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【小ネタ】一人用メダルゲーム「ピカデリーサーカス」とセガのファロ

2018年02月04日 19時36分27秒 | スロットマシン/メダルゲーム
ピカデリーサーカス(PICCADILLY CIRCUS)とは、コナミが1975年末頃から1976年ころに発売を始めた、一人用メダルゲーム機です。


業界誌「アミューズメント産業」1976年1月号に掲載された「ピカデリーサーカス」の広告。入稿時の原稿サイズに問題があったのか、ページの右側が途中で切れており、一部内容が読み取れない。


同じくアミューズメント産業の1976年6月号に掲載されたピカデリーサーカスの広告。「直射日光下でもボールの点滅がはっきり見えます」と、シングルロケを視野に入れていると思しき記述がある。

ピカデリーサーカスは、画像を見ての通り、ルーレットをモチーフとしたゲームです。ワタシがこの機械を初めて見たのは、おそらくダイエー碑文谷店の7Fにあったゲームコーナーではなかったかと記憶しています(関連記事:さよならダイエー碑文谷店)。その時に得た感想は、セガが1974年に発売した「ファロ」(関連記事:初の国産メダルゲーム機の記憶)にそっくりというものでした。ダイエー碑文谷店のゲームコーナーにはファロも設置されていましたが、両者を見比べると、盤面の数字の並びまで殆ど同じで、パクリと言っても良いほどの似かたでした。


ファロの盤面(左)とピカデリーサーカスの盤面(右)。ファロでは「2」となっている二つの目が、ピカデリーサーカスでは「0」にされている。

ファロとの相違点と言えば、ピカデリーサーカスはファロに無かった「0」というハズレの目を作り出していました。また、ファロではメダル2枚までしかベットできなかった「30」の目は、他の数字と同じようにメダル4枚までベットできるようになっていました。

そして、ファロは5人同時プレイが可能な大型機(当時としては)だったため、導入される市場はゲームセンターに限られましたが、ピカデリーサーカスは小型の一人用の機械だったため、駄菓子屋などのいわゆるシングルロケに広く普及しました。

もう一つ重大な相違点として、ファロは、出目の決定を機械的な動作で得ていました(前出初の国産メダルゲーム機の記憶参照)が、ピカデリーサーカスはICにより電子的に決定するようになっています。これはハイテクに進歩したように見えますが、ただ、それによってプレイヤーのベット状況を見て出目を操作するというインチキが行われるようになりました。

ピカデリーサーカスはシリーズ化されるまでになり多くの小さな子供たちに遊ばれ、シングルロケのエース的なポジションとなりました。これにつられて、UPL、ナムコ、カプコンといった同業他社も類似の機種を作るようになり、一つのジャンルと言って良い迄に発展しました。現在「キッズメダル」と呼ばれる子供用メダルゲームのジャンルがありますが、これはこのピカデリーサーカスから始まったと言っても良いと思います。

ピカデリーサーカスは多くの元がきどもの記憶に残ったにもかかわらず、そのオリジナルネタと思しきセガのファロは、殆ど忘れ去られています。というわけで、この機会にワタシはここで「ピカデリーサーカスちゅうゲーム機の元ネタに『ファロ』ちゅうゲーム機があったのだよ」と、ボソッとつぶやいておきたいと思います。

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