行雲流水

仏教をテーマとした記事を掲載しています。

死ぬときは死ぬしかない

2014年05月27日 | 禅の心
僧洞山に問う、「寒暑到来、如何が回避せん?」。

山曰く、「何ぞ無寒暑のところに、向って去らざる」。

僧曰く、「如何なるかこれ無寒暑の処?」。

山曰く、「寒時は闍黎(じゃり)を寒殺し、熱時は闍黎(じゃり)を熱殺す」。
(碧巌録第43則)






ある僧が洞山良价禅師に聞いた、「暑くなったとき、寒くなったとき、どのようにすればその暑さ寒さから逃れることができますか?」

洞山は言った、「それじゃあ、暑さ寒さのないところに行ったらよかろうが。」。

僧は聞いた、「その暑さ寒さのないところってどんなところですか?」

洞山は言った、「寒いときは寒さでお前さんを殺し、暑いときは暑さでお前さんを殺してしまえばいいんじゃよ」






これは暑さ寒さを生死と置き換えてもいいと思います。「寒いときには寒さでお前さんを殺し」というのは、寒いときには寒さになりきるということです。

死ぬときは死になりきるということです。人間にとって死は決して避けて通ることのできないものです。それを避けて通ろうとすればさらに苦しくなるのです。否応なしに死神はやってきます。死を迎えることは、自分には思い通りにならないことなのです。思い通りにならないことを何とかしようとするから苦しいのです。人間いつかは死ぬということが仏の教えのテーマの一つであり、いつかは死ぬ存在の人生をどう生きるかを考えることが大きな問題なのです。

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