オールドゲーマーの、アーケードゲームとその周辺の記憶

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SEGA MAD MONEYがやって来た!(5):MAD MONEYの解剖その4

2022年12月25日 20時08分22秒 | スロットマシン/メダルゲーム

これまでリールユニットの背面及び両側面と見てまいりましたが、今回はいよいよ正面から見てみます。

リールユニットを正面から見たところ。

上図で青矢印で示しているのは、リールストップレバー(前回参照)と、これを保持する「リールストップレバーシャフト(Reel Stop Lever Shaft)」です。しかし、クロックファンがこれらにどのように作用しているのかはいまだに謎です。

赤矢印で示している黄銅色の筒は「コイン・チューブ(Coin Tube)」で、この中に今後払い出されるコインが積み重なっています。投入されたコインはこのコイン・チューブに入りますが、コインチューブが一杯で収納しきれず溢れたコインは、コイン・チューブの前を袈裟に横切っている「コイン・オーバーフロー・チューブ(Coin Overflow Tube)」を通じて「キャッシュ・ボックス(Cash Box)」に落ちて行きます。

コインチューブの下端は、6個の「スライド(Slide)」という部品を積み上げて構成される「ペイアウト・スライド(Pay Out Slide)」に繋がっています(右下の赤色に着色している部分)。ここにはコイン・チューブから続く20枚のコインが収納されており、6個の各スライドは下から順に2枚、3枚、5枚、4枚、4枚、2枚のコインを収納する厚みがあります。機械が自動的に払い出すコイン数は、チェリー1個の2枚から、5枚、10枚、14枚、18枚、20枚の6種類があるので、何番目以下のスライドを引くかを制御することによって、目的のコイン数を払い出せるようになっています。

ペイアウト・スライド部分の拡大図。上は平常時で、全てのスライドが定位置に収まっている状態。矢印と数字は、それぞれのスライドが払い出すコインの枚数を示している。下はチェリーが2個出現して5枚のコインを払い出したときのペイアウト・スライドの状態。最下段のコイン2枚と、その一つ上のコイン3枚を収納するスライドが引かれており、合計5枚のコインが払い出されている。もしオレンジ(コイン10枚)が揃った場合は、更に一つ上の5枚を収納するスライドも引かれて、2+3+5=10枚のコインが払い出される。

ペイアウトスライドでスライスされたコインは、リールユニットの基部である「ベース(Base)」の穴を通って「マネー・ボウル(Money Bowl)」に落ち、プレイヤーの手に渡ります。

リールユニットのベースの、コインが払い出される穴を底面から見たところ。次に払い出されるコインの一部が見えている。この状態からペイアウトスライドが右(この図で)に引かれると、コインは穴の位置まで運ばれて落ちてくる。

さて、これまでMAD MONEYの構造をざっと見てきたわけですが、コイン周りの機構は見なかったことにして無視してきました。と言うのは、昔のスロットマシンは、現代では電気的に行っているコイン周り部分をすべてメカ的に行っているので、現代の機械には無い概念の理解が必要です。しかしそれが、ワタシにはまるっきりちんぷんかんぷんだったのです。

とは言うものの、まるっきり触れずにいるのも気持ちが悪いので、一応こんなものもあるというメモとして残しておこうと思います。

コイン周りのメカ部分を水平方向から見たところ(上)と、やや上アングルから見たところ(下)。

両図の①は「チェック・ディテクター・レバー(Check Detector Lever)」と言い、リールユニットの①’「チェック・ディテクター・オペレーターレバー(Coin Detector  Operator Lever)」に作用します。また、①’’「チェック・ディテクター・ピン(Check Detector Pin)」が①と連動して動作します。

両図の②は「コイン・ディテクター・レバー(Coin Detector Lever)」と言い、リールユニットの②’「コイン・ディテクター・オペレーター・レバー(Check Detector Operator Lever)」に作用します。

と、このくらいまでは見ればわかりますが、ワタシがこれから先を理解するには特別な勉強が必要です。

謎の部分はまだ多く残っています。例えば今回も言及していますが、クロック・ファンがリールストップレバーにどう作用しているかは謎のままですし、そもそもリールがどうやって回転しているのかさえ突き止められておりません。そればかりか、前回で「ペイアウトディスクにはシンボルごとに割り当てられた同心円状に穴が開いている」と述べていた理解は、その後の調査でどうも正しくなく、ディスクの同心円はペイアウト・スライドに対応しているのではないかと言う疑念も出てきました。

今のワタシにはこれらの謎を独力で解くのは極めて困難ですが、いつの日か、少しずつでも理解を深めていきたいと思っています。

(次回・「リールストリップとペイアウト率の解剖」につづく)


