オールドゲーマーの、アーケードゲームとその周辺の記憶

コインマシンやギャンブルゲームやカジノの歴史的エピソードとか、時々カジノ旅行記とか、たまにスポーツやマンガとか。

【小ネタ】ラスベガスで大当たりを当てた時の税金の話

2024年01月21日 20時48分33秒 | 海外カジノ

拙ブログは2021年6月、「プログレッシブ・ジャックポットの進化の話」の中で、歌手の田端義夫さんがラスベガスで29万ドルの大当たりを引き当てたエピソードをご紹介して、「(当時のNHKの報道では)アメリカと日本の両方でかなりの額が税金に消えそう」と報じらている、としましたが、具体的にどのくらいのお金が田端さんの手元に残るのかは明言されておらず、下々としては気になるところでした。

先日、国会図書館でアサヒグラフのバックナンバーを眺めていたところ、偶然にもこの大当たりの記事を発見しました。

アサヒグラフ1979年9月14日号の、田畑義夫さんのジャックポットを報じる記事。モノクロだが見開き2ページで紹介されている。

この記事によると、田畑さんの奥方はメリーさん、ご息女はジャニスさんとおっしゃるとのことで、田畑さんは当時はまだ一般的ではなかった国際結婚をされていることを知りました(ただし、ウィキペディアによれば田端さんは3回離婚、4回結婚しているとのことで、これが何回目の結婚かは不明)。

それはさておき、問題は税金でいくら引かれるか、です。記事本文を読むと、「日本の国税庁によると、一回分の賭け金と50万円を引いた額の二分の一が税金となる」とあり、さらに「既に現地で三十パーセントほど差し引かれたということも聞いており、もちろんそれを引いた額に課税させていただく」と続いています。

さて、田端さんが当てた大当たりは29万ドルです。アサヒグラフによる邦貨換算では「約6400万円」とされているので、当時の為替レートは1ドル≒220.7円です。
ネバダ州では、海外からの旅行者がマシンゲームで1200ドル以上の当たりを引くと30%の税金が徴収されます。田端さんが大当たりを引いた機械はプログレッシブなので1万ドル未満の端数もあったはずですが、ここはざっと29万ドルで計算することにすると、ネバダ州での税額は8万7千ドルとなり、残るは20万3千ドル、邦貨換算で4480万2100円になります。

日本国内での税金の計算は、前述のとおり一回分の賭け金と50万円を引いた額の二分の一ということでした。1回の賭け金3ドルは662.1円ですから、4480万2100円から50万662円を引いた残りは4430万1438円で、この半分の2215万719円が日本国内で収める税金額となり、つまるところ田端さんの手元に残るお金は2265万1381円で、元の半分以下になってしまいました。

この大当たりが出た1979年当時、日本では「ジャンボ宝くじ」と称する大型宝くじが始まり、1等前後賞を合わせた賞金額は3000万円でしたから、それよりも低い金額となってしまいました(スロットマシンの確率がわからないので厳密な期待値の計算ができないためどちらが有利かは判断しません)。

現在の税制はこの当時とは違って、税金を払うのは日本国に対してだけで良くなっているはずなのですが、カジノでの税務処理は必ずしも統一されておらず、1200ドルを超えるジャックポットを出すたびに税金を取られている女房は少し憤慨しています。

関連する情報として、昨年、課税点となる1200ドルは何十年も前の基準であって現在なら5000ドルに相当するはずであるから法律を変えるべきだとの議論が行われているとの報道があったのですが、残念ながらまだ法改正があったとの報道は見ていません。次回の巡礼までに改正されていれば良いのですが(←大当たりが出せるつもりでいる目出度い人)。

24.01.22追記:SNSで、「現在の税額計算は、 『一回分の賭け金と50万円を引いた額の二分の一が税金』ではなく、 『一回分の賭け金と50万円を引いた額の二分の一に他の所得金額を加えて、その額に応じた税率で課税される』ではないか」とのご指摘をいただきました。ワタシは税金には詳しくありませんが、とりあえず本文の計算は、他の所得を考慮しない、あくまでも29万ドルだけを考えたものとの前提での計算とご承知おきいただければ幸いです。

