10月2日から足立区議会決算特別委員会が始まりました。日本共産党は針谷みきお、鈴木けんいち、浅子けい子、はたの昭彦の4議員をたて近藤区政の行財政運営の結果と税金の使い方を検証し、来年度予算編成に向けて、区民要求を実現させるためにがんばります。第一日目は委員長、副委員長の互選がおこなわれ、午前に針谷みきお議員、午後ははたの昭彦議員が質問しました。
針谷みきお議員の質問は要旨次の通りです。
●質問=まず、わが党が16万世帯に実施した第14回区民アンケートに対して、過去最高の2700人から回答を頂いた。消費税増税後、4~6月期の国内総生産(GDP)の速報値がマイナス6・8%の大幅な下落だったが、とくに個人消費の落ち込みがひどく、過去20年間で最大の下落幅となったとマスコミが報じている。
過去最高の2700人が回答
区民アンケートでは消費税増税によって暮らしはどうなったかという設問に対し、非常に苦しくなった14.9%、苦しくなった59、8%で74.7%となった。もっとも区民に密着している区行政としてこの結果をどう認識しているか。
○答弁=16万世帯中2700の回答ということで、党区議団の調査結果として受け止めている。
消費税増税で生活が「苦しくなった」人が74.7%
●質問=世論調査結果とほぼ同じ結果だ。真摯に受け止めるべき。アンケートには「いままで消費税は社会保障に回ると思っていた。どうせ10%になっても回らないので絶対反対です。」という声が寄せられた。前年度から比較して、国保料が上がった方が半数近くに上り、10年以上の連続値上げに対し、保険料値下げを求める声は6割を超えた。消費税が実際には社会保障充実のためでなく、GDPや家計消費と実質賃金の低下を招き、区民生活に大打撃を与えている。消費税増税が区民生活に大きな打撃をあたえていると思うがどうか。
○答弁=増税の影響はある。増税分を「社会保障にあてる」ことは国も区もやっている。
区民の命や健康より、区財政を優先する区政運営を改めよ!
●質問=こうした区民生活の実態に対して、区は依命通達で、「区のボトルネック的課題である「治安、学力、困窮の連鎖、健康」の一目も早い解消に向けた施策を戦略的に推進し、これまでの区の「弱み」を「強み」へと変えていく」というが区政は区民に寄り添い区民生活を支える施策を展開することが求められていると思う。区政のボトルネックを解消し、強みに変えていくもっとも有効な対策ではないか。
○区長答弁=困窮の連鎖を断ち切ることをボトルネック的課題として重視している。困窮している人ほど増税・社会保障の負担増がのしかかる。横断的全庁的にとりくみ、27年度に予算化する予定。寄り添っていると認識している。
●質問=法人税率の引き下げのため、法人住民税の国税化と戦うべきだ。来年10月から消費税が10%に引き上げられた場合、区の歳入面では、地方消費税交付金については、平成27年度は経過措置があり、25年度決算比で年額57億の増収を見込んだ。消費税引上げ分60債円増については、社会保障費関連経費に充てるというが、社会保障のための新たな施策は見込んでいるのか。
○答弁=増税分は「社会保障の安定供給」に充てることになっている。高齢者増や少子化により需要が増えるなか「安定的な供給」の財源が必要。当然その中に、拡充・新規につかうこともある。
「新規」に社会保障の予算を増やせ
●質問=「新規」は今まで答弁してこなかった。ぜひちゃんとやってほしい。
●質問=次に区財政について聞く。25年度決算の特徴は、歳入(収入)・歳出(支出)ともに24年度決算と比べ増加し、歳入は、財政調整交付金など一般財源増収、国庫支出金など特定財源増収ともに増収となった。特別区債(区の借金)残高は減少としている。一般財源96 億円増収、国庫支出金など特定財源46 億円、区債残高は9億円減って581億円となった。間違いないか。
○答弁=間違いない。
●質問=(特定目的基金の推移を表で示す)鈴木区政から近藤区政でどのように変化したか。鈴木区政の時代平成14年と近藤区政平成21年でどうなったか。
○答弁=14年度は、基金総額254億円、財調基金13億円弱。21年度は総額が1041億円、財調基金は181億円弱。
近藤区政になり、ためこみ金(基金)4倍に(250億円→1000億円台に)
●質問=基金総額は4倍、財調基金は10倍以上だ。区は当初予算編成当時に、基金は底をつくかのような表現で議会と区民にがまんをしいる論に使っていた。実際にはそうではな
かった。ところで区は、25年度、ヒブ・小児用肺炎球菌・子宮頸がんワクチンの3つのワクチンは、4月から全額公費負担による定期予防接種となったが、その財源として、全てのがん検診について、原則一人当たりにかかる経費のうち委託料の3割程度の自己負担金を導入した。しかしお金はあった。25年度決算は過去最高の財政規模となり、当初予算で取り崩した基金も元に戻した。財調基金は264億円もあり、臨機応変に対応できた。
しかし、それをしなかったのは、区民の命や健康より区財政を優先すしたからではないのか。
○答弁=基金は竹の塚鉄道立体化など重要課題に活用。当時の財調基金総額は「とても心配でしょうがない」水準。
