未完のウェブサイト「コインマシンの世界」のトップページには、興味深いコンテンツがたくさんありますが、この中でワタシがとりわけ気になったのは、連載記事「新コインマシンの文化誌」内の、「第6回 マックスアライドとバリー、IGTの関係(幻のインタビュー)」及び「第7回 アメリカのスロットマシンメーカーとパチスロメーカーの関係」です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/bc/62e1917a0f208c6fd961a5b053907abf.jpg)
ウェブサイト「コインマシンの世界」から、「新コインマシンの文化誌」の、ワタシが特に気になっている部分(赤矢印と赤下線)のスクリーンショット。ところで、細かいことだが、表題は「新コインマシンの文化史」の変換ミスではないだろうか。
しかし、この目次では、ここから本文に飛ぶリンクは張られていません。オーサーの渡邊靖之氏は、ここに着手する前に物故されてしまったようです。
なぜこの記事がそんなに気になるかというと、現在のパチスロが採用する「3コイン・5ライン」の嚆矢となった風営7号機(現在の4号機にあたる)「ジェミニ」(マックス製作所・1977)という機種は、当時の日本のメダルゲーム場に設置されているスロットマシンの殆どを占めていた米国バーリー社の製品と非常に多くの部分で酷似していたからです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/3c/752331fabecd5b0d6e2620ee03ba4cc9.jpg)
ジェミニ(1977)のフライヤーと、バーリーのModel922(5-Line Progressive・1972)のフライヤー。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/e1/baf115e677f9ab8ff80b4e686c73af2e.jpg)
さらにジェミニとバーリーのModel922を並べて比較。
似ているのは全体的な外観だけでなく、細部に至っても同様です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/c4/dd4d1020df913badb013e9e4e870c348.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/e5/c80e48c742777871913495c6976f70e0.jpg)
ジェミニのウィンドウ部及びその周辺(上)と、バーリーのModel873A(5-Line Pay・1970)の同部分(下)。
これを見ると、ペイラインを示す矢印やラインのデザインばかりでなく、コイン投入口の形状と、見にくいですがそこに刻印されている「PRESS TO RETURN↑COIN」の文言まで一致しています。さらに言うと、シンボルのデザインまでほとんど同じです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/4b/3646bf3d13ba9d46821917b1430278d0.jpg)
ジェミニのシンボル(上)と、バーリーのModel 891(Super Continental・1970)で使用されていた7、ベル、オレンジ、プラムのシンボル(下)。ただし、1910年にフルーツシンボルが登場して以降、多くのメーカーが殆ど同一と言って良いデザインのシンボルを使い続けているケースが多いので、必ずしもジェミニがバーリーを真似たと断言することまではできない。
一体、この類似性にはどんな秘密が隠されているのでしょうか。ワタシが初めてジェミニを見て以来感じ続けていたこの謎に対する答えが、きっとこのコンテンツの本文中にあったに違いありません。
それから数年が経ち、例によってネットで調べ物をしていたワタシは、どうやら「コインマシンの世界」と同じく渡邊靖之氏がオーサーであるらしい、やはり未完のウェブサイト「P業界極秘ファイル」を発見しました。ひょっとして何か関連情報でもあるかと期待して閲覧したところ、「Amusement Japan」という7号業界の業界誌の別冊として発行された「PACHISLOT2001」に、渡邊氏による「日米スロットマシンメーカーの深い関係/伝説のパチスロ第1号/「ジェミニ」誕生秘話」という記事が掲載されていることがわかりました。
ワタシはさっそく版元に電話をして「PACHISLOT2001」の在庫は残っているかと問い合わせたところ、「僅かだがある」との答えを得て、先方が言う代金3530円を銀行から振り込みました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/e8/040d19a73f789a1527ea46a9f80b4050.jpg)
「PACHISLOT2001」の表紙。「完全保存版」と銘打たれている。奥付には「2001年2月25日発行」とある。
届いた本はムック形式ですが、そのほとんどが業界関連企業の広告で埋め尽くされており、まるで広告のチラシを売るための本であるかのようにさえ見えました。しかし、本題である記事は確かに掲載されており、その冒頭では、「(前略)しかしパチスロ業界の出発点となった「ジェミニ」が生まれるまでには、アメリカのバリー社の協力があったことは、これまで余り知られていない(後略)」と述べられていました。
記事の内容は、ジェミニを開発したマックス(この当時、「マックス製作所」、「マックス商事」、「マックスアライド」、「マックスブラザーズ」など、「マックス」を名乗る類似の社名がいくつもありましたが、いずれも実態は同一と思われるので、以降は単に「マックス」とします)の角野博光氏へのインタビューを中心に進められており、マックスとバーリーの間で行われたやり取りが述べられているのですが、このまま続けると長くなってしまいそうなので、今回はここまでとさせていただき、続きは次回で詳しく述べようと思います。