コメントをくださった方、どうもありがとうございました。またお気づきのことがありましたらご指摘ください。


新ラスベガス半生中継2023年G2Eショウ(7) DAY 5・事実上の最終日

2023年12月03日 20時43分20秒 | 海外カジノ

本日の予定:
①日中はダウンタウンと、これまで行ってなかったストリップエリア西側でゲームをする。
③夜9時から、9月にオープンしたばかりの球形アリーナ「スフィア(Sphere)」でショウ鑑賞。
③日が変わって翌日未明2時にはホテルを出て帰国の途に就く。

**************

・朝からダウンタウンの最新カジノホテル「サーカ(Circa)」を覗く。かつての老舗「ラスベガスクラブ(Las Vegas Club)」は、今やストリップエリアに引けを取らない、ゴージャスなハイエンドカジノホテルに生まれ変わってしまった。

ラスベガスクラブ時代(上)と現在(下)の比較。

これも時代の変化というべきなのだろうが、ワタシ個人としては嬉しくない。

・同行者を引き連れてCircaの中を通過し、Boyd系列のカリフォルニアメインストリートステーションを覗く。名目としては、この両カジノをつなぐプロムナード(と言うのか?)にある、ワタシがラスベガス唯一の名物と認定する高級チョコレート店「Ethel M」でお土産を買うことだが、ワタシの真の目的はコロナ禍前にワタシの贔屓だったメインストリートステーションが現在どのように変化しているかを見ることだった。

・メインストリートステーションはコロナ禍以降は長く閉鎖されていた。現在は再開こそしていたが、テーブルゲームは稼働しておらず、「テーブルゲームは姉妹店カリフォルニアへどうぞ!」との看板が立っていた。また、マシンゲームがずいぶん間引かれており、ワタシが2回デルトロイヤルを引いているビデオポーカーのバンクも縮小されていた。密度が下がってスカスカになった印象を受けるカジノフロアにはETGが導入されていた。さらに悪いことに、このカジノではビデオポーカーでクワッズ以上の手を作ると、最大5000ドルが当たるというスクラッチカードをくれる「SCORE WITH 4」というプロモがあったのだが、その対象となる機械が限定されてしまっていた。後で調べたところでは、スクラッチカードがデジタル化されたとのこと(以前はアテンダントを呼んで、確認後にカードを受け取るアナログだった)だが、今回はそれを確認することはできなかった。名所だったダイニング「777(トリプルセブン)」は営業時間が大幅に縮小されており、この日は休みの日だった。時間帯のせいもあるかもしれないが、コロナ禍前の活気は感じられなかった。

・午後、かつて若干のスキル・ベースド・ゲーミング機を設置していた「オーリーンズ(The Orleans)」に移動。ワタシは専らプログレッシブ付きのビデオポーカーを遊ぶ。アップダウンの激しい展開でロイヤル様の降臨もなかったがスペシャルなクワッズが結構出てくれたので、若干お金が増えた。しかし、カジノ全体にどんな変化があったかはあまり記憶がない(てへぺろ)。

・夜はSphereに行くので少し早めに夕食を取っておこうとオーリンズを出たのが午後3時過ぎころ。最後くらいフルサービスのレストランで食べようということで、Sphereへ行き易く比較的安い場所としてロングホーン関連記事:ロングホーン・カジノのレストラン「チャックワゴン」)を目指そうとしたが、今月下旬に開催されるF1レースのための工事の影響で大渋滞が発生している。信号が1回変わってもやっと2台か3台が通過できるくらいしか進まない。1時間以上も車に閉じ込められた。やっとストリップに出たところで、ノースストリップの小規模カジノ「ジェリーズナゲット(Jerry's Nugget)」を目指すことに方針を変更し、ストリップを左折して北上する。渋滞が有名なストリップなのにすいすいと進む。

ワタシの口の悪い友人にはジェリーズナゲットを「貧乏カジノ」などと呼んだりする者もいるが、ここのカフェには名物と呼べるプライムリブやショートケーキなど見どころがあるので、これまでしばしば訪れている。ラスベガスに行った日本人男性の多くが連れていかれるストリップ小屋「パロミノ(Palomino)」とは交通量の多くない道を挟んだ向かいになるので、見たことがある人もいるだろう。