「人口減少」「少子高齢化」を利用して 区民にがまん押しつけの論に使う
●質問=質問に答えていない。答弁不能だということだ。
結局、区の財政状況は、経常収支比率が81.6%となり、前年度に比べ5.5ポイント減と大きく改善し財政硬直化の黄色信号は薄くなったといい、25年度は、人件費や公債費が減少したことに加え、財政調整交付金・特別区税など歳入の経常的一般財源等が大きく増加したことが要因であると財務報告書に記載し、わが党の指摘を事実上認めた。しかし人口減少や少子高齢化などを理由として危機感を扇動している。区の言う「エリア開発」では、大型開発・住居系のマンション増により、人口増が予想される。人口急増中の千住大橋エリアのマンション建設などによる人口増要因は見込んでいないですね。
○答弁=千住大橋は見込んでいる。エリアデザインは見込んでいない。
●質問=国は人口減少と少子高齢化が進行する中、『人口減問題の克服』をデフレ脱却と経済再生の次に乗り越えなければならない最大のハードルとして位置付けた。50年後も1億の人口を保つため、抜本的な少子化対策を進め、人口減と低成長の悪循環を断ち切る必要がある」と安倍内閣でもいっているのに、区の姿勢はあまりにも消極的ではないのか。攻めの姿勢ではなく守りに入っているのではないか。
○答弁=人口減少社会対策は、一自治体でできる課題ではない。最小限に減少を食い止める施策を盛り込んでいる。
区が本来、担うべき仕事をNPOやボランティアに押し付けるべきでない
●質問=さらに自治体間競争に勝ち抜<「魅力の創造」として「都市基盤の整備、エリアデザインや教育、保育など子育てのしやすい環境整備を進めることで、区の魅力を創造し、自治体間競争に勝ち抜く力を高めて、担税力のある若年層を呼び込み、定着させていく」というが、そうはなっていない。実際には、足立区では「子育てしたくない」と思わせるような保育ー23区でトップクラスに高い保育料(特に低所得者に重い)。23区でも先駆けて延長保育料まで別枠で徴収。認可保育園整備を長年拒否し続けてきたつけが回り、全国でも有数の過酷な「保活」。公立保育園は次から次へと際限のない民営化で、西新井エリアなど、公立保育園の全くない地域も。誘致した認可保育園は全て園庭のない保育園。梅田は高架下の保育園。民間法人は安上がりな保育で、保育士だけでなく園長までもがコロコロ変わり、安定した保育が望めない状況ではないのか。
○答弁=そういうことではなく、保育については量の確保とともに、室についても努力し、子育てしやすい足立区をめざしている。
●質問=そう言うが、じっさいにやっているのはこういうこと。
●質問=5月21日に開催された23区の研修会で明治大学教授は都市間競争で大型商業施設や大学等の誘致だけでは、近隣都市も同様の施設を誘致し多場合、一定の商圏・通学圏内の経済人口を奪い合うゼロサムゲームとなるが、圏域の経済人口は有限でありそれぞれの都市が「疲弊して」結局はよくならないのではと指摘しているが、聞いた人はいるか。
○答弁=(挙手なし)
●質問=さらに「地域のちから」の醸成というが、「引き続き『自助・共助・公助』のあり方を見直す」としてNPOやボランティアに委ねていこうとする傾向がつよい。東京大学神野教授は「NPOなど人々の「協働」の仕組みが脚光を浴びている。しかし限界も見て取れる。これらの「活動」が一種の平準化、陳腐化の様相を呈し、さらには、国家や市場の機能不全を補完しそれらが本来担うべき機能を代替するものとして、矮小化され収斂してしまう傾向が存在する」と指摘している。この指摘をどう思うか。
○副区長答弁=NPOは地域の力醸成に重要なファクターで、第四セクターともいわれている。必要なもの。
●質問=住区センターに続き、学校開放事業も有料化、施設の駐車場有料化で自主活動は限りなく抑えられている。「利用料負担が重くてサークルを廃止」が続出。これでは地域の力の醸成にはならない。
官制ワーキングプアが過去最大に外部化の推進で6500人が非正規に
●質問=次に新たな課題に即応できる人材の育成と活用として、区が抱える課題の的確な現状認識と論理的な原因分析に基づいて課題を解決する能力を有する人材の育成に努めていくとしている。現在、区行政を担っている職員のうち、区の正規常勤職員、再任用、非常勤職員、臨時職員、指定管理者、委託業者の従事者はそれぞれ何人か。
○答弁=常勤3429人、再任用332人、非常勤1590人、臨時職員(アルバイト)914人、指定管理業務従事者1543人、業務委託従事者2441名。 合計10249名。
●質問=数年前には、他党の質問に答えて計8000人と言っており、正規の職員は減らしているから、非正規や委託の従事者が2000人も増えている。区の職員は極端に少なくなり、職員一人がかかえる区民の数は23区で最も多い状況の中で、区の職員は超多忙化し、メンタルや身体不調の職員、在職死も多発している。モチベーションも下がっている。しかも係長も定数に及ばない。これ以上の職員削減はやめるべきだ。
○答弁=係長については、人材発掘したい。