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中国、エジプト外交にブレイクスルー

2012-09-02 | ラジオ
エジプトは外交政策の最優先事項に修正を行なっている。ムルシ大統領は今日(8月28日)から三日間の予定で、中国訪問を行なう。
就任以来、イスラム教国以外の国を訪問するのはこれが初めてとなる。従来エジプト指導部が、アメリカや西側諸国との関係拡大路線をとってきたことに比べると、これは大きな変化と言える。

ムルシ大統領の今回の訪問は国家レベルのものだ。訪問を国家レベルとすることで中国とエジプトは、すぐに1月25日のエジプト革命以来の両国関係に戦略的な性格付けを行なった。なぜこうした事が行なわれたかについては、双方にそれぞれの理由がある。
アラブの春革命はチュニジア、リビア、イエメンにおける中国の立場を大きく弱めた。
中国からは、これらの国に巨額な投資が行われている。将来の展望が読めないよう、数十社の中国企業は商業的利益に大きな損害を蒙った。
アラブの春革命の起きた地帯における、こうした背景ではエジプトは、中国が自国のプレゼンスを最大限確立しようとする一点として残っている。試算で30億ドルから50億ドルの協力に関する文書が、今回の訪問で結ばれるものと見込まれている。この額はアメリカがエジプトに約束した軍事支援を、はるかに上回るものだ。

専門家たちは、首脳会談のなかで中国からエジプトと軍事技術協力を拡大する構えであるという、声明が出される可能性も除外していない。現在この分野は事実上アメリカの独占状態にある。
ムルシ大統領には、アメリカからの軍事支援に直接的に依存する軍部と、新たなトラブルを起こす必要性はないことから、この問題に関して大手を振って中国に迎合することはないだろう。
しかもアメリカは自国のパートナーが、ほんの些細なことでも中国とコンタクトをとった場合、これに過敏な反応を見せているからだ。
これはエジプトに関しても同様だ。というのもインフラへの新たな投資や貸付はエジプトにおける中国企業のプレゼンス拡大につながるからだ。これはアメリカにとっては新たな頭痛の種であり、中国を抑止する戦略計画、経済計画には打撃となる。

ムルシ大統領は中国訪問後、イランへと向かう。イランとエジプトの間には、1979年のイラン革命で、エジプトがパフラヴィー国王の政治亡命を受け入れて以来、外交関係はない。

中東研究所のサタノフスキー所長は、中国からイランへの歴訪は多くの象徴を含むものだとして次のように語っている。
「中国とイランの関係とエジプトとイランの関係は、かなりしっかりと拡大しつつある。アメリカの上からの影響を排除した形での、世界秩序を構築する試みが成功する可能性もある。そうした秩序では中国にもイランにもエジプトにも、そしてアメリカの支配を嫌うほかの諸国にも独自の場所が現れるだろう」
所長は、このように述べている。

アラブ世界は革命の結果、国際政治における新たな場所を模索している。エジプト新大統領の中国訪問、イラン訪問はこの傾向を如実に表している。

古代エジプトうんちく図鑑
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バジリコ

8月28日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル