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オールドゲーマーの、アーケードゲームとその周辺の記憶

コインマシンやギャンブルゲームやカジノの歴史的エピソードとか、時々カジノ旅行記とか、たまにスポーツやマンガとか。

レトロビデオゲーム関連のオススメ同人誌

2024年12月01日 20時07分09秒 | ビデオゲーム

昨日、東京・大田区の「大田区産業会館PIO」で開催された「レトロゲームサミット (略称レゲット)」に行ってきました。これは「レトロゲームを未来に繋ぐ即売会+ステージイベント」を謳うイベントです。

レトロゲームサミット(レゲット)の、今回のキービジュアル(なのか?)。一見して何の告知なのか想像しにくい。

レゲットは今年3月にも開催されており(関連記事:レトロゲームサミット (略称レゲット)に行ってきた)、この時は会場が狭くて場内も一方通行しかできず、来場者だけでなく係員もかなり大変そうでしたが、今回は前回比4倍(感覚値)の大ホールで行われ、巡回に苦労することは殆どありませんでした。

場内の様子。ニッチなジャンルなのに盛況。外国人やコスプレイヤーも結構見かける。向こうの壁面にはステージがあり、時々アイドルが出てきてにぎやかす。

即売会と言う趣旨から、レトロゲーム関連の様々なものが売られていましたが、私は今回「うすい本」を結構たくさん買って帰りました。

レゲットで買ったうすい本。

今回はその中から、お勧めしたいものをいくつかご紹介したいと思います。

①Mr. Do!大百科


Mr. Do! 大百科の表紙。

2022年3月にアップした記事「レトロビデオゲーム同人誌のご紹介」でご紹介した2冊の同人誌「MONACO GP大百科」及び「JUMP BUG大百科」と同じく、レトロゲーム勢界では著名なおにたまさんが主宰する「オニオン製作所」の新刊で、ユニバーサルのビデオゲーム「Mr. Do! (1982)」の本です。

単なるゲーム解説書ではなく、歴史や時代背景、関係者へのインタビュー周辺情報の「豆知識」にも多くのページが割かれていて、うすい本にも関わらず読みごたえがあります。この辺りはさすがおにたまさんの本と感心させられます。先の2冊とともに「一家に一冊」の名資料本です。

「Mr. Do! 大百科」販売の情報はこちらを参照してください。

②我が青春のテレビゲーム(第1~3集)

我が青春のテレビゲーム第1~3集の表紙。④は今回無料配布されていた第4集で、全8ページの超うすい本。

「ファミマガ(ファミリーコンピューターマガジン)」の2代目編集長だった山本直人さんの同人誌。山本さんの青春を彩った数々のAMビデオゲームの想い出や当時の社会状況を語った全43話が3集のうちに収められています。

でも、ただの懐古本ではありません。上質紙、全ページカラーであることも特筆しておくべきですが、ワタシが何より感服したのは、ワタシが往時さんざん遊んだり目にしたりしていた「スペースチェイサー」、「第3惑星」、「Warp 1」、「フィールドゴール」、「ストレートフラッシュ」など、これまでのレトロゲーム本ではほぼ無視されて来たゲームが、小さいながらもカラー画像とともに大量に言及されている点です。今の時代によくぞこれらに言及してくださったと感涙にむせんでいます。

「我が青春のテレビゲーム」販売の情報はこちらを参照してください。

③筐体ぼんシリーズ

筐体ぼんシリーズの一部。①セガの各種汎用筐体 ②ナムコのコンソレット筐体 ③タイトーのカナリー筐体 ④ナムコのポールポジションの筐体ぼんまである。

かつて「ゲーメスト」のライターだったと言う「きらり屋」さんの、ゲームではなくゲーム筐体の同人誌。筐体の仕様、機能、発売年等は資料としても優れていますが、これに加わるきらり屋さんの雑誌取材時のよもやま話やトリビアなどは存外に面白く、さすが元ライターと思わせられます。このシリーズは他にもたくさんあり、興味と予算の関係からそのごく一部の6冊を購入しました。

「筐体ぼんシリーズ」販売の情報はこちらを参照してください。

今回は全部で12冊のうすい本を購入しましたが、書かれている内容はどれも興味深くじっくり読んでしまうため、うすいのになかなか読み進みが捗りません。今回のワタシのレビューは部分的な読み齧りに頼っていますが、どれも面白いので、お勧めしておきたいと思います。


GAUNTLET(ATARI, 1985)で思い出した話

2024年05月19日 19時10分02秒 | ビデオゲーム

昔収集したゲーム関連のファイルブックを25年ぶりくらいに開いたら、「ガントレット」(ATARI,1985)のフリーペーパーが出てきました。

ガントレットのフリーペーパー。二つ折り4ページで構成されており、上が表紙と裏表紙、下が中の2ページと3ページ。

ワタシが熱中したビデオゲームはたくさんありますが、「ガントレット」はその中でも上位5作に入る思い出深いゲームです。「ガントレット」とは、西洋の鎧の籠手のことだそうですが、その響きが滅法カッコ良く感じられました。