なお、拙ブログでは、米国の「Bally」社は、「バーリー」と記述していますが、今回の記事の出典では「バリー」と表記されているため、出典から引用する部分では、それに倣って「バリー」と記述することにいたします。
(つづく)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/bc/62e1917a0f208c6fd961a5b053907abf.jpg)
ウェブサイト「コインマシンの世界」から、「新コインマシンの文化誌」の、ワタシが特に気になっている部分(赤矢印と赤下線)のスクリーンショット。ところで、細かいことだが、表題は「新コインマシンの文化史」の変換ミスではないだろうか。
しかし、この目次では、ここから本文に飛ぶリンクは張られていません。オーサーの渡邊靖之氏は、ここに着手する前に物故されてしまったようです。
なぜこの記事がそんなに気になるかというと、現在のパチスロが採用する「3コイン・5ライン」の嚆矢となった風営7号機(現在の4号機にあたる)「ジェミニ」(マックス製作所・1977)という機種は、当時の日本のメダルゲーム場に設置されているスロットマシンの殆どを占めていた米国バーリー社の製品と非常に多くの部分で酷似していたからです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/df/f89525368b6e1b46c0dcb73552b8fa37.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/3c/752331fabecd5b0d6e2620ee03ba4cc9.jpg)
ジェミニ(1977)のフライヤーと、バーリーのModel922(5-Line Progressive・1972)のフライヤー。
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さらにジェミニとバーリーのModel922を並べて比較。
似ているのは全体的な外観だけでなく、細部に至っても同様です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/c4/dd4d1020df913badb013e9e4e870c348.jpg)
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ジェミニのウィンドウ部及びその周辺(上)と、バーリーのModel873A(5-Line Pay・1970)の同部分(下)。
これを見ると、ペイラインを示す矢印やラインのデザインばかりでなく、コイン投入口の形状と、見にくいですがそこに刻印されている「PRESS TO RETURN↑COIN」の文言まで一致しています。さらに言うと、シンボルのデザインまでほとんど同じです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/4b/3646bf3d13ba9d46821917b1430278d0.jpg)
ジェミニのシンボル(上)と、バーリーのModel 891(Super Continental・1970)で使用されていた7、ベル、オレンジ、プラムのシンボル(下)。ただし、1910年にフルーツシンボルが登場して以降、多くのメーカーが殆ど同一と言って良いデザインのシンボルを使い続けているケースが多いので、必ずしもジェミニがバーリーを真似たと断言することまではできない。
一体、この類似性にはどんな秘密が隠されているのでしょうか。ワタシが初めてジェミニを見て以来感じ続けていたこの謎に対する答えが、きっとこのコンテンツの本文中にあったに違いありません。
それから数年が経ち、例によってネットで調べ物をしていたワタシは、どうやら「コインマシンの世界」と同じく渡邊靖之氏がオーサーであるらしい、やはり未完のウェブサイト「P業界極秘ファイル」を発見しました。ひょっとして何か関連情報でもあるかと期待して閲覧したところ、「Amusement Japan」という7号業界の業界誌の別冊として発行された「PACHISLOT2001」に、渡邊氏による「日米スロットマシンメーカーの深い関係/伝説のパチスロ第1号/「ジェミニ」誕生秘話」という記事が掲載されていることがわかりました。
ワタシはさっそく版元に電話をして「PACHISLOT2001」の在庫は残っているかと問い合わせたところ、「僅かだがある」との答えを得て、先方が言う代金3530円を銀行から振り込みました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/e8/040d19a73f789a1527ea46a9f80b4050.jpg)
「PACHISLOT2001」の表紙。「完全保存版」と銘打たれている。奥付には「2001年2月25日発行」とある。
届いた本はムック形式ですが、そのほとんどが業界関連企業の広告で埋め尽くされており、まるで広告のチラシを売るための本であるかのようにさえ見えました。しかし、本題である記事は確かに掲載されており、その冒頭では、「(前略)しかしパチスロ業界の出発点となった「ジェミニ」が生まれるまでには、アメリカのバリー社の協力があったことは、これまで余り知られていない(後略)」と述べられていました。
記事の内容は、ジェミニを開発したマックス(この当時、「マックス製作所」、「マックス商事」、「マックスアライド」、「マックスブラザーズ」など、「マックス」を名乗る類似の社名がいくつもありましたが、いずれも実態は同一と思われるので、以降は単に「マックス」とします)の角野博光氏へのインタビューを中心に進められており、マックスとバーリーの間で行われたやり取りが述べられているのですが、このまま続けると長くなってしまいそうなので、今回はここまでとさせていただき、続きは次回で詳しく述べようと思います。
なお、拙ブログでは、米国の「Bally」社は、「バーリー」と記述していますが、今回の記事の出典では「バリー」と表記されているため、出典から引用する部分では、それに倣って「バリー」と記述することにいたします。
(つづく)