このシリーズは、今回も朝日新聞に連続掲載されていますが、どうもあまり進んでいないようです。宮城県教育委員会や東京都品川区教育委員会が電子黒板や教育情報ネットワークシステムを導入しても、一向に教室での電子化が進んでいないので、見直しているとか・・・そういった記事が多いですが、当然だと思います。つまり、ソフトバンク、NEC、富士通、東芝、教科書会社などが、現場の意見からはかけ離れた立場の教育研究者の意見を聞いて開発されたと思われるシステムであるがゆえに、現場の教師にとっては、使いにくいし役に立たない無用の長物に見える面が多いのであろうと考えられるからです。
例えば、数日前にもこのブログで書きましたが、①「授業をプレゼンテーション化しない」、②「選択形式の問題集は作らない」③「虚構のシミュレーション映像ばかりに偏らない」、④作図などの手作業を大切にして、安易にPCでの作業を導入しない。などの、およそ、PC活用とは相容れない、あり得ない方針に基づいて教育コンテンツや電子黒板を生産しているからです。
① も②も③も④もPCの独断場であり、これを除いてはPCの利用価値はゼロに等しいのです。これらの意見は、直接体験や手作業が大事だと述べていますので、文部科学省の新指導要領に準拠した考え方だということで、一見現場をよく理解しているようにも見えますが、それは一面的な決め付けであり、これが確実にPCの教育利用を衰退させている原因なのです。以上の四点は、それぞれ、①パワーポイント、②エクセル、③昔からの天体や星座の動きのソフトウェア ④昔からの算数・数学の図形・立体図形の作図ソフト などを利用すれば、容易に導入できますし、採点、理解度のチェックができます。特に、①や②はすべての教師が、方法さえ研修して身に着ければ、全員の教師が自作コンテンツを作成できます。
つまり、直接体験や手作業は大切ですが、それ以上に体験したことを何度も繰り返しフィードバックすることも重要です。この復習や繰り返し練習を通じて、個々の子どものつまずきをチェックして、集計し、指導の改善に生かすのがPCやタブレットや電子黒板や教育ネットワークシステムの役目であり出番なのです。これによって、学習がクラス全員に確実に定着するのです。この教育効果を看過してはなりません。・・・まさか、教師の〇付けや採点や間違いチェックなどの作業も手作業や直接体験が大事だと新指導要領に書いているわけではないのです。これらは、機械化すれば効率がいいのです。
でも、今更 エクセルやパワーポイントの活用といっても既に行き渡っているし、古いPCでも作成できてしまうので、PC関連業界の収益に結びつかないのです。また、今から15年も以前のシミュレーションの教育ソフトは、もうとっくの昔に廃盤にしてしまっているか著作権の問題で再販しても利益率が低すぎるとか、あるいは、すでに各現場で購入済みであり新たな購入が見込まれないとか・・・要するに、企業側の都合だけで商品開発が進められているのです。従って、今後は現場サイドの意見をモニターして、現場に受け入れられるソフト作りに一層努めなければならないと思います。既に富士通では元校長や佐賀県教育委員会では元マイソフト社で教育ソフトに精通していた社員を採用してこれを研究していますが、全国の各自治体の教育委員会も努力して欲しいと思います。
私の具体的な提案としては、教育の情報化を急ぐのであれば、最初は収益性を求めないで、各教育委員会でPCに堪能な元教師の定年退職者やPCソフト開発会社のスタッフを講師に招き、教育センターでPC研修を行ってすべての教師がパワーポイントやムービーメーカーやエクセルの使い方をマスターし、シミュレーションソフトの活用法を知らしめれば、自然に教育のIT化は達成できると思うのです。
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