最大の特徴である、最高4人のプレイヤーがどのタイミングでもゲームに参加、もしくは離脱できるシステムは、インカムを上げるには絶好の方法で、米国で大ヒットしました。また、それぞれ特徴が異なる「戦士」、「女戦士」、「妖精」、「魔法使い」の4種類のキャラクターから一人を選択するシステムはゲームの世界観を広げ、さすがアタリ、発想がとびぬけていると感心したものでした。

機を見るに敏なセガは、翌1986年に、やはり最高4人が同時にプレイ可能な後追い企画「カルテット」をリリースしました。ワタシは残念ながらこちらにはのめり込むことができませんでしたが、そこそこヒットしていたように思います。

「カルテット」のフライヤーの表裏。登場人物の画風がいかにも80年代っぽい。

「ガントレット」は日本でも広範囲に渡って設置されました。しかし、米国のように知らない者同士でも気軽に一緒に遊ぶ文化がない日本では、もしかしたら筐体の大きさのわりに稼げなかったのではないかと余計な心配をしていますが、実際のところどうなのでしょうか。

セガはさらに、1988年に3人が同時にプレイできるアップライト筐体の「ゲイングランド」をリリースしましたが、テーブル筐体が主流の日本国内ではもっぱら2人同時プレイ機として稼働していました。リリース当初はクソゲー扱いされたようですが、アーケードゲーム雑誌「ゲーメスト」が根気よく攻略記事を掲載したこともあってか、その戦略性の面白さが理解されるようになり、多くのプレイヤーの記憶に残るゲームとなりましたが、米国では逆に難し過ぎたのか、ヒットはしなかったようです。

「ゲイングランド」のフライヤー。裏面はシステムボード「システム24」と「エアロシティ」及び「エアロテーブル」筐体の紹介だった。

1990年代に入ると、日本では「ストリートファイターII」に代表される2P対戦格闘ゲームが爆発的に広まって、ガントレットのようなプレイヤー同士で協力して進んでいくゲームは(少なくともアーケードゲームとしては)作られなくなってしまったのは残念なことです。


セガが破格の扱いを行ったビデオゲーム(2)「サムライ」(1980)

2023年08月20日 20時15分14秒 | ビデオゲーム

ケチなセガがなぜか豪華なフライヤーを作成したビデオゲームの二つ目は「サムライ」(1980)です。

「サムライ」の、フルカラー二つ折り4ページの豪華フライヤーの表紙側(上)と内側(下)。侍とガンマンの組み合わせは1971年の映画「レッド・サン」からインスパイアされたのだろうか。ちょっと疑問符が付くコンセプトだと思う。

実は「サムライ」には片面印刷の通常のフライヤーもあります。

「サムライ」の、片面印刷版のフライヤー。こちらには人間のモデルは使用されていない。

「サムライ」になぜ二種類ものフライヤーが作成されたのかは謎ですが、片面印刷版にはアップライト筐体が、豪華版にはテーブル筐体が記載されています。当時はテーブル筐体が急速に普及した時期だったので、まず先に片面印刷版が作成され、その後慌てて「もちろんテーブル筐体もありますよ」と訴えるつもりでもう一つのフライヤーも作成したのでしょうか。

「サムライ」は、主人公が四方を敵に囲まれている点や、当時のまだ貧弱なハードウェアで何とか無理矢理にでも世界観やストーリーを表現しようとしている点など、任天堂から前年に発売されたビデオゲーム「シェリフ」に通じるところがあると感じます。しかし後発のセガは、「同心」のシーンと「与力」のシーンを分けることで「マルチフェイズ・ゲーム」を謳って新しさをアピールしています。

シェリフ(任天堂、1979)のフライヤーの表面。

確かに当時は、一つのゲームの中で異なるステージを戦わせるゲームは珍しかったように思います。しかし、「サムライ」が今でも語り草になっている理由は、残念ながらそのようなゲームが目指したオリジナリティよりも、プレイヤーが捕方に仕留められた際に表示される「ムネンアトヲタノム」の「名文句」にあるように思えます。

後にこれほど伝説的と言って良いほどに人口に膾炙する「名文句」は、他にはなかなか思い付きません。ATARI1989年にリリースした「スタンランナー (S.T.U.N. RUNNER)」の「コインいっこ いれる」以外に、これに匹敵する「名文句」があれば、ぜひコメント欄にてお知らせください。

女ガンマンの「サムライ ツヨイネ!」は、「ムネンアトヲタノム」を意識してのモノでは、おそらくないと思われる。

「サムライ」の各ページの拡大図。


セガが破格の扱いを行ったビデオゲーム(1)「ペンゴ」(1982)

2023年08月06日 21時33分45秒 | ビデオゲーム

セガは、こと宣伝には極力費用をかけたがらない、吝嗇(ケチ)な傾向が強いように思います。筐体モノなど強力に売り出したい高額の機械でもあれば豪華なフライヤーを作ることも時々はありましたが、通常のアップライトまたはテーブル筐体に収まる通常のビデオゲームのフライヤーは、例え裏面が白黒でも両面印刷であればまだ恵まれていた方で、片面印刷で済ませることも珍しくありませんでした。また、両面印刷であっても、表面と裏面で異なるゲーム機を掲載した例もあります。