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3 コメント

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Unknown (EM好きおじさん)
2022-12-28 10:34:33
こんにちは。私はオールドスロットマシンの内部機構にハマってしまいました。

youtubeや色々なサイトに古いスロットマシンの内部機構動画や写真がありますが、それらを見て私は以下の様に理解しました。かなり想像が入っているので、間違っているかもしれません。
1. リールを回転させるのはキッカーという部品で、‭人がアームを引くとスプリングを伸ばしながら移動し、最後にリリースされてリールのペイアウトディスクのノッチを叩いて回転させる。
2. 人がアームを引く過程(リール回転開始前)でメカニズムが3個のリールストップレバーをフリー位置へ移動し、該レバーを順にストップ位置へ戻す部品(Xとする)をスタート位置へ移動する。
3. リール回転開始と共にXはスプリングに引かれて元の位置へ戻ろうとするが、その時はギヤ経由でクロックファンを高速で回すので抵抗を受けてゆっくり戻る。Xの移動につれて3個のリールストップレバーが順々にストップ位置へ復帰してリールの回転を止めて行く。
4. 第3リール停止後に複数のピンがペイアウトディスクに押し付けられる。当たり役があれば各リール対応のペイアウトディスクの穴位置がそろっているのでその位置にあるピンが最後の位置まで押し込まれて、リンク機構でペイアウトスライドを動かしてコインを払い出す。

クロックファンが停止した状態からXが元の位置へ戻ろうとすると、クロックファンを一定回転まで加速する事になります。しかし1ゲームが終わってもクロックファンと関連ギヤは慣性でしばらく回転しているので、次ゲームを早く始める程クロックファンを一定回転まで加速するための仕事が減ってXの戻り方が速くなる、つまりリール停止までの時間が短くなります。

リズムメソッドはこの関係を利用し、次ゲームを開始するタイミングを正確に制御する事でリール停止までの時間を制御し狙った絵柄を出そうとするものだと思います。同じ機種でもバネの強弱や摩擦の大小でリール停止時の絵柄のズレ量が変わるので最初はカウントの調整が必要になりますが、タイミングが分かればOKです。狙った絵柄で確実に止められなくても、当たりになる確率は急上昇します。

しかしクロックバリエーターはクロックファン軸に強弱をつけてブレーキをかけるのでクロックファンの回転が乱れてリズムメソッドが使えなくなります。追加対策としてクロックバリエーターが最も簡単だったと思いますが、その後に設計されたスロットマシンは設計時にもっと安価な対策を講じた事でしょう。

あと「チェック・ディテクター」ですが、この「チェック」というのはコインではないトークンで、これを検出して(5円硬貨の様に中央に穴が開いているらしい)ペイアウトを強制的に止めるものだそうです。

nazox2016様、それではよいお年を。
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Unknown (nazox2016)
2022-12-29 18:06:32
EM好きおじさん、ご考察いただきをありがとうございます。
機械に触れる機会や時間が限られているのですぐには確認できませんが、今はまだ、どこに着眼すれば何が判明するかの見当を付けることさえ手探り状態なので、このような考察は大変参考になります。本当に助かります。リズムメソッドの推理も面白いですね。
「チェック」については、ワタシも最近になってやっと、穴あきのトークンのことであろうと見当が付いたところでした。過去においては現金の代わりに金券として使用できる「チェック(トークン)」が使われるケースもあったようですね。現代では使われていないシステムなのではじめのうちは思いつきませんでした。
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Unknown (EM好きおじさん)
2022-12-30 20:15:32
よいお年を、と言っておきながら再度コメントしてすみません。

この「次のゲームを早く始めるとリール停止までの時間が短くなる」という仕様が作りこまれた理由が気になりました。もしかすると最初からこれを狙った訳ではなく結果的にこうなったが、次のゲームまでの時間は同じプレイヤーが続けてもばらつきがあるからリール停止時間に乱数性がもたらされて良いと考えたのではないでしょうか。まさか次のゲームまでの時間を数分の1秒オーダーで正確に制御するプレイヤーが表れるとは思っていなかったのです。

リズムメソッドに関して考えてみました。nazox様のリズムボーイズのページを読むと5秒間に20カウントすると書いてあるので1カウントは1/4秒です。一方リールに20個の絵柄があって毎秒2回転と仮定すると毎秒40絵柄がペイラインを通過するので1絵柄当たり1/40秒。つまりクロックファンが少しずつ回転数を落としながら回っている時、1/4秒待つとクロックファンの回転数が落ちる分次ゲームにおいて一定速度になるまでの時間が延びて部品Xの移動速度がわずかに遅くなり、その結果リール停止時間が1/40秒延びて絵柄1つ分余計に回って停止する、という計算になりました。ホントにそうなるのかな…

それでは。
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