共産党後援会の「前進座」観劇会があり、俳優の嵐圭史さんが自ら、区議団の控え室を訪れて、観劇のお誘いがあったので、区議団の何人かで参加。私は家族で参加しました。
『切られお富-処女翫(むすめごのみ)浮名横櫛-』は悪婆物の典型に数えられていますが、そもそもは可憐純情な女性だったお富が、疵だらけになりながらも、夫をけしかけ、強請り(ゆすり)騙り(かたり)、果てはその夫を包丁で…。しかしながらその悪事は、とどのつまりは身を捨てて、愛する与三郎に尽すため……という一途な恋心が引き起こすドラマの数々。濡れ場、責め場、強請り場、立ちまわりーと見どころいっぱいです。
あらすじ
表向きは絹問屋、実は盗賊の観音久次こと赤間源左衛門(梅之助)。その手代の蝸蝸の安蔵(矢之輔)は、今日こそ、かねて横恋慕する赤間の妾、お富(國太郎)への思いを遂げようと、悪い仲間と示しあわせ、彼女を援って滑川の辻堂前で……。あわやというとき、かつて木更津の船中で見初め、契りを交わした浪人の井筒与三郎(広也改め七代目芳三郎)が来かかり、助けられる。と、激しい雷鳴。二人は辻堂へ
その密会を知った、源左衛門は、お富をなぶり切りにして、川に捨てる。-安蔵はこれを助け、薩埋峠に茶店を出して同棲する。たまたま通りかかった与三郎は、疵だらけのお富と再会。お富は、与三が自分の主筋の子息であると知り、さらに彼が仕える主家の宝、名刀北斗丸を探し求める浪々の身で、所在を尋ねあてはしたものの、買い戻す二百両に窮しているとわかると、その調達を引き受ける。安蔵とぐるになって、今は府中の弥勒町で女郎屋の主人におさまっている赤間の弱昧をっき、二百両を強請りとる。
-その帰りみち、二人は畜生塚で金を奪いあい、安蔵は傘をカセに、お富は出刃をかざして立ち廻り…。これ以上はネタバレになるのでぜひ、劇場へおいで下さい。
前進座公演は5月22日(土)まで国立劇場で行なわれています。
一等席9800円、二等席4000円、三等席2500円です。
前進座公演 0422-49-2811 http://www.zenshinza.com
国立劇場ははじめてでしたが、歌舞伎では口上と大向うが楽しみです。
口上は嵐広也改め七代目嵐芳三郎 襲名披露口上 ということで、与三郎役の七代目嵐芳三郎の襲名について、中村梅之助、藤川矢之輔、河原崎国太郎というテレビでもおなじみの俳優さんが口上を述べました。
歌舞伎では劇の雰囲気を盛り上げるために、大向うから声が掛かる。
不文律として以下に挙げられる決まりごとが言われることが多い。絶対的なものではないにせよ、これらも一種の観劇マナーと考えられる。
誰がやるか
決まりを守って声を掛けるならば、男性ならば誰がやってもよい。声を掛ける団体に所属する必要はない。
場所
劇場の後方に陣取る。「安いから」「天井に近く、声が天井に反射してとても通りやすいから」という理由である。反対に、桟敷席や1階席から声をかけるのはご法度とされる。他の見物の邪魔になるからである。前方の座席から声がかかると、後方の客はのけものになったような気になってしまう。
タイミング
狂言によってさまざまなポイントがあるが、「面張り(とくに揚幕)」「引っ込み」「見得(ツケが入る)」「幕切れの柝頭」にかけるのが一般的である。原則として舞台が無音のときに掛ける。
性別と声
男性が掛けるのが一般的である。女性が声を掛けてはいけない。
よく通る声やわかりやすい声がよい。掛け声だとはっきりわかる声で掛けなければならない。声の大きな独り言のようであってはならない。とされています。
役者への掛け声
役者に対して掛けるが、その掛けかたには以下の種類がある。
屋号、これが基本。そもそも歌舞伎役者は姓名ではなく屋号で呼びかけるのが礼儀(「市川さん」「團十郎さん」ではなく、「成田屋さん」と呼ぶ)。
前進座は「やまざき屋」の屋号の人が多いらしく、最後の場面で「やまざき屋」の傘が登場しました。
その他、役者の町名、異名、~代目などと声をかけることがあるそうです。今回は「七代目」という声がかかりました。
大向うはやってみたい気がしましたが、歌舞伎をたくさん見ていないとできませんね。
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