しかし、そのセガにも、他と大きく異なる外見的特徴があるわけでもないビデオゲームであるにもかかわらずオールカラー二つ折り4ページの豪華なフライヤーを作成した例が、極めて少数ですが存在します。今回と次回の2回に分けて、そんな「破格の扱い」を受けたビデオゲーム2機種のフライヤーをご紹介します。

一つ目は「ペンゴ」(1982)です。これは今更ワタシが説明するまでもない往年の名作で、発売当時も、そして今も愛好するファンは多いです。一般的にはセガの製品として紹介されることが多いようですが、実際に開発したのは「コアランド」でした。「コアランド」はその前身を「豊栄産業」と言って、今もヒット作として語り草になる「ジャンプバグ」(1981)(関連記事:レトロビデオゲーム同人誌のご紹介)を開発しています。

その「ペンゴ」がどういう経緯でセガから発売されることになったのかはわかりませんが、セガはペンゴを売り出すにあたり、二つ折り4ページの豪華フライヤーを作成しました。

二つ折り4ページのペンゴのフライヤーの、表紙側(上)と内側(下)。

「ペンゴ」は確かに良くできたゲームです。しかしこの豪華フライヤーが、当時のセガが「ペンゴ」の傑出したゲーム性を適正に評価して強くプッシュしようとした結果とはどうしても思えません。ひょっとして予算を消化するためにむりやり作ったのではないかと勘繰りたくなるくらい謎です。

「ペンゴ」のフライヤーをページごとに拡大。表紙、1ページ目、2ページ目、3ページ目、裏表紙の順。

普通のフライヤーは多くとも表紙機能を含んで2ページ、下手すると表紙の1ページ内にすべてを詰め込まなければならないのに、ゲームの説明に3ページ(うち1ページは裏表紙)も費やすことができた「ペンゴ」のフライヤー作成作業はさぞや楽しかったことと思います。

ところで「ペンゴ」は日本では大人気で海賊版まで作られましたが、アメリカではどうだったのでしょうか。一応家庭用に移植されたものがそこそこ出回ったようですが、「パックマン」や「ギャラガ」、あるいは「センチピード」のように今でも語り草になるほどスタンダードなタイトルのようにも見えません。

(次回「侍」につづく)


【小ネタ】1976年のタイトロニクス

2023年06月18日 21時29分41秒 | ビデオゲーム

今回は多忙につき、タイトーが1976年に頒布したビデオゲーム(当時はTVゲームと称していた)の総合カタログをご紹介してお茶を濁します。

1976年に頒布された「タイトロニクスシリーズ」総合カタログの表紙。ビデオゲームが世に出て間もない時期らしいゲーム画面。

タイトーは、セガと並んで日本で最も早い段階からビデオゲームの開発に着手し、大手メーカーとしての地位を盤石のものとしました。タイトーは自社のビデオゲームを「タイトロニクスシリーズ」と名付け、この呼称は少なくとも1980年代前半までは使い続けていました。

フライヤーは全6ページで、2ページ目から5ページ目までは製品の筐体画像が並んでいます。

2ページ目:

●CRUSHING RACE (1976)
●INTER CEPTOR (1976)
●ELEPON (1973)
●PRO HOCKEY (1973)
●SOCCER (1973)

3ページ目:

●AVENGER (1976)
●WESTERN GUN (1975)
●BASKET BALL (1974)
●SOCCER DX (1973)
●ASTRO RACE (1973)
●ASTRO RACE DX (1973)

4ページ目:

●DAVIS CUP (1973)
●ATACK U.F.O. (不明)
●SEA WOLF (MIDWAY製・1976)
●ANTI AIR CRAFT (ATARI製・1975)

5ページ目

●SPEED RACE TWIN (1976)
●SPEED RACE (1975)
●SPEED RACE DX (1975?)

旧型機も併せて掲載されていますが、まだテーブル筐体もコックピット筐体も無かった時代だったので、すべてアップライト筐体です。私はこの中で、「ATACK U.F.O.」だけが記憶にありません。どなたかどんなゲームだったかご存じの方はいらっしゃいませんでしょうか。

タイトーはこのフライヤーの最後のページで、「アメリカのアポロ計画により高度に発達したエレクトロニクス(電子工学)技術の産物、IC(集積回路)の応用と、デジタル技術により、テレビブラウン管を使用した、全く新しい発想のゲームマシンです」と謳っています。

裏表紙。「アメリカのアポロ計画により高度に発達したエレクトロニクス~」とハッタリをかまして、タイトーの技術力を誇示しようとしている。

コンピューター技術の発達にアメリカの宇宙開発計画が大きく関わっていることは事実でしょうが、まるでタイトー自身も同様の技術があるように誤認させるブラフですが、まあ、宣伝とはそういうものでしょう。それも、「コンピューター」とか「IC」、「エレクトロニクス」という言葉がまだパワーワード、もしくはマジックワードだった時代(関連記事:TRON(Bally/MIDWAY, 1982))ならではのネーミングだと思います。