ジェリーズナゲットでは、ワタシは1/2ポンドハンバーガーを、他の3人はプライムリブと、4人でシェアするシュリンプカクテル、オニオンリング、サラダ、それにめいめいが飲み物を1品注文して、チップ込みで$200。店員は気が利いていて大変良かったので多少チップをはずんではいるが、それでもカフェで一人当たり$50も使う事があろうとは、コロナ禍前には思いもよらぬことだった。

①ジェリーズナゲットの外観。 ②シェア用に注文した3品。サラダは、これだけで腹いっぱいになれる素晴らしいボリューム。 ③ワタシが注文した1/2ポンドハンバーガー。バンズが大きい。

・食後、ジェリーズナゲットのカジノの中をうろついていたら、今どき珍しくクラップスのミニマムが$5であることを発見。同行者の一人はかねてから「クラップスでサイコロを投げたい」と言っていたので、ここで少しゲームをして行こうと誘う。オッズベットはダブル止まりだが、2-2-1サイドベット(アルゼのETGクラップスでは「Dice It Up」と呼んでいる)が2~3回当たったり、プレイスベットが良く効いたりして、$200ほどお金が増えた。

・Sphereはまだ工事中の部分があり、多くの人はPalazzoの駐車場に車を停め、徒歩で会場に向かうのだが、その進路の案内が貧弱だった。

①Sphereの遠景。 ②遠くから見ると全面が光っているように見える外壁も、近づくと画素のピッチが案外荒いことがわかる。 ③一つの画素は48個のLEDからできている。

入場は、予めスマホにチケットを登録しておき、入り口でセンサーにタッチする。

①球体の中は多階層の映画館のような造り。 ②AIで客と会話するロボットがいたりする。ただし歩かない。 ③ 座席番号によって振り分けられている入り口から場内に入る。 ④待機中。スクリーンには長方形の光しか見えないが、ショウが始まると赤い線の左側全面がスクリーンになり、没入感がすごいことになる(赤い線はワタシが書き込んだもので、実際には存在しない)。

・夜が明ければ帰国の途に就くが、ラスベガスの空港はしばしばセキュリティが混雑するので、またレンタカーに給油して返却する時間も考慮して、2時過ぎにはホテルを出ることにした。Sphereからホテルに戻ったのは12時過ぎだったので、まずは全員の荷物を事前に車に積みこんでおき、残ったわずかな時間をカジノで過ごす。この時ワタシは、フォークィーンズのプレイヤーズカードが見当たらないことに気づいた。サービスの窓口はもう閉まっており、残る2時間、カードなしで悔恨の歯ぎしりをしながらゲームをせざるを得なかった。しかし、25¢DDBではキッカーがローカードの4デュース、最後の最後と思って始めた$1DBでも1回クワッズが出てくれたので、収支としてはプラスで終えることができた。

25¢DDBでのスペシャルクワッズ(上)と、$1DBでの、この巡礼最後のクワッズ。

・フォークィーンズのプレイヤーズカードは、帰国後に携帯していたポーチの中から発見された。悔しさがより増加した。

・この巡礼で面白かったゲーム二つ。
一つは「EVERI」の「MONEY SLAM」。リールは大別してブランクとシンボルの2種類があり、左のリールから右のリールまで、とにかく途切れずに出現すればシンボルとして描かれているクレジット数が全て加算される。アリストクラートの「バッファロー」のゲーム性をより凝縮させたようなゲームで、ボーナスゲームもあってついつい続けてしまう。

もう一つは「LIGHT & WONDER」の「ULTIMET FIRE LINK」。アリストクラートの「Lightning Link」の「ホールド・アンド・スピン」というボーナスゲームのシステムを通常のゲームに採用してしまった。コロンブスの卵。

「MONEY SLAM」(上)と「ULTIMET FIRE LINK」(下)。

(このシリーズ・終わり)


新ラスベガス半生中継2023年G2Eショウ(6) DAY 4・ローカルカジノ巡り

2023年11月26日 17時51分00秒 | 海外カジノ

本日の予定:
①午前中はG2E最終日の今日だけ一般公開するというAristocratを覗く。
②以降は南のGreen Valley Ranchを始点に、ボウルダーハイウェイを北上しながらいくつかのローカルカジノを巡る。
③ハンバーガー店「Five Guys」で夕ごはん。

本日の順路マップ。①Venetian Expo(G2E会場) ②Green Valley Ranch ③Jokers Wild ④Sam's Town ⑤Boulder Station ⑥Five Guys(夕食)

