行雲流水

仏教をテーマとした記事を掲載しています。

天女の嘆き

2012年11月30日 | 禅の心
薬師寺の東塔のてっぺんの部分(相輪)の更に上の部分である水煙に24人の天女の像が彫り込まれています。しかしその表情は、もの悲しそうです。若く美しかった天女も、いつかは年老いていき、その美貌も薄れていくからです。そして、死んでいくのです。薬師寺東塔の天女は、やがて老いが来ることを感じて悲しんでいるのです。私たちは、老いて、病気になって死んでいくことからは、決して逃れることはできません。仏教は、虚無主義ではありません。私たちは老いて死んでいく身であるからこそ、充実した人生を送って行くことを勧めています。桜の花は、短い時期に精一杯咲いているから美しいのです。短い人生をどんな形でもいいから自分にとって充実したものにすることが大切です。

天女たちは、もう一つ別のことを語りかけています。物事には、盛んな時期があれば、必ず衰える時期があるということです。人生で成功した時期があっても、いつまでもそれが続くことはないということです。調子の良いときには気をつけなさいということなのです。栄枯盛衰と言いますが、人生はまさにその通りだと思います。

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答えはない

2012年11月27日 | 禅の心
「共通一次世代」「センター試験世代」というように、50代の前半までの人は、高校で正しい答えを選ぶ訓練をしてきています。マークシートの試験でなくても、小学校から高校までの勉強は、きまった答えを求められるものが多いです。しかし、人生においては、正解のない問題も多くあります。たとえば仕事に生きるのがいいのか、自分の趣味や個人の生活を充実させるのががいいのかというような問題です。もちろん、社会で生きて行くには、最低限の仕事をしなければなりません。しかし、仕事一筋で、自分の趣味などに時間を費やしてこなかった人は、老後にまたむなしい思いをすることもあります。仕事一筋の人はそれはそれで価値のある人生だと思うし、趣味や個人の生活を充実させることにも価値があると思います。要は、人それぞれで、答えがあるわけではありません。正解を選ぶ勉強になれていると、人生にも何か答えがあるのではないかと思ってしまいます。このように、人生には答えのないものが多いのです。自分の頭で自分の人生を考えることが大事なのです。

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南無地獄大菩薩

2012年11月23日 | 禅の心
地獄は死んでから後にあるのではありません。人は悪いことをすれば、生きている時にすでに地獄を体験するのです。
地獄とは人間の怒り、愚痴、むさぼりなど、人間の悪い感情が作り出しているのです。また、人間は他の生き物の命を犠牲にしなければ生きていくことのできない性をもっています。私たちは、善人のふりをしていても様々な罪を犯して生きているのです。白隠禅師は、地獄が怖くて仏門に入ったと言われています。しかし、地獄は現実世界にあることに気がついたのです。そして有名な「南無地獄大菩薩」という言葉を発したのです。私たちは、生きている事自体、いろいろな罪をつくっているのです。それを自覚して生きることが大事なのです。

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怒りの火事は恐い

2012年11月20日 | 禅の心
怒りは心の火事です。場合によっては、これまで築き上げたもの、人間関係、地位、名誉なども焼き尽くしてしまいます。かつて、部下になめられていると勘違いして、カッとなって、部下を殴ってしまい、全てを失ってしまった人もいました。心の火事は全てを焼き尽くしてしまうこともあるのです。

 子供に接する時もそうです。子供に対して感情のおもむくままに、怒りをぶつけてしまうと、子供の心にも火事が飛び火してしまいます。感情を抜きにして叱らなければなりません。

 年をとってくれば、怒ることは、健康に悪い影響を与えることもあります。

年をとるにつれ、自分の感情を上手にコントロールすることが大切です。

 心の火事は、周りに飛び火していきます。

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洗脳されるな

2012年11月16日 | 禅の心
わが国は、明治以降、戦争への道をつき進んできました。そして、広島、長崎への原子爆弾投下という世界史上最悪の悲劇を迎えました。そして戦後は一転して戦争反対の機運が盛り上がりました。
人間というものは、良いことも悪いことも、周囲に流されてしまうというところがあります。みんながいいと言っているものはいいのだという、自分の頭で考えない人が多いのも確かでしょう。自分の頭で考えない人は、いわゆる洗脳されやすい人です。戦争はいけない、人殺しはいけないということを自分の言葉で考えて納得することが大事だと思うのです。イメージで判断する人は洗脳されやすいのです。
釈尊の言われた「自灯明、法灯明」は、自分を拠り所にしなさい、真理を拠り所にしなさい。洗脳されてはいけませんということなのです。宗教にはカリスマはいりません。教祖に依存しては、自分の本当の人生を歩んでいくことはできません。

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