60年代のTAITOシリーズの追加情報2回目は、1967年発売の「サンダーバード」です。ワタシは今回のシリーズの1回目、「1960年代のTAITO(1):1964-1967【情報求む】」の中で、この「サンダーバード」について、「ジャンルの見当すらつかず、調べるにしても絞り込みもできない」などと泣き言を言いました。
すると、昭和時代に頒布されていた観光ホテルのパンフレットのゲームコーナー画像を多数掲載するブログ「しいたけと猫が好き」のオーサーであるaccs2014さんから、コメント欄に「JAIA(注・AM産業の業界団体の略称)の資料でちょっとだけ確認できる」との情報をいただきました。そこには1975年に撮影されたという「水上温泉ホテル」のゲームコーナーの画像があり、その中の機械の一つが「サンダーバード」だと説明されていました。
1975年の撮影とされる水上温泉ホテルのゲームコーナー。矢印がサンダーバード。
水上温泉ホテルのゲームコーナーの画像から、サンダーバードの部分を拡大。
カラーで比較的鮮明なこの画像は、しかし残念ながら、サンダーバードの全容までは見えません。そこに、やはり拙ブログにしばしばコメントをくださるEM好きおじさんと言う方が、サンダーバードと思われるゲームの内容として、
「クレーンゲームの筐体を利用した、玉を目標に落とすゲームがありました。クレーンを降ろす代わりに可動部からパチンコ玉程度の鋼球を落下させて、下に何個か設置してある目標物の上面に開いている穴に入れるという感じでした。成功すると別の目標にチャレンジできる仕組みだったと思います。外れた玉は傾斜した底板を転がって回収されていきました」
とご説明くださいました。さらにEM好きおじさんは続報として、「白黒だが見やすいサンダーバードの筐体画像が、英語版Wikipediaを経由して閲覧できる米国の「Cash Box」という業界誌にある」との情報をくださいました。
「Cash Box」1968年7月号に掲載されていたTAITOの広告から、サンダーバードの筐体。
この画像を見て、これまですっかり失念していた、かつてTAITOの社員だった方から一部をコピーさせていただいていたTAITOの社史本「遊びづくり四十年のあゆみ」の存在を思い出して調べたところ、その64ページに、「四十二年には「ペリースコープ」「サンダーバード」「バスケットボール」「サッカーゲーム」を(中略)発表した」との記述があり、Cash Box誌よりも幾分シャープな筐体画像も掲載されていました。
「遊びづくり四十年のあゆみ」のP.64に掲載されている「サンダーバード」の筐体。コントロールパネルのジョイスティックがはっきりと見える。
実はワタシには、1970年前後に富士急ハイランドのゲームコーナーで遊んだ記憶はあるものの、タイトルもメーカーも覚えていないゲームがあったのですが、今回それがサンダーバードであることが判明しました。およそ50年にわたって心の隅に引っかかり続けていた謎が皆さんからの情報によって解明されて、感謝の念に堪えません。本当にありがとうございました。
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ところで、今回の本題とは外れますが、せっかく水上温泉ホテルのゲームコーナーの画像があるので、ついでにこの中に見られるゲーム機を特定しておきたいと思います。
●右手のガンゲームは手前が「スペースモンスター」(太東貿易、72)、奥が「ラットパトロール」(太東貿易、71)。
●左手の手前が「スカイファイターII」(太東貿易、71)、奥のドライブゲームが「スピードランナー」(太東貿易、72)。
●奥壁面のピンボールのうち右が「スパニッシュアイズ」(ウィリアムズ、71)」、左が「キングロッククール」(ゴットリーブ、72)」(11/30修正:キングロックは4P用だが、画像は2P用に付き修正。製造年は変わらず)。
●ピンボールの左が「ファンタジー」(太東貿易、69)、そのさらに左が「タイム80」(ユニバーサル、70)。
●浴衣姿の男女二人が興じているゲーム機と、その後ろに見えるドームがかぶさっているゲーム機、およびその左に見える白い浴衣姿の男性が手をついているゲーム機は、残念ながら特定できませんでした。ご存じの方がいらっしゃいましたら、ご教示いただければ大変ありがたく存じます。((12/5日追記):その後accs2014さんより「『ドームがかぶさっているゲーム機』は、前々回記事「1960年代のTAITO(2):1968-1969【情報求む】」で言及している『ゴールデンアーム』ではないか」との示唆をいただきました。確かに筐体側面は赤一色だし、コントロールパネルの様子も一致しているように見えます。また、ドームの中にはアームと思しきものも見え、さらにこのロケがTAITOの縄張りであることから、ゴールデンアームで間違いないと思われます。)
特定できた国産品のうち、「タイム80」は唯一TAITO製品ではありませんが、この機械は1972年頃TAITOの子会社となっていた日本自動販売機社からも売り出されていた(関連記事:ユニバーサル1977)ので、このロケーションはTAITOが縄張りとしていたことが窺えます。
それにしても、今よりも製品寿命が長かった時代とは言え、1975年の撮影にしてはラインナップがやや古く、実際はもう少し早い時期に撮影されたものではないかとも思われます。
さて、先週時点の予定では、1960年代のTAITOシリーズは今回で終了するはずでした。しかし、長年の謎が解けたことからついつい熱く語ってしまい、またテーマ外のトピックも加わって長くなってしまったので、バスケットボール(67)とファンタジー(69)については次回「追加情報その3」に持ち越しとさせていただきます。