①G2EのAristocratブースに入場。詳細は前々回の記事「新ラスベガス半生中継2023年G2Eショウ(4) DAY 3・G2E(前半)」で言及。

②G2E後はローカルカジノを巡る。まず昼前にGreen Valley Ranchに到着。ここはStation Casinos社の、「Red Rock Resort」と並ぶ旗艦店。ローカルだが大型で豪華。ワタシは過去に2度ほど宿泊しているので、同行者3人があちこち見て回る間、もっぱらBPのトリプルプレイで遊ぶ。1時間ほどの間にクワッズが8回(2~4が2回、5~Kが6回)出てくれたこともあり、$120ほどお金が増えた。

この時点で232.5ドルあるが、この後200ドル(800クレジット)まで減ったところで終了。

③ボウルダーハイウェイに出て、Jokers Wildへ。コロナ禍前までワタシが贔屓としていたBoydゲーミング系列の小規模カジノで、10年くらい前に一度、女房とここのカフェに食事をしに来たことがある。その時は安いレート(クラップスのミニマムは$3だった)のテーブルゲームが普通に設置されていたが、今回久しぶりに訪れたらテーブルは全てETGに置き換わっていた。人件費抑制は最近のラスベガスのカジノでは大きなテーマであるようだが、これはワタシにとっては嬉しくない変化だ。

ここではゲームはしなかったが、ビデオポーカーをチェックしていたら、1台だけフルペイのDBを発見した。ビデオポーカーの情報サイト「VPFREE2」には掲載されていなかったが、教えてあげるべきだろうか。

Jokers Wildの外観。

フルペイのDBが搭載されたビデオポーカー機を入れた内部の様子と画面の拡大。

④次はボウルダーハイウェイを北上し、Sam's Townへ。ここもBoydゲーミング系列で、コロナ禍前はワタシが最も頻繁に利用するカジノホテルの一つだった。10年ほども変わらなかったマシンレイアウトが若干変更されており、うっかり目的でないゲーム機で何回かプレイしてしまった。ここでの収支ははっきり覚えていないが、少しマイナスだったような気がする。

間違えてプレイしてしまったトリプルプレイ機。本当はプログレッシブが付いている機械で遊ぶつもりだったのだが、マシンレイアウトが変更されていて騙された。その結果、「違う、それじゃない」ストレートができてしまったが、プログレッシブ付きの方では最低でも1400ドル、最高では1660ドル以上に育っていたので、むしろ「それじゃない」ので良かったのかもしれない。と思うことにする。

⑤ローカルカジノ巡りの最後は、Sam's Townからさらに北にあるBoulder Station。ここもStation Casinos系列で、規模は大きいがGreen Valley Ranchよりも雰囲気が庶民的(実際、部屋代も安い)。今回久しぶりに訪れたが、バフェが無くなってフードコートになっていたり、ファミリー向けのゲームアーケードが拡張されているなど、かなり大きく改装されていた。ここのクラップスのミニマムも$15になっていたが、ETGのクラップスは$5ミニマムだった。

Boulder StationのETGのクラップステーブル。ミニマム$5は今や貴重なので、ETGに抵抗が無ければアリかもしれない。ただし、Station系列のクラップスはフィールドベットのペイアウト率が低い(2と12のオッズがどちらも3倍)点には目を瞑る必要がある。

⑥本日の最後は、二日目の車のトラブルで世話になった作業員(関連記事:新ラスベガス半生中継2023年G2Eショウ(2) DAY 2・その1:今日もゲーム三昧、のはずが)がお勧めしていたFive Guysで夕ごはん。「ちょっと高い」と言っていた通り、ハンバーガーとドリンクで$15.36(税込)だが、多くのトッピングオプションがある。標準的なトッピングは「All The Way」の一言で済み、それでマヨ、ケチャップ、マスタード、ピクルス、レタス、トマト、グリルドマッシュルーム、グリルドオニオンの8種が乗る。これに、カスタマイズオプションとして標準のトッピングの増量の他、ハラペーニョ、レリッシュ、BBQソース、A1ステーキソース、ホットソースなどが無料で追加できる。ワタシはハラペーニョを追加してもらった。グリルドオニオンやグリルドマッシュルームが標準で入るファストフードのハンバーガーは珍しいと思う。確かに「ちょっと高いけど」おいしいので、次回巡礼時にもぜひリピートしたい

Five Guysはラスベガスに8店(現在時点)あるが、フラミンゴ通りとメリーランド通りの交差点の、「Target」があるマーケットプレイスの店が行き易い。ただ、営業時間は11時から22時までとのことなので、時間の観念を失いがちなラスベガスでは注意が必要。

Five Guysの外観。

店内の様子。

チーズバーガー。他の広域チェーン店のような専用の包み紙ではなく、アルミホイルで包まれている。

クラウンを外したところ。バーガーの右下、4時の方向に鮮やかな緑色のハラペーニョが見える。おいしい。

(DAY 5につづく)


新ラスベガス半生中継2023年G2Eショウ(5) DAY 3・G2Eショウ(後半)

2023年11月19日 20時39分41秒 | 海外カジノ

**************** 先週に引き続き3日目G2Eの記録その2

◆ARUZE
・今年の2月に破産申請をしたARUZEだったが、スロットマシン部門は同業の「Play Synergy」社に買収され、そのPlay Synergy社は今回のショウに「ARUZE」の名で出展してきた。これはショウの後で知ったことだが、今後Play SynergyはARUZEの名で商売をしていくとのこと。

・余談だが、破産前のARUZEが力を入れていたETG(Electoric Table Game)部門は同業大手の「Interblock」に買収されたとのことだが、今年のInterblockのブースは完全クローズド展示で入ることができず、状況の確認はできなかった。

①今回のARUZEのブース全体。かつてと比較するとずいぶんと小規模になってしまった。 ②ブース最前面に置かれたビデオスロットは、湾曲液晶を使っているとはいえ、今のトレンドから見れば平凡な印象。 ③ー④おそらく今回のショウでは唯一スキル・ベースドのゲーム機を出展していたが、殆ど注目されていなかった。スキル・ベースド・ゲーミングは完全に命脈が尽きたと考えて良さそう。③のドライブゲームには「Play Synergy」の銘が入っていた。

◆KONAMI
・2017年からスロットマシンの台間スペーサーにデジタルサイネージを組み込むバンクが登場し、2018年、2019年と各社から様々なスタイルが提案された(関連記事:ラスベガス半生中継・2018年10月 (8) G2E2018メモ)が、今年はそれが3台、または4台を円形に組んだ小型バンクの形に収斂してきた感がある。KONAMIはこれまでメダルゲーム機のギミックを流用・応用したギャンブルゲーム機を出展して、良し悪しはともかく独自性を感じさせていたが、今年はそれがなく、潮流に乗った形状のバンク多く出展しており、良く言えば普通の、悪く言えば退屈なメーカーとなっていた。

①KONAMIのブース外観。いつもよりも小規模だったような気が? ②-④デジタルサイネージをスペーサーに仕込んだ小型バンク。当分はこのような形状のバンクが増えて行くのだろう。

◆SEGASAMMY CREATION
・SEGASAMMY CREATION (SSC)が小規模ながらも出展し、いくつかのビデオスロットを出展していた。ラスベガスでのG2Eには昨年から出ているそうだ(マカオで開かれるG2Eアジアにはずいぶん前から出展しているらしい)。注目の新興企業としたいところだが、出自が日本の4号営業の企業のせいか、出展機種にその雰囲気が感じられるところが不安。アルゼの機械にもそういうところがあって、だからワタシはアルゼのゲームには食指が動かなかった。「日本の4号営業とゲーミングは違うんだと口を酸っぱくして言ってるんだけどねえ」とはSSCの中の人からも聞いたのだが・・・

①SEGASAMMY CREATIONのブース外観。まだ小規模だが、今後大きくなっていって欲しいものだ。 ②「GAMERA」と「BEAST KING(獣王)」。日本ではヒットタイトルなのだろうが、所詮はガラパゴスタイトルを自慢げに持ってくるセンスはちょっとまずいと思う。 ③湾曲液晶はもはや当然の技術となっており、SSCも導入していた。中央と右の「HOUSE OF THE DEAD」はそれなりにヒットしたらしい。 ④バカラ(左)があるところを見ると、ETGにも取り組むつもりがあるらしい。

