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北朝鮮に資本主義の香り

2012-09-24 | ラジオ
えーソウル大学で教授を務める、ロシア人のラニコフ氏の私見と題して、北朝鮮に資本主義の香りと題するラニコフ氏の論文を紹介しよう。

最近、北朝鮮でビジネスをしていたり、駐在事務所で働いていたという(「ひとひと」)と話す機会が多くなってきた。
そういった人たちによれば、朝鮮民主主義人民共和国で起こっていることに驚きを隠せないようだ。特に官僚の行動に変化があるという。
長年にわたって官僚たちは韓国の人や、他の外国人と接する際、偉大なる指導者金正日氏への献身と、主体(?)への忠誠をいたずらに強調するきらいがあった。

しかし今となっては、外国人に対して白頭山のパルチザンなどについて語ることはないそうだ。さらに毎年のように百年に一度の大洪水が起こり、それ対する人道支援物資を求めるということもない。
彼らはその代わりにパートナーたちに対し、事務的な提案をするようになってきた。

そうした提案のうちいくつかは、かなり奇妙キテレツなものだということだが、さらにパートナー側も、どれほどの投資について真剣に議論できるのか、よく理解していない。
北朝鮮側の官僚は、外国人は皆お金持ちで、別にたいした問題もなく数百万のポケットマネーを、薬草栽培などに投資してくれるものだと考えているようだ。
特に若い官僚たちは海外のパートナーたちを探すのに余念がない。若ければ若いほど、ビジネスの夢は膨らむようだ。

また北朝鮮では9月25日に最高人民会議の会合が開かれる。そこでは資本主義の匂いがする、重要な諸決定がなされると噂されている。
これらはソビエト連邦における改革の初期段階を想起させるものだ。当時、若いソビエト官僚たちも、そのような起業熱に浮かされていた。外国人にアクセスできる者なら誰しも、時にはユートピアとしか思えないような、ビジネスプロジェクトをもって奔走したものだ。
特にコムソモールではビジネスに対して積極的だった。というのも、当時コムソモールに入った若者たちは共産主義を信じていたのではなく、党のキャリアの登竜門として割り切っていたからだ。つまり80年代のコムソモール員というのは、頭の回転が速く、シニカルでキャリアのためなら、なんでもするといった連中だった。そういった人々は当然、90年代のビジネスマンへと様変わりしていく。

現在北朝鮮では似たようなプロセスが始まっている。おそらく北朝鮮の官僚たちは、うまく市場経済に適応したソビエト官僚の成功を繰り返すことができるだろう。そのためには主体思想を捨て去らなくてはならない。
そもそも、その思想を信じていた人など、今までに誰もいなかったに違いない。ただ、北朝鮮には困難な課題がある。それは東ドイツの運命を繰り返してはならない、ということだ。

「ひとひと」という言葉の意味が判らない
(?)はベテラン女性アナウンサーが何語を言ってるのか不明

「欲望」と資本主義-終りなき拡張の論理 (講談社現代新書)
クリエーター情報なし
講談社

9月18日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル