オールドゲーマーの、アーケードゲームとその周辺の記憶

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ゲーセンと法律の話(3)新概念「特定遊興飲食店」をゲーム業界に活かせないものか

2020年02月16日 19時00分01秒 | その他・一般
前回まで
・2016年、風適法に少し大きな改正があり、風俗営業は第8号営業までの8種類から、第5号営業までの5種類に減少した。
・第5号営業の許可を要する遊技設備は、下位法令の「風適法施行規則」で、5種が定められている。
・風俗営業とされた業種は、深夜の営業ができない、営業できる地域に制限がかかるなどの制約がある。


******** これより今回の話 ********

2016年の風適法改正により、風俗営業は第5号営業までの5種類に減少しました。これは既存の風俗営業の定義を整理・統合したことによるものですが、たった1つだけ、風俗営業の対象から外された業種がありました。それが、クラブやディスコなど客にダンスをさせる営業である「旧第4号営業」でした。

この旧第4号営業は、古くは「ダンスホール」という業態が存在し、そこでは売春を媒介するなど風俗上の問題が生じる実態があったことが風俗営業とされる理由となったと聞いています。しかし、当初は社交ダンス教室まで含んでいたなど一般的な社会通念に照らしておかしいと思う点がもともとありました。

とは言うものの、一方では確かに、ゲーセンと同じく少年非行の温床となりうる環境を提供する営業が行われていた事実もありました(関連記事:ゲーセンと法律の話(1):まずは風適法の解説から)。それがなぜ風俗営業から外されたのか、ワタシはよく理解していません。

ただ、ダンスをさせる営業は風俗営業でこそなくなりましたが、この法改正により、全く新しい概念である「特定遊興飲食店」というジャンルが風適法内に新たに設けられ、ダンスをさせる営業はここに加えられました。「特定遊興飲食店」は、所轄の警察署の許可を要するという点は風俗営業と変わりません。しかし、風俗営業ではないので深夜でも営業ができます。「特定遊興飲食店」とは、「遊興」、「酒」、「深夜」の三要素すべてを備えている業種です。これに該当する業態には、ダンス施設のほか、ライブハウス、カラオケパブ、ショーパブ、スポーツバーなどがあります。

ところで、かつては2万軒以上あった第5号営業も現在は4000軒余りにまで減少しています。これには、大規模店舗が増加し、多数の中小規模店舗が閉業したという事情もあるので、軒数の比較だけで一概に衰退しているとは言えないところもありますが、昨今はその大規模店舗の閉業も目立つようになってきており、ゲーセン業界は虫の息と言ってよい状況になっていると思います。このようなゲーム業界の再活性化のためには、新たな客層を取り込むことが可能な新しい業態の出現が望まれますが、風適法の縛りがある限り、そのような飛躍は非常に難しいです。

ゲーセンが風俗営業に組み込まれた理由には、ゲーム機による賭博営業と、少年非行の温床となることへの警戒があったからですが、「少年非行の温床」については各都道府県の条例で対応できる範囲のものであり、残るゲーム機による賭博営業については、現在はその実態はほぼ認められない状況にまでなっています。このような営業は、もはやダンス営業と同様、一部の制約を残すことはやむを得ないとしても、もう風俗営業としておく必要はないのではないかと思います。

ここで思い出していただきたいのが、過去記事「ゲーセンと法律の話(2)風俗第5号営業(ゲーセン)の要件と制約」で述べた、「風俗第5号営業の許可を要する設備」の件です。風適法施行規則では5種類の遊戯設備を風適法の対象に定めており、「エレクトリックダーツ」はこのうちの4番目である「遊技結果が表示されるゲーム機」に含まれていたのですが、一昨年(2018年)の9月に、シミュレーションゴルフとともに対象から外されることとなりました。

もともと「遊技結果が表示されるゲーム機」には該当要件のみが記されているだけで、具体的な機種をいちいち挙げるようなことはしていませんでしたが、警察庁が各地方警察に対して「デジタルダーツとシミュレーションゴルフは、遊技結果が表示されるゲーム機として規制する機械の対象とはしないことにしたからみんな適正な許可事務をしてね」との通達を出すことにより、それらが非対象機種であることが明文化されたことになりました。

なぜ、ことさらエレクトリックダーツ(と、シミュレーションゴルフ)だけが除外されたのでしょうか。第一の理由とされたのは、「ダーツはプロもいるスポーツである」という理屈です。これは、ボウリングがスポーツであるとの理由から風俗営業の対象となっていない(ただし、各都道府県が独自に定める地方条例による制約は受けている)ことから見ても、整合性が感じられます。

しかし、業界の識者から話を聞くと、エレクトリックダーツを風俗営業の対象から外す真の目的は、「ナイトエコノミー」と「インバウンド」にあるようです。つまり、今後観光立国を目指したい日本としては、外国人観光客が深夜も遊べるスポットを増やしたいという思惑があり、エレクトリックダーツを設置する「ダーツバー」はその目的に合致すると判断されたということです。

賭博に流用されうるという理由で設けたはずの制約を、一部に限るとは言えなかったことにするのは、最初からそんな制約は必要なかったのではないかとも思えます。「ダーツにはスポーツとしての実態が認められる」なんて理屈は、おそらくそんな批判をかわすための言い訳ではと疑っていますが、まあ、ともあれ、制約は少ないに越したことはないので、そこには目をつぶりましょう。

ゴルフでは「ニギリ」と称して賭けが行われていることは公然の秘密であるにもかかわらず、シミュレーションゴルフが風適法の対象から外れるなら、そのほかの「遊技結果が表示されるゲーム機」だって対象から外れても良いはずで、そして実際エレクトリックダーツは外されました。

ならばこの解釈をもう一歩進めて、まずは賭けに使われている実態がほとんど認められないフリッパー・ピンボール機を風俗営業の対象から外しても良いのではないでしょうか。「フリッパーゲーム」は、風適法施行規則では3番目に特に名指しされている機種で、4番目の「遊技結果が表示されるゲーム機」とは事情が若干異なりますが、この不条理については前出「ゲーセンと法律の話(2)風俗第5号営業(ゲーセン)の要件と制約」で述べています。

「フリッパーゲーム」は、今なお世界中で多くの愛好家を引き付けていますが、メンテナンスなどオペレーション上の問題が多いため、その運営には独特のスキルを要し、普及しにくいゲーム機です。それだけに、多くのフリッパーゲーム機を設置しているところは世界的な見地で聖地と目され、わざわざそのために外国から人がやってくるというロケもたくさんあります。日本の行政が本当に日本を観光立国化したいのであれば、フリッパーゲームは、インバウンドやナイトマーケットの視点からも非常に有力なコンテンツだと思います。

ゆくゆくは、フリッパーゲームに限定せず、ビデオゲームも風俗営業の対象から外して、「特定遊興飲食店」として夜通し営業できる「ゲームバー」が実現すれば、ゲーム業界にとっても新しい市場となり、活性化につながると思うのですが、そのような構想があるという話はワタシの耳にはまだ入ってきていません。残念なことです。

(このシリーズ・おわり)
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ゲーセンと法律の話(2)風俗第5号営業(ゲーセン)の要件と制約

2020年02月02日 16時26分29秒 | その他・一般
前回まで
・ゲーセンは「風俗営業」である。
・一般に「フーゾクエーギョー」と言われる業態は「性風俗関連特殊営業」である。
・ビデオゲーム機による賭博事犯が1981年より爆発的に増加し大きな社会問題となった。
・1984年、ビデオゲームを扱うゲームセンターを警察の監督下に置くことを主眼として「風営法」は「風適法」に改正され、ゲームセンターは新たな「風俗営業」となった。
・これによりゲーセンは、営業には警察の許可を要するようになり、また深夜の営業ができなくなった。


******** これより今回の話 ********
風適法は1985年2月から施行されました。これに伴い、ゲームセンターは「風俗第8号営業」となりました。それ以前の風俗営業は第7号営業が最後の項目で、それはパチンコ、パチスロ、雀荘などの遊技業だったので、風俗営業の中に二種類の遊技業カテゴリーができたことになります。業界では、このふたつの遊技業を、「7号」と「8号」と呼び分けることで区別をつけていました。

その風適法も、2016年にやや大きな改正があり、その際に風俗営業のカテゴリーは5種類(関連記事:ゲーセンと法律の話(1):まずは風適法の解説から)に減少したのですが、それまでの2種類の遊技業は、「4号営業」と「5号営業」にそれぞれ変更になっただけで、ゲームセンターが風俗営業から外されたわけではありませんでした。

さて、ところで、5号営業の許可を要する要件とは何でしょうか。実はこれ、設置される設備によって判断されます。どんな設備を設置して行う営業が第5号営業の許可を要するかは、風適法の下位法令である「風適法施行規則」の第3条で定められており、そこでは以下の5種類を挙げています。

【風俗第5号営業の許可を要する設備】
(1)メダルゲーム機
(2)テレビゲーム機
(3)フリッパーゲーム機
(4)遊技結果が表示されるゲーム機
(5)カジノゲームの設備

(1)の「メダルゲーム機」は、理解は難しくありません。もともとメダルゲーム機は海外のカジノで稼働するゲーム機を由来とするもので、これまでもさんざん違法な賭博営業に使われてきた実績もありますので、賭博犯罪を防止する意図からすれば筆頭に挙げられるのも然るべきものと思います。

(2)の「テレビゲーム機(「ビデオゲーム」としないのは、条文の記述に倣っているため)」は、少し難しいです。国会で、テレビゲームを稼働させるゲームセンターを風俗営業とすべしという議論が行われた時にも、「インベーダーゲームと賭博に使用されるポーカーゲームが全く異質なものであることは明白ではないか」という反論もされましたが、「インベーダーゲーム機も基板の交換で簡単にポーカーゲーム機にすることができる」、つまりやろうと思えば偽装は容易であるという理由で却下されています。sigmaの創業者である故・真鍋勝紀氏は、この検討の際に業界にとって不利な証言をしたとして、一時業界内で猛烈に批判されたこともありました。真鍋氏は別にゲーセンの風俗営業としたかったのではなく、単に事実をフェアに述べただけだと思うので、気の毒なことでありました。

(3)の「フリッパーゲーム機」については、テレビゲーム以上の疑問を感じます。確かに本家の米国でも70年代までフリッパー・ピンボールを禁止する地域が残っていましたが、風営法が改正されようとするころには解禁されています。ゲーム結果に対する褒章として与えられるクレジットが問題視される場合もありますが、フリッパーゲームはそこまで問題視されなければならないほど大量のクレジットを払い出す、射幸心を煽るようなゲームではありません。ビンゴ・ピンボール機(関連記事:埼玉レゲエ紀行(1):BAYONの記録その1)であれば、確かに大量のクレジットを払い出す可能性のあるゲーム性であるため、かつて日本でもGマシンとして使用されていたことは警察も把握していますが、ビンゴ・ピンボール機をフリッパーゲーム機に偽装することは現実的には不可能です。

強いて言うならば、次に挙げられている「遊技結果が表示されるゲーム機」に準じる理由であればまだわからないこともありませんが、それでもわざわざ独立した項目として名指ししておく必要はないと思います。「ゲームマシン」紙も、風適法施行直前の85年2月1日号のフロントページで「まったく釈然としない」と論評しています。

(4)の「遊技結果が表示されるゲーム機」は説明が必要です。施行規則では、「遊技の結果が数字、文字その他の記号又は物品により表示される遊技の用に供する遊技設備」としています。つまり、ゲームの結果を何らかの形で残す機能を持つものはギャンブルに流用され得るという解釈なのだと思います。このことから、例えば「ダーツ」というゲームの場合、スコアを手計算で行う昔ながらのハードダーツは対象とはなりませんが、スコアを自動的に計算して表示するエレクトリックダーツは対象となります(ダーツについては後々重要な話に絡んでくるので、この部分は覚えておいていただければと思います)。

なお、この項目には「人の身体の力を表示する遊技の用に供するものその他射幸心をそそるおそれがある遊技の用に供されないことが明らかであるものを除く」という付け足しもあり、明らかにギャンブルに転用し得ないと判断される設備は除外されています。これには、打撃の強さを測る「パンチングボール」の類や、占い機などがその典型例として挙げられます。また、「モグラ叩き」も、経過を観察するとの留保は付いたものの、とりあえず風適法の対象機種からは外すとされ、こんにちまで見直しが行われたことはありません。

(5)の「カジノゲームの設備」が(1)のメダルゲームと分けてあるのは、このジャンルの設備がコインオペレーションではないからでしょう。このような設備が普通のゲームセンターに設置されるケースは(今は)少ないですが、「カジノバー」という業態で一般的です。つまり、「カジノバー」が風適法によって受ける制約は、通常のゲームセンターと全く同じということです。

よく、「カジノのゲームでパチンコみたいに景品(法律上は賞品)と交換するような営業をすればいいじゃん」と言う人がいますが、カジノバーはこのように5号営業に属することをご存知ないのでしょう(UFOキャッチャーなどのプライズ機についての説明はここでは省略します)。

以上5種類の遊技設備を設置して行う営業は、「風俗第5号営業」として所轄の警察署の許可を要します。ただし、若干の例外が認められていて、ホテルや旅館、大規模小売店、遊園地に設置されるゲームコーナーは、いくらかの要件を満たしていれば、許可を要しません。また、ゲームの専業店ではない、一般の店舗にゲーム機を設置する場合は、ゲーム機の設置面積の3倍が店舗面積(厳密には、店舗のうち客の用に供する部分の面積。つまりバックヤードやカウンター内などは含まれない)の10%以内であれば、許可の申請は省略できることになっています。ただし、その場合でも、稼働するゲーム機そのものについては風適法の制約を受けます。

「風俗営業になったからって、別に許可さえ受ければいいんでしょ?」と思う向きもあるかもしれませんが、風俗営業にはこれまでになかった制約がいろいろ発生します。

【風俗営業の制約(概略なので表現は不正確です)】
(1)営業時間:深夜営業ができない
(2)立地条件:住宅街、学校、病院などの近くでは開業できない
(3)人的要件:未成年者、犯歴があり一定の期間を経ていない者等には営業許可が降りない
(4)管理者の選任:資格の条件を満たす専任の常駐管理者を置かなければならない
(5)事業所の管理:従業員名簿の作成保存、施設の構造や設備の管理

風俗営業となる以前では、町中の商店がいきなりインベーダーハウスを始めることも簡単にできましたが、風俗営業となってからはそう言いうわけにはいかなくなり、警察の監督を受けるために業界にとっては負担が重くなる面倒ごとが増えました。

しかし、許可を与えるということは、そこで行われているビジネスが正当なものであることを行政が認めるということであり、それまで世間一般からは真っ当な産業と思ってもらえていなかったゲーム業界としては、営業許可というお上からの「お墨付き」を受けるのはむしろ良いことではないかという前向きな考え方も、ないこともなかったようです。余談になりますが、性風俗関連特殊営業は許可を要さず、届け出だけで営業できます。これはなぜかというと、中でナニが行われているのかチェックできない業種では、お墨付きを隠れ蓑として暴走する業者が現れても、当局による指導のしようがないという事情があるからです。