◆EVERI
・ヘンなゲームを積極的に開発するEVERI(関連記事:新ラスベガス半生中継2019年G2Eショウ(4) DAY 2:G2Eショウその2)は、今回も従来のスロットマシンの文法から外れたヘンなゲームをいくつも出展していた。

①EVERIのブース。 ②ヘンなゲームその1「Blazing Grand」。トッパ―には「WIN WHAT YOU SEE (見たままが当たり)」と謳われおり、ペイライン上に並んだ数字が当たり額となる。ベットを増やすことによって有効となるリール数が増えるバイアペイ方式は、かつてBallyが作っていた「Green Machine」に通じる。 ③ヘンなゲームその2「PROJECT MOON」。おそらくは開発中の参考出展。ベットボタンを押すとロケットが点火され、上昇している間賞金額も上がって行く。停止後は賞金を受け取るか、更に高い賞金を目指してそのまま次のベットを行うかを選択するが、ベットすると1/10の確率でロケットは爆発し、それまで獲得していた賞金はすべて失う。レトロモダンなタイトルにセンスを感じる。④ヘンなゲームその3「BIG BUBBLE」。画面に現れる泡をタッチすると割れて、当たりであれば獲得額が表示されるだけ。アバンギャルドに見えるが、パンチボードの変種と言えないこともないかも。

これらヘンなゲームにも、過去にあったゲームの要素は感じられる。つまるところ、ギャンブルの基本的な要素は既に出尽くしていて、それをどう表現するかで保守と革新に分かれるのだと思う。革新的なゲームにチャレンジするメーカーは応援したい。

◆本日の夕ごはん
・以前、サムズタウンのバフェで一緒になったおっさんに勧められて以来、行く機会を得ぬままずっと気になっていた「ファーマー・ボーイズ(Farmer Boys)」へ。勝手にレストランだと思い込んでいたが、セルフサービスのファストフードだった。いや、安く済むのは大いにありがたい。ワタシはジャガイモを避ける意味で「ダブルビッグチーズ(単品$8.49)」とレギュラーサイズのソーダ(単品2.79)で、税込み$12.22邦貨換算でおよそ1850円。円安が憎い。おっさんが勧めていただけあって、ハンバーガーはおいしかった。今後の選択肢に加えたい。

ファーマーボーイズの「ダブルビッグチーズ」(上)と、クラウンを外したところ(下)。チーズでパティがクラウンに貼り付いてしまっている。

(DAY 4につづく)


新ラスベガス半生中継2023年G2Eショウ(4) DAY 3・G2Eショウ(その1)

2023年11月12日 19時46分58秒 | 海外カジノ

3日目の今日は今回の巡礼のメインイベント、G2E見物の日。

・朝10時に集合してG2E会場のヴィニーシャン・エキスポ・センター(旧サンズ・エキスポ)に向かう。この期間のヴィニーシャン、及びパラッソの駐車場は満車になったり入れたとしても出る時に大いに苦労する経験を過去にしているので、向かいのtiに車を停めて徒歩でヴィニーシャンに向かう。

・会場で、事前にメールで受け取っていたバーコードを提示してバッジ(入場証)と交換するが、その行列がものすごいことになっていた。やはり前日に事前登録しておけば良かったと後悔しかけたが、列はかなりスムーズに進み、10分程度で手続きを終えることができた。

◆ARISTOCRAT
・今年のARISTOCRATのブースはクローズド展示で、中に入るには事前の登録が必要だった。とは言え、外から柵越しに展示を見ることはできたし、またショウ3日目(最終日)はオープン展示となって特に手続きなく誰でも入れた。見込み客への対応に力を入れた結果か。

BUFFAROLIGHTNING LINKでこの15年間世界のスロットマシンの潮流をリードしてきたARISTOCRATの今回のメインは、全米No.1の人気のプロスポーツリーグNFLをIPに取り入れた一連のシリーズだった。NFLには32チームが属するが、プレイヤーは自分が贔屓とするチームをゲームのテーマとして遊ぶことができるなど、従来のIPモノとは一線を画す仕掛けがあった。他社が真似ることはできたとしても、いや、ARISTOCRAT自身でさえ、これを超えるコンテンツを今後作れるのだろうか。欧州でサッカーならあり得るか。

