行雲流水

仏教をテーマとした記事を掲載しています。

原点

2020年07月31日 | 禅の心
高僧の方が仏門に入った動機に「幼いときに親しい人の死を通して無常を感じた」というのがよくありますが、私は4歳の時に祖父の骨を見て無常ではなく、ただ死は恐怖でしかありませんでした。この4歳の時の記憶が原点です。

悪い肉などない

2020年07月28日 | 禅の心
幽州(ゆうしゅう)の盤山(ばんざん)の宝積(ほうしゃく)禅師 因(ちなみ)に市肆(しし)を行く。一客人の猪肉(しょにく)を買うを見る。屠家(とか)に語って曰く、精底一斤(せいていいっきん)を割(さ)き来たれと。屠家刀を放下(ほうげ)して曰く、(ちょうり)那箇(なこ)か是(こ)れ精底ならざると。師(し)之(これ)に省(せい)あり。

盤山の宝積禅師が買い物に街に出かけると、肉屋の前で客が店主と話していました。
「上等の肉を用意しちゃんさいや」
そうしたら店主は包丁を放り投げて言いました。
「どこに上等でない肉があるんかね。」
宝積禅師はこれを聞いてはっと思ったと・・・。


良い悪いは所詮人間の「分別」によるものです。善悪、生死など対立概念で考えないということを宝積禅師は考えたのではないでしょうか。

少し話は飛躍しますが、昨今「命の選別」や「安楽死」について話題になっていますが、「いらない命などない」とこの話を聞いて私は思いました。

有名でないことが値打ち

2020年07月21日 | 禅の心
加藤耕山老師90歳の写真です。実にいいお顔です。曹洞宗では澤木興道老師、内山興正老師があまりにも有名ですが、耕山老師はそれに並ぶ禅匠だと思っています。著書がなく、無理やり世に引っ張り出された方といった方です。何もしゃべらなくても光を放っています。

量子力学と東洋哲学

2020年07月17日 | 禅の心
化学の教科書に出てくるデンマークの物理学者ボーア(1885ー1962)は陰陽が統合する様子を図案化した《太極図》をよく使っていたそうです。ボーアは原子のモデルを考えた時に、ほとんど体積のない陽子、電子、中性子が原子を作り出しているのは、陰(電子)と陽(陽子)の調和だと考えたのです。陰と陽が調和的に統合されていることで、この宇宙はできあがっているわけです。陰と陽は溶け合っているから「光と闇」「生と死」というように分けることができないのです。「阿弥陀様の光明」と言いますが、
仏様からみると光と闇は一つのものであり命は永遠なのです。