行雲流水

仏教をテーマとした記事を掲載しています。

謙虚に、そして悔い改めよう

2012年12月28日 | 禅の心
蓋世功労、当不得一個矜字、弥天罪過、当不得一個悔字

世を蓋(おお)うの功労も、一個の矜(きょう)の字に当たり得ず、
天に弥(わた)るの罪過も、一個の悔の字に当たり得ず

天下に鳴り響くほどの功績を立てても、高慢になれば何の値打ちもなくなってしまう。
天の神の怒りをかうほどの罪を犯しても、心からそれを反省して悔い改めれば、罪は残らず消え去ってしまう。




今年、ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授は、自分の力で受賞できたのではないと、謙虚に話していました。だからこそ受賞の値打ちが増すのです。

人は、自分の功績を鼻にかけ、自分の行っている悪事に気づかない、あるいは気づいても反省しようとしないものです。高慢な人はそのうち人望を失い、自らを省みない人は、大きな危機に直面します。

人生は、自分自身どのように生きるかが問題です。他人への攻撃ではなく、自分自身がよりよく生きることが大切です。

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日本人とクリスマス

2012年12月25日 | 禅の心
芥川龍之介に『神神の微笑』という短編小説があります。これは、安土桃山時代に、宣教師のオルガンティノが、日本での布教が思うようにいかないことについてのお話しです。日本人は周辺諸国の文化を受け入れて、日本風に消化し、定着させてきました。インドや中国の神々もそうです。七福神の中には日本の神様は恵比寿様だけで、あとはインドや中国の神々なのです。オルガンティノの目は虚ろになり、気分は憂鬱になります。日本人には一神教は馴染まないと思ったからです。
日本人は何でも受け入れてしまいますが、日本風にアレンジする能力に長けているようです。クリスマスもそうです。イエス・キリストの誕生日を祝うというよりも、子供にサービスしたり、カップルで過ごすという面に重きが置かれています。日本らしく家族で過ごす日という意味が強くなっています。
オルガンティノが嘆く通り、クリスマスも日本風に変えられてしまっているのです。

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自分には厳しく、他人には優しく

2012年12月21日 | 禅の心
人之過誤宜恕、而在己則不可恕。
己之困辱当忍、而在人則不可忍。






人の過誤(かご)は宜しく恕(ゆる)すべきも、而(しか)も己(おのれ)に在(あ)りては則(すなわ)ち恕(ゆる)すべからず。
己(おのれ)の困辱(こんじょく)は当(まさ)に忍(しの)ぶべきも、而(しか)も人に存(あ)りては則(すなわ)ち忍ぶべからず。








他人の過ちは許すようにすべきであるが、自分の過ちは許してはいけない。
自分の苦しみや屈辱には耐えなければならないが、他人の苦しみに対しては見過ごしてはならない。自分のことは差し置いて、全力で苦しんでいる人を助けなければならない。
仏教では、「自分はどうか」ということが一つの大きなテーマになっています。古今東西、クレーマーと呼ばれる人がいます。クレーマーの中には他人の過ちに敏感ですが、自分には甘い人がいます。自分の悪に気づくことなく、ただ、他人を責め立てる人は決して良い人生を送って行くことができません。他人は何も言わなくても、煙たがり誰からも相手にされなくなっていくからです。徳を備えた人は、自分には厳しく、他人には優しいものです。

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むさぼらないこと

2012年12月18日 | 禅の心
道元禅師の言葉に

「その布施といふは不貪なり。不貪といふは、むさぼらざるなり」

があります。簡単に言えば、布施はほしがらないことだと言うのです。
布施と言えば、一般的にはお寺やお坊さんに金品を寄付することと考えられています。それを、貪らないことだと、道元禅師は言うのです。

仏の教えは少欲知足を説きます。戦後の日本は、大量生産、大量消費で発展してきました。このことは決して悪いことではなかったのですが、少欲知足とは逆の「もっと、もっとたくさん」を旨としてきました。しかし、今、それができなくなる社会に向かいつつあります。ここで少欲知足という言葉をもう一度考えてみる時にさしかかっていると思います。

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親切、辛切、深切

2012年12月14日 | 禅の心
他者には親切
自分には辛切
真理には深切

3つの「しんせつ」をつくそう
世の中が明るく
みんながしあわせになる道だ




「親切、辛切、深切」は、山本玄峰老師の言葉です。
他人には優しく、自分には厳しくということですが、現代人は逆に他人に厳しく、自分に甘い人が多くなっています。自分のことは棚に上げて、クレームをつけたがる人や、何でもかんでも批判せずにはいられない人が多くなっているように思います。人への批判よりも、自分はどうあるべきかを考えることが大切だと思います。

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