Twetterに「#テレビの中のゲーセン」というハッシュタグがあります。
最近、そのタグを付けた投稿で、1975年に放映されたテレビドラマの画像がいくつかありました。
Twitterに投稿されていた画像より。
ここで舞台となっているゲーセンは、かつて歌舞伎町にあった「ゲームファンタジア・ミラノ」(関連記事:ゲームファンタジア・ミラノ:メダルゲーム発祥の地)のようです。
このドラマの撮影とほぼ同時期と思われる頃の、ゲームファンタジア・ミラノの店内画像。
テレビドラマの画像は、この店内画像の手前に写る「グループビンゴ」(関連記事:セガのマスビンゴゲーム(2) グループビンゴ(Group Bingo,1975))の真後ろに見えるマスメダルゲーム機「マジックトッパーズ(Magic Tppers)」を挟んだアングルから撮影されているようです。
マジックトッパーズのビルボードがはっきりと見えるアングルの、ゲームファンタジア・ミラノの店内画像。ただしこの画像はドラマ撮影時とは異なる時期の風景。
マジックトッパーズは、それぞれ色が異なる5つの帽子のどれにボールが隠されているかを予想するゲームです。ベットが締め切られると、帽子が一つずつ持ち上がってその中を見せていきます。当たりとなる帽子は必ず最後に持ち上がり、予想が的中すると2枚から10枚のメダルが払い出されました。
ワタシは、この画像のマジックトッパーズと同機種かどうかはわからないのですが、少なくとも同じゲーム性の機械を、1970年頃に渋谷のボウリング場で見ています(関連記事:「メダルゲーム」の曙を見た記憶)。わざわざ「同機種かどうかはわからない」と付言するのは、同様のゲーム機が他にも見つかるからです。まず、1972年の業界のショウで、「ミラクルハット」という機種が「オリエンタル興業」から出展されています。
オリエンタル興業のミラクルハット(左下)。業界誌アミューズメント産業72年11月号45ページより。
オリエンタル興業はワタシにとってはよくわからない会社です。1977年のセガのプライスリストにはオリエンタル興業製のクレーンゲーム機やキディライドが掲載されており(関連記事:1977 Sega Price List (4):エレメカ系)、また1980年ころには「スーパースコープ」というプライズ機を製造販売しており、メーカーとしての活動自体は確認できます。しかし、メダルゲームという業態が確立されたかどうかという1972年の時点で、オリエンタル興業が「ミラクルハット」を独自に開発していたとは考えにくく、おそらくは海外から輸入したか、ひょっとするとコピーした可能性も考えられるのですが、裏付けは取れていません。
コインプッシャーを発明した英国のクロンプトン社(関連記事:プッシャーに関する思いつき話(3):クロンプトン社の歴史1・「ペニー・フォールズ」誕生まで)も「マジックトッパーズ」を作っています。その販売年がいつ頃なのかは不明ですが、アミューズメント産業1975年3月号に掲載されているエスコ貿易の広告に出てきます。
クロンプトンによるマジックトッパーズのフライヤーと、アミューズメント産業1975年3月号のエスコ貿易の広告。TVドラマに写り込んでいた機械とは、筐体の形や参加可能人数が異なる。
sigmaは、1981年にはこのマジックトッパーズをリメイクしています。さすがに1カ所にメダル1枚しかベットできなかったオリジナルからは進化しており、20枚までベットできるようになっていました。
sigmaが1981年にリメイクした「マジックトッパーズ」のフライヤー。
テレビドラマに写りこんでいた「マジックトッパ―」がいつごろ、誰が作ったのかを知りたくてあれこれ調べたところ、以上のことまでは判明しましたが、本来目的としていた疑問の答えは何一つ判明しませんでした。