東京とラスベガス1往復で、当時は1万数千マイルが溜まりました。従って、1年に4往復すれば、概ね5万マイルに達します。特別なキャンペーンがあれば3往復でも達成できる年もありました。しかし、不慮の出来事により、事前に計算していた通りのマイルが稼げない年もありました。
あと少しマイルが足りないと言うときは、わざわざ他の都市を経由したり、ANAで国内旅行をするなどの工夫をします。2011年の場合は、羽田―大阪を往復しました。日帰りでも良かったのですが、せっかくの機会なので大阪で1泊しました。
ワタシは大阪には土地勘がなく、現地では、電車を利用して適当に知っている名前の場所をうろついたのですが、その中に天王寺が含まれていました。その天王寺で、ワタシはなんともレトロな雰囲気のゲームセンター、「かすが娯楽場」に出会ってしまったのでした。
かすが娯楽場(大阪・天王寺)の入り口付近。
軒先に連なるアサヒビールの提灯や、外壁に掲げられた光看板の「ボッちゃんもトウちゃんも」というコピーは、いかにも昭和を感じさせてくれます。
このコピーは昭和40年代のセンスのようにも思える。だが、それが良い。
これらだけでも十分郷愁をそそるものではありますが、外壁にはもう一つ、ワタシの脳の記憶の座の、奥深い部分を刺激する光看板がありました。
ワタシの脳の記憶の座を強く刺激した光看板。ルーレットをモチーフとしたと思われる円の中に、「KING OF KINGS」とある。
これは間違いなく過去にどこかで見ているはずのデザインでしたが、その場では元ネタが思い出せません。東京に帰ってからさっそく手持ちの資料を調べてみたら、その正体は結構あっさり見つかりました。
ユニバーサル「KING OF KINGS」(1977)。
業界誌「アミューズメント産業」77年6月号に、ユニバーサルが開発したメダルゲーム、「KING OF KINGS」の広告が掲載されていました。ルーレットというモチーフ、字体ともに、かすが娯楽場の看板と相当な部分で一致します。
「KING OF KINGS」は、1974年にセガが発売した初の国産メダルゲーム機「FARO」(関連記事:初の国産メダルゲーム機の記憶)を、実際にボールを転がして出目を決めるメカ式のゲームに翻案したような内容でした。ワタシの記憶では、それほど大きくヒットした機械でもないと思っていたのですが、一つのゲームセンターがそのデザインを看板に取り込もうと考えるくらいにはインパクトがあったのでしょう。ワタシが訪れたときのかすが娯楽場にはビデオゲームしか設置されていませんでしたが、70年代にはメダルゲームも設置してあったのかもしれません。
天王寺のこの界隈には、他にスマートボール場や、昔ながらのパチンコ台ばかり設置しているパチンコ店があり、いずれまた訪れてみたいと思わせてくれるところですが、現在のワタシはANAのスーパーフライヤーズカードを取得しており、マイル修行のついでにという動機がなくなってしまったので、なかなか次回のチャンスを得られずにおります。