ワタシの手元に、「ローゼン・エンタープライゼス」のカタログのモノクロコピーがあります。表紙に「1960年」との書き込みがありますが、ピンボール機各社のマシンリストには1961年の機械が掲載されているので、実際にこのカタログが作成されたのは1961年以降と思われます。画質は悪く、不満の多いものではありますが、それでもこの時代のAM関連の資料は殆ど残されていないので貴重です。
ローゼン・エンタープライゼスのカタログの表紙。所在地は千代田区竹平町(現在の千代田区一ツ橋)の「リーダーズダイジェストビルディング」とある。左下に「1960年」との書き込みが見られるが、掲載されている機械には発売年を1961年としているものもある。
ご存じの方には今さらのことですが、「ローゼン・エンタープライゼス」は、後の「セガ・エンタープライゼス」の前身となった企業の一つです(関連記事:セガの歴史を調べていたら意外な話につながった話(1))。社長の「デイビッド・ローゼン」氏は元々米空軍に従軍しており、朝鮮戦争(1950~1953)時には日本及び極東に駐留しました。除隊後の1953年(1954年とする資料もある)、「ローゼン・エンタープライゼス」を立ち上げ、町の写真館で撮影するよりも安くしかもその場で出来る証明写真を提供する自動撮影機をオペレートして大成功しました。
日本の戦後復興が進み、1950年代も後半になると、それまではその日を生きるのに精いっぱいだった日本国民の間にも徐々にですがゆとりが生まれてきました。そこでローゼンは米国からAM機や自販機を輸入し日本で展開しはじめます。このカタログはそれから間もなくのもので、1ページ目には「各地営業所」として「日比谷ガン・コーナー」、「池袋西武屋上」、「梅田ゲーム・オ・ラマ」の画像が掲載されています。
画像:ローゼン・エンタープライゼスのカタログの1ページ目。日比谷ガン・コーナーには「2分で出来る写真」の文字が見える機械がある。池袋西武屋上には3台のキディライド、梅田ゲーム・オ・ラマには夥しいガンゲーム機と思しき機械が見えるが、ピンボール機が見当たらない。
カタログは全部で44ページあり、一度に全てはご紹介しきれません。今回は1回目としてアーケードゲームのページの一部をご紹介し、残りは次回以降としたいと思います。
【ローゼン・エンタープライゼスカタログより、アーケードゲーム編】
主にホッケーゲーム。日本でも三共などが類似機種を作成したが、これほどのバラエティはなかった。
バスケットボールや米式蹴球などスポーツテーマのゲーム機。下段右はゴルフのパッティングのゲームで、日本でも1980年代初頭頃に多く作られたが、この時代から既にあったことがわかる。
操り人形(上左)、キディライド(上中、中左)、ドライブゲーム(中央)、ガンゲーム(上右、中右)。左下は「Kiddie Football」とあるが、よくわからない。
左半分はユナイテッド社のピンボールの年代別リストで、1953年から1961年まである。右はボウリングゲーム。
ユナイテッド社のボウリングゲーム。ボールを転がすのではなく、シャッフルボードで使用するパックを滑らせるタイプらしい。
前ページに続き、ユナイテッド社のボウリングゲーム。上段右から二つ目は「SKEE BALL」系のゲームに見える。
シカゴコイン社のボウリングゲーム。
同じくシカゴコイン社のボウリングゲーム。こちらはボールを転がすタイプに見える。日本でも1970年代までは遊園地や温泉ホテルのゲームコーナーでよく見かけた。同一機種ではないが、類似機種は現在「デックス東京ビーチ」内の「台場一丁目商店街」にある「一丁目プレイランド」で遊ぶことができる。
同じくシカゴコイン社のボウリングゲーム。下段の中央と右は「スキーボール」の類似品。
次回につづく。