンボールが復活するのであれば、ファンにとってはうれしいことです。住宅事情が悪い日本ではピンボール台を置ける家は少ないでしょうから、やはり設置されるとしたらゲーム場とか飲食店などになるでしょう。ここで問題になるのはメンテナンスです。メカの塊で消耗部品も多いピンボールは故障しやすく、そしてロケーションにはピンボールを修理するスキルを持つ係員はほとんどいなくなっているので、ホットトイズジャパン社とバンダイナムコテクニカ社には、どこまでバックアップ体制が取れるかも問われることになると思います。どうにかしてこの問題をクリアして、日本でもピンボールを復活させてもらいたいものです。
ホットトイズジャパン社によるStern Pinball社の機種から、スター・ウォーズスタンダード版(左)とビートルマニア(右)。スターウォーズにはこの他にプレミアムエディションがある。ビートルマニアは、最近のピンボールには珍しい、ランプレーンもマルチレベルもない、70年代のEM機のようなプレイフィールで、今回ワタシが最も期待していた機種だった。
同じくStern Pinball社の機種から、ガーディアンズオブギャラクシー(左)とバットマン(右)。バットマンは、TV放映時の映像がカラーで流れる。
Stern Pinball社の機種から、デッドプール。
バンダイナムコテクニカ社による、Jersey Jack Pinball社の3機種。左からウィザード・オブ・オズ、パイレーツ・オブ・カリビアン、それにホビット。
バンダイナムコテクニカ社は昨年に引き続いての出展ですが、これまでの日本のゲームセンターには無いゲームを精力的に紹介している会社です。確かに、今までと同じことをしていては縮小を続けるAM業界のV字回復は望めません。このような試みを、今後もずっと続けて行っていただきたいものです。
会場の広さは僅か2スパンで、この業界の市場規模がいかに縮小しているかが伺われるところですが、それでも残っているメーカーたちはいろいろと知恵を絞って新しいアミューズメントにチャレンジしています。
今回のショウで最も人々の耳目を集めたのは、おそらく二つの会社からピンボール機が出展されていたことではないかと思います。これはおそらく、JAEPOショウの前身であるJAMMA/AOU両ショウを含んで、20年か、ひょっとするとそれ以上ぶりのことではないでしょうか。
今回出展されたピンボールは、ホットトイズジャパン社より米国Stern Pinball社の6機種と、バンダイナムコテクニカ社よりやはり米国Jersey Jack Pinball社の3機種です。
ホットトイズジャパン社のブース(上)と、バンダイナムコテクニカ社のピンボールが展示されていた一角。
AM市場におけるピンボール機は、1980年初期に一度危機的状況に陥りましたが、1984年にWilliamsが発売した「Space Shuttle」を機に再び回復し、その後はデータイーストの参入もあり、一定の人気は保っていました。しかし、1990年代には再び退潮傾向に入り、1996年にはGottliebが、1999年にはBallyと Williamsが相次いでピンボールから撤退して、ピンボールというジャンルはほぼ絶滅に近い状態となってしまいました。
しかし、ピンボール界のレジェンドと言われる「Gary Stern」氏が、データイーストピンボール社の流れを汲むセガピンボール社を買収しStern Pinball社として、ピンボールの日を消すまいと孤軍奮闘していました。そして2011年には「Jack Guarnieri」氏がJersey Jack Pinball社を立ち上げ、二つ目のピンボールメーカーができました。
とは言え、ラスベガスのダウンタウンにあるゲームアーケードの例(関連記事:ラスベガス半生中継・2018年10月 (7) DAY 7~帰国まで)を見ても見当がつくように、必ずしもAM市場でピンボール機が再び(というか三度)活況を呈するようになってきているわけでもなさそうです。ではなぜ今これだけのピンボール機が作られているかというと、オペレーターでだけはなく、個人がピンボールを購入できるルートを設けるようになったからであるようです。
ピンボールが殆ど生産が行われなくなった2000年以降は、好事家や篤志あるコレクターによってピンボールを集めたロケが世界のあちこちに作られ、それらはピンボールファンの聖地と目されて各地から同好の士がやって来ます。ピンボールとはかくも熱狂的なファンが世界に存在する、ある意味特殊なゲーム分野と言えましょう。そうであれば、個人が趣味で車やバイクを買うのと同じように、ピンボールだって個人需要があってもおかしくはありません。なお、ホットトイズ社が扱うピンボールの価格は、スタンダード版が120万円、プレミアム版が160万円とのことです。
そんな事情はともかくとして、いずれにせよ、ピンボールが復活するのであれば、ファンにとってはうれしいことです。住宅事情が悪い日本ではピンボール台を置ける家は少ないでしょうから、やはり設置されるとしたらゲーム場とか飲食店などになるでしょう。ここで問題になるのはメンテナンスです。メカの塊で消耗部品も多いピンボールは故障しやすく、そしてロケーションにはピンボールを修理するスキルを持つ係員はほとんどいなくなっているので、ホットトイズジャパン社とバンダイナムコテクニカ社には、どこまでバックアップ体制が取れるかも問われることになると思います。どうにかしてこの問題をクリアして、日本でもピンボールを復活させてもらいたいものです。
ホットトイズジャパン社によるStern Pinball社の機種から、スター・ウォーズスタンダード版(左)とビートルマニア(右)。スターウォーズにはこの他にプレミアムエディションがある。ビートルマニアは、最近のピンボールには珍しい、ランプレーンもマルチレベルもない、70年代のEM機のようなプレイフィールで、今回ワタシが最も期待していた機種だった。
同じくStern Pinball社の機種から、ガーディアンズオブギャラクシー(左)とバットマン(右)。バットマンは、TV放映時の映像がカラーで流れる。
Stern Pinball社の機種から、デッドプール。
バンダイナムコテクニカ社による、Jersey Jack Pinball社の3機種。左からウィザード・オブ・オズ、パイレーツ・オブ・カリビアン、それにホビット。
バンダイナムコテクニカ社は昨年に引き続いての出展ですが、これまでの日本のゲームセンターには無いゲームを精力的に紹介している会社です。確かに、今までと同じことをしていては縮小を続けるAM業界のV字回復は望めません。このような試みを、今後もずっと続けて行っていただきたいものです。