半世紀前に稼働していたコインマシンを、1975年11月に刊行された「'76 遊戯機械名鑑」(以下、76年名鑑)から見て行こうという趣旨の本シリーズ、今回は「メダルゲーム」の最終回、「グループゲーム機」です。
「グループゲーム」とは、一つのゲーム結果を複数のプレイヤーで共有するゲームのことで、現在は「マスメダルゲーム」と呼ばれるのが一般的です。しかし、複数のサテライトを有するゲーム機であれば、大型プッシャー機のように必ずしも同じゲーム結果を共有しているとは限らないものでも、このカテゴリーに入れられるのが通例です。
「グループゲーム機」は、日本にメダルゲームと言うジャンルができた当初は「ジャパン・オーバーシーズ・ビジネス(J.O.B.)」社が輸入する英国製の機械が殆どだったように記憶しています。米国製品の例は思いつきません。
それが、1973年にセガが8人用プッシャー「シルバー・フォールズ」を発売し、翌年に5人用電光ルーレットの「ファロ」(関連記事:初の国産メダルゲーム機の記憶)と10人用のメカ競馬「ハーネスレース」(関連記事:初期の国産メダルゲーム機(3) 競馬ゲームその1・ハーネスレース(セガ, 1974))と立て続けにグループゲーム機を開発して以降、タイトー、ユニバーサル、任天堂も参入してきて国産のメダルゲーム機が増え始めたのが、この76年名鑑が編纂されていた1975年という時期でした。
・グループビンゴ:(関連記事:セガのマスビンゴゲーム(2) グループビンゴ(Group Bingo,1975))
・ダークホース:(関連記事:初期の国産メダルゲーム機(4) 競馬ゲームその2・1975年の競馬ゲーム)
・ギャラクシーフォールズ:(関連記事:初期の国産メダルゲーム機(8) タイトー1975)
・シーソーボール:これまで拙ブログで採り上げたことが無い。シーソーのように傾くプレイフィールド上のボールが何番のポケットに入るかを予想するゲームだったと思うが、一度見たことがあるだけで遊んではいないので確信が持てない。後述の「トート・ロール・アップ」と関連があるかもしれない。
・ゴールデンカップ:
・グランドフォールズ:
・デッドヒート:以上3機種はいずれもタイトーのグループゲーム。(関連記事:初期の国産メダルゲーム機(8) タイトー1975)
・ケンタッキーダービー:ユニバーサルの電光競馬ゲーム。(関連記事:初期の国産メダルゲーム機(4) 競馬ゲームその2・1975年の競馬ゲーム)
・ザ・ダービー:sigma初の自社製メダルゲーム機。開発費に5千万円かけたとの話は、当時は破格だった(関連記事:sigma「THE DERBY」シリーズの系譜メモ (と、GWに伴う更新スケジュール変更のお知らせ)。
・ニューウィンターブック:コンセプトからタイトルまで、オリジナルを丸パクリしたユニバーサルの「ダービーゲーム」(関連記事:初期の国産メダルゲーム機(6) ユニバーサル その2a)。
・エキサイティングレース:ワタシはこの機械は業界誌の広告でしか見たことが無い。グループゲームとされているが本来は一人用。Gマシン界隈では、コインの投入口の数を、参加できる人数と言い変える宣伝が良く行われた。
・サンダーフォー
・ジャンボダービー:以上2機種はいずれもGマシンの「ダービーゲーム」をグループゲーム化したもの。
・ハーネス・レース:国産初のメカ競馬ゲーム(関連記事:初期の国産メダルゲーム機(3) 競馬ゲームその1・ハーネスレース(セガ, 1974))。
・ダービーグランプリコイン:一つ前の「エキサイティングレース」と同じく、本来は一人用の「ダービーゲーム」。
・ハーネスデラックス:セガの「ハーネスレース」のコピー。
・ハーネスダービーと・ワンダフルシックス:「ダービーゲーム」をグループゲーム化したもの。
・ビッグシックス:セガの「ファロ」のコピー。
このページの機械の製造者とされている「フジエンタープライズ」についてはいろいろと怪しい話を聞いているが、迂闊に公表できない。なお、現存はしない。
・ペニーダイス:どのようなゲームかよくわからないが、英国製のゲーム機のように思われる。「オリエンタル興業」は他にも英国クロンプトン社の「マジックトッパ―ズ」の類似機種を扱っていたりして(関連記事: 「マジックトッパ―ズ (Magic Toppers)」の謎)、謎が深くよくわからない。
・ニュー・ペニー・フォールズ
・ダブル・フォールズ
・スピナ・ウィナー:以上3機種はいずれも英国クロンプトン社のコインプッシャーで、この頃は「ジャパン・オーバーシーズ・ビジネス(J.O.B.)」が扱っていた(関連記事:プッシャーに関する思いつき話(2):日本におけるクロンプトン)。
・ホイール・エム・イン
・ダービーレーサー
・ケンタッキー・ダービー
・オート・ルーレット:これら4機種はいずれもJ.O.B.が扱っていた英国製のグループゲーム機。ワタシは1974年の段階でこれらを後楽園で遊んでいる(関連記事:1974年の後楽園)。
・ル・マン:これもJ.O.B.が輸入していた英国製グループゲーム。
・ゴールデンボール:これもやはりJ.O.B.が輸入していた英国製グループゲームだが、ワタシはロケで見たことが無い。1986年にsigmaがリメイクしたが、普及はしなかった。
・ディング・ア・ベル:やはりJ.O.B.が輸入していた英国製グループゲーム。どこでも見られるような機械ではなかったが、ワタシは1975年に自宅近くのダイエー碑文谷店で遊んでいる(関連記事:さよならダイエー碑文谷店)。
・トート・ロールアップ:これについては詳しいことはわからないが、タイトーの「シーソーボール」の元ネタのように思える。
・プント・バンコ:(関連記事:初期の国産メダルゲーム機(10) プント・バンコ(SEGA, 1975))
・アスコット:セガが1966年頃に作った「ウィンターブック」の模倣品。いわゆる「ダービーゲーム」にくくられるゲーム機だが、日本のアングラ市場に出ていたかどうかはわからない。
・シルバーフォールズ:国産初のメダルゲーム機。(関連記事:初の国産メダルゲーム機:シルバーフォールズ)
・ファロ:(関連記事:初の国産メダルゲーム機の記憶)。
・ダービーグランプリ:これも数多く作られた「ダービーゲーム」の一つ。メーカーの「ワイプ」は、以前は「本木(もとき)」の社名でやはりダービーゲームを扱っており、電取法という「別件逮捕」で摘発された過去があるが、懲りていないようだ。
・ウィナーズ・サークル:米国Bally社製の2P用メカ競馬機(関連記事:NASAが発明したゲーム機「ウィナーズ・サークル」)。ワタシはsigmaの「ザ・ダービー」の元ネタではないかと疑っている。
当然と言えば当然なのですが、殆どの機種は拙ブログで過去に触れていました。ハイパーリンクを辿ればもう少し詳しい話や周辺情報が得られるかもしれません。
(このシリーズおわり)