◆風適法が施行された1985年の業界のできごと
 ・セガ、「UFOキャッチャー」発売(2月)、体感ゲームの走りとなる「ハングオン」発売(7月)。
 ・sigma、3フロア560坪の大型店舗「ゲームファンタジア・サンシャイン」オープン(7月)。
 ・オペレーターの業界団体AOU設立(10月)
 ・ビデオゲーム基板の端子の共通仕様JAMMA規格が制定される(11月)。




HANG ON(SEGA,1985)のフライヤー。二つ折りの表紙側(上)と中(下)。

(次回「新概念「特定遊興飲食店」の誕生」につづく)
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ゲーセンと法律の話(1):まずは風適法の解説から

2020年01月26日 18時22分57秒 | その他・一般
一般にはあまり知られていないようですが、「ゲームセンター」は「風俗営業」です。「風俗営業」と聞くと、「えっちなのはいけないと思います!」的な方向の想像が働く人も多いと思いますが、それは正しい理解とは言えません。まずは、「風俗営業」と関連する法律の簡単な説明から始めます。

「風俗営業」とは、「風俗営業適正化」という法律(本当はもっと長ったらしい名称)の第二条に定義される業種のことで、挙げられている順に「風俗第1号営業」から「風俗第5号営業」までの5種類があります。

◆5種類の風俗営業(条文に挙げられている順に、一般的な言葉に翻訳しています)
(1)接待を伴う飲食店(例:キャバクラ、ホストクラブなど)
(2)店内の照明を暗くしている飲食店(例:店内を暗くしたバー、喫茶店など)
(3)区画席に分けられた飲食店(例:5平米以下の個室となっている飲食店)
(4)遊技業その1(例:パチンコ、パチスロ、雀荘など。年少者の遊技不可)
(5)遊技業その2(例:ゲームセンター、カジノバーなど。年少者の遊技可)

これらの中には、「えっちなのはいけないと思います!」に該当するケースが発生する可能性を含む業種もないこともないようにも思えますが、しかしそれとて多くの人が想像する「フーゾクエーギョー」とはずいぶん距離があります。実はそのような業種は、「風俗営業適正化法」の中で「風俗営業」とは別に定められている、「性風俗関連特殊営業」というジャンルに属します。従って、こちらに属する業種を「フーゾクエーギョー」と言ってしまうのは、厳密に言えば誤りなのです。

ついでに言うと、「風俗営業適正化法」を「風営法」と呼んでも必ずしも間違いとは言えませんが、「風適法(ふうてきほう)とするのが望ましい」と述べる法学者もいます。というのも、「風営法」は、「風俗営業は取り締まるべき業種」という思想に基づく「風俗営業取締法(本当はもっと長ったらしい名称)」だったころからの略称ですが、1984年の法改正により、新法は「風俗営業は文化として適正な繁栄がなされるべきである」という思想に変わり、法律名も「風俗営業適正化法」となったという経緯があるからです。そういうわけで、拙ブログでは原則として「風適法」の略称を用い、「風営法」の略称は、旧法もしくは旧法の時代を指す場合に限定して使用するものとします。

さて、話を本題に戻して、風営法(旧法)のころは、ゲームセンターは風俗営業ではありませんでした。それが、前述のとおり1984年に法改正が行われて風適法(新法)となった際に、ゲームセンターは新たな風俗営業とされました。


新法可決を報じるゲームマシン紙(1984年8月9日号外)。この画像よりずっと読み易い、無料公開されているアーカイブにリンクしてあるので、ぜひご参照されたし。

ゲームセンターが風俗営業とされた最大の理由は、1981年より始まったビデオゲーム機による賭博事犯の爆発的な増加が大きな社会問題となったことにあります(関連記事:ワタクシ的「ビデオポーカー」の変遷(4) 80年代の日本におけるビデオポーカーの暗黒時代)。