①柵の外から見たARISTOCRATブースの一部。ここはBUFFAROやLIGHTNING LINKシリーズの新作などが展示されている一角。 ②ブースの入り口には巨大な米式蹴球のヘルメットのオブジェが飾られていた。 ③-④NFLの一連の機種を展示する一角の床にはグリダイアン(米式蹴球のフィールドのこと)柄の人工芝が敷かれていた。

・ショウ最終日のオープン展示で入場したら、カジノホテルで発生するいろいろな支払い、例えばゲーム代だったりホテル代だったり飲食代だったりで使用できるのみならず、プレイヤーズカードの機能も持つスマホのウォレット機能のモデル展示を発見。今後はこのようなシステムがスタンダードとなって行くのかもしれない。

◆IGT
・IGTは大歌手「ホイットニー・ヒューストン」をテーマにしたビデオスロットが一押し。エントランスのゲートには、ホイットニーの衣装やゴールドディスクなども展示されていた。ただ、これまでマイケル・ジャクソンやブリトニー・スピアーズなど芸能界のビッグネームをIPに採り入れたスロットマシンはいくつも作られてきたが、彼らの人気ほどにヒットした例はない

①-②WHITNEY HOUSTONの展示の模様。 ③ゲームは「LIGHTNING LINK」のインスパイア・発展形らしい。 ④ホイットニーの衣装や受賞した数々の実績も展示されていた。

・もう一つ、49インチ湾曲液晶を縦に二つ配置した巨大な「PROSPERITY LINK」も大きく展示されていた。初めて紹介されたのは昨年の5月で新製品ではないが、ゲーミング業界誌が主催するベストゲーム賞を受賞したり、業界の調査会社のレポートで常に3位以内にランキングされるなど話題作ではあるらしい。二種類のゲームがあり、それぞれで異なる中国美女が出てきて何かしてくれるとのことで、「PROSPERTY(繁栄)」のネーミングとともに、いかにも中国市場を意識したゲームであるように思える。

・IGTと言えばビデオポーカーの最大手メーカーでもあるが、なんだかよくわからないポーカーゲームがいくつも展示されていた。ビデオポーカーのバリエーションを増やす工夫自体は40年前から試みられ、それらのいくつかは今も生き延びているが、そろそろ無理を感じるようになってきている。ゲームの構造上、提供できる最高の大当たりをあまり大きくできないビデオポーカーにはどんな将来が待っているのか。

①PROSPERITY LINK。49インチモニターを縦に二つ並べ、ハッタリは効く筐体になっている。 ②-④よくわからないビデオポーカー。これまでに習得してきたストラテジーが使えないので、いっそsigmaやCRONがやっているような、ビデオスロット寄りのゲームを作ってくれた方がまだ遊んでみようという気になれる(個人の感想)。

◆LIGHT & WONDER (旧Scientific Games)
・元来が宝くじ会社のScientific Games社は、2011年にBarcrestを、2013年にWMSを、そして2014年にBally(その子会社となっていたShuffle Master含む)をと買収を繰り返してきた。そのScientific Gamesは2021年時点で88.3憶ドルもの負債を抱え、2022年、宝くじ部門とスポーツブック部門をアトランタのBrookfield Business Partners社に売却することを決断した。これにより、今後はBrookfield Business Partners社がScientific Gamesを名乗り、残ったマシンゲーム部門は「LIGHT & WONDER(以下、L&W)」と名前を変えることとなった。

・そのせいか、今回のL&Wの展示は、MONOPOLY、QUICK HIT、BLAZING 7、WONKAなど過去の人気シリーズの後継機ばかりで、2019年の時のような攻めた新機種やチャレンジが見られなかった。いや、実際は表面からは見えにくいイノベーションがあるのかもしれないが、2019年時のような「センス・オブ・ワンダー」は感じられなかった。ひょっとして今後、L&Wは縮小したり分裂したりなどと言うことが無いことを祈りたい。幸い、今のところ市場でL&Wが占める割合は減ってはいないように思われる。

①-③L&Wのブースの様子。個別のゲーム機の写真がないところに、ワタシの失望の大きさが表れている。それにしても、新社名はすぐにジョージ・ルーカスが立ち上げた特撮専門工房の「Industrial Light & Magic」が連想され陳腐な印象を得た(個人の感想)。

(G2Eショウその2に続く)