また、当時のゲーセンは終夜営業が当たり前だったので、年少者の深夜徘徊もかねがね問題視されていた中、家出した二人の女子中学生が深夜の盛り場で何者かに連れ去られ殺傷されるという事件(ウィキペディア「新宿歌舞伎町ディスコナンパ殺傷事件」参照)の被害者の足取りに深夜のゲームセンターが含まれていたことも改正の後押しとなっていたと記憶しています。

賭博犯罪や少年非行の取り締まりを行い、また風俗営業を監督管理する警察にとって、これらは看過しがたい事態でした。そこで、賭博に利用され得るゲーム機を扱うゲームセンターを警察の監督下に置くことを眼目として、風営法は風適法に改正されました。この法案を国会に提出したのは、立法府である国会ではなく、当時の中曽根内閣です。これは閣法とか内閣立法と呼ばれ、内閣法の第五条にその権利が明記されているんだそうです。

この風営法改正案が提出された時、アーケードゲーム業界は、直接の影響を受けるオペレーターだけでなく、ゲーム機メーカーも含んで、蜂の巣をつついたような大騒ぎとなりました。当然ながら業界を挙げての抵抗も試みられましたが、法案は可決され、これによってゲームセンターの営業には所轄の警察署の許可を要するようになるとともに、深夜の営業ができなくなりました。そうそう、言い忘れてましたが、「風俗営業」は、その第1号営業から第5号営業まで、どんな業種であろうと深夜営業はできないのです。

(次回「風俗第5号営業(ゲーセン)の要件と制約」につづく)
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IR汚職事件で思ったこと

2019年12月29日 23時32分09秒 | その他・一般
拙ブログをご高覧下さった皆様、今年一年、どうもありがとうございました。拙ブログが幾分なりとも古いコインマシンに関する情報の拡散に役だっているのであれば、これに勝る喜びはありません。

さて、今年も終わりに近づいたところで、にわかにIR(Integrated Resort)関連の政治的なスキャンダルが持ち上がって参りました。汚職は当然のことながら糾弾されてしかるべきことでありますが、これを機に噴出しているIR推進反対派の主張は、カジノ及びギャンブルは絶対の悪であると決めつけているように見え、たびたびラスベガスに行ってはカジノでギャンブルを楽しんでいるワタシなどは、彼らにかかるとまるで反社会的な人物ででもあるかのようです。

◆ワタシにとってギャンブルとは何なのか
これでは不本意なので、この機会にギャンブルに対するワタシのスタンスを説明しておこうと思います。まず、ワタシにとってギャンブルとは、お金を払ってスリルを楽しむ娯楽であり、消費行動です。この点においては、お金を払ってローラーコースターに乗ることと本質的な違いはありません。スリルを得るための質草が、ギャンブルでは自分の小遣いであり、ローラーコースターでは自身の身の安全であるという点が異なるだけです。

お金が増えたか減ったかは、スリルを楽しんだ後にゲームの成功の度合いを示す結果に過ぎません。もちろん成功すれば嬉しいですし、失敗が大きければ落胆もしますが、それはスリルを求めた結果として受け容れなければならないものです。お金を失って「そんなつもりじゃなかった」とか「カネ返せ」などと言う人は、スリルで遊ぶ資格がそもそも無い人です。

◆ワタシはなぜギャンブルをするのか
カジノのギャンブルゲームの殆どは1回のゲーム時間が短く、スリルが次から次へと提供されるので、続けることが苦痛になりません。更にカジノのギャンブルゲームでは、ゲームが始まってから結果が出るまでの間にサスペンスが生じます。特定のゲームが面白いかつまらないかは、そのゲームにサスペンスを感じるかどうかで決まるとワタシは考えています。

つまるところ、ワタシがギャンブルで遊ぶのは、スリルとサスペンスが連続して楽しめるからです。「ばくち好きは遊んでお金を稼ごうとする人間のクズ」という言説を良く耳にしますが、メダルが何万枚増えようと金品と交換できないメダルゲームが日本のコインマシン市場で50年近くも主要なジャンルの一つとして確立できているという事実からも、それはごく限られた一面しか見ていない批判だと言わざるを得ません。

余談になりますが、どこにサスペンスを感じるかは人それぞれです。例えばワタシは、バカラにはサスペンスを感じないのでやりません。また、パチンコもやめて20年くらい経ちますが、やめた理由は、ゲーム開発者がサスペンスを感じさせようとするあまり、内部のプログラム的には既に当たりかハズレかの結果は出ているくせにプレイヤーの気を持たせるためにわざと結果を出し惜しんでつまらない演出で延々と引っ張り続けるようになって、感情を弄ばれているような強い不快を感じるようになったからです。サスペンスもなかなか難しいものではあります。

◆カジノ(IR)は打ち出の小槌ではない
カジノやIRの推進を反対する勢力がよく口にする、「カジノは負けた人のお金で成り立っている」とか「IRとはすなわちカジノでしょ」という言説は、反対の理由としては感情論的で脆弱な理論だと思います。今回の前半で述べたように、ギャンブル遊びは消費行動ですから、カジノがそれで成り立つのは、ローラーコースターの搭乗料金で遊園地が成り立つ理屈と変わるものではありません。また、IRとは「複合リゾート施設」の意味であって、カジノはその中の一施設に過ぎません。何となれば、カジノなど無くてもIRは(理屈の上では)成立し得ます。

ただ、このようなお粗末な反対論が出てくる責任の一端は、推進論者側にもあると思います。IR構想とは、海外からの訪日客を増やして国内でお金を使って行ってもらうための仕掛けを作ろうというものであったはずです。しかし、マスコミに流れるニュースはほぼカジノ一点に集中してしまっているにもかかわらず、推進論者側からIR構想の丁寧な説明を積極的に行う努力は殆ど報じられません。

IRには「MICE(マイス)」というキーワードがあります。これは、企業などのミーティング(Meeting)、企業などの褒賞・研修旅行(Incentive)、国際的な機関が行う会議(Convention)、見本市、トレーディングショウ(Exhibition)の頭文字を取ったものです。つまり、これらのイベントによって世界中から人を呼び込んで、産業や学術その他の情報の集約・発信の中心にしましょうと言う構想です。

しかし、IR施設(もしくはカジノ)を作ったからと言って、自動的にそこがMICEの会場になるとは限りません。MICEには主催者がおり、その主催者に日本のIRを会場として使ってもらうためには、主催者から見てそこがイベントを行うに魅力的でメリットを感じるようにアピールする必要があります。カジノはそのための仕掛けの一つにすぎないもののはずなのですが、ワタシは今まで推進論者からそういう説明があったという話を、新聞やテレビなどで聞いたことがありません。いや、多少はあったのかもしれませんが、知られていなければやっていないのと同じことです。そもそも、推進論者の中にもこのようなIR構想の理論をどこまで理解しているのかが疑わしいと思われる人も多く見受けられるように思います。今回、収賄で捕まった国会ギーンもそんなうちの一人ではなかったかと感じます。

MICEの主催者たちと交渉して、例えば何年後にはこれだけのイベントが開催できる見込みとなるよう努力を続けているなどと言った説明ができないようなIR構想であれば、それは日本の為政者が得意とする単なるハコモノ行政に過ぎず、カジノやギャンブルに寛容なワタシだって賛成できません。

あまりにもタイムリーだったため、年の最後に滔々と語ってしまいましたが、年明けからは平常運転に戻るつもりですので、どうぞ来年もご指導、ご鞭撻いただけますようよろしくお願い申し上げます。
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【更新お休みのお知らせ】

2019年09月12日 18時44分52秒 | その他・一般
原則として毎週日曜日更新を目標としている拙ブログですが、今週は13日(金)より遅い夏休みをいただいて、週をまたいでちょっとそこまでお出かけしてくるため、9月15日(日)の更新はお休みとさせていただきます。次回更新は9/22(日)頃の予定です。なにとぞご了承ください。
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