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中小企業を投機に巻き込むデリバティブ取引

2010-09-17 23:18:59 | 中小企業・融資

「融資を受けている銀行にすすめられて「通貨オプション」という取引をはじめた中小企業が多額の損失をこうむるという事態が続出しています。」
今月号の「前衛」(2010年10月号)の小論文のはじめの一節です。



銀行が融資先にしかける「リスクヘッジ」の罠というサブタイトルがついていますが、読んでいくうちに吸い込まれるような内容と銀行のひどさを痛感しましたので紹介することにしました。

通貨オプション取引被害の実例

首都圏にある建設会社A社。売上は年間十数値円で、建築材料として木材を仕入れています(輸入木材を含む)。2007年6月にみずほ銀行から「当座貸越の説明がしたい」と電話で融資の勧誘がありました。

その後、みずほ銀行の担当者は何度かA社を訪れ、融資の話をすすめる中で、通貨オプション取引を持ち出してきました。当時は原油の高騰など原材料高がすすみ、為替相場は円安ドル高傾向にある時期でした。みずほ銀行の担当者は、「円安で木材が値上がりしたときの保険みたいなもの」「円高ドル安になっても105円まで。100円を切ることはない」などと説明し、7月には融資契約とともに通貨オプション取引契約をA社と結びました。

契約内容は三ヵ月ごとの決済日に、その日の実際の為替レートと契約で取り決めた予約レートの差額にもとづき金銭の授受を行うもの。具体的にはその日のレーートが予約レートより円安ドル高の場合は、銀行がA社に一定額(契約した計算方法に基づいて)を支払う、逆に円高ドル安であれば、A社が銀行に一定額を支払うという取引を全部で20回、5年間にわたって続けるものです。

 2008年9月のりーマンショック後、為替相場は円高に大きく動きます。100円どころか90円を切るところまで円は上昇し、A社は三ヵ月ごとにみずほ銀行から300万円、100万円、500万円と多額の支払いを迫られました。とても経営が持たないと考えたA社は、銀行に通貨オプション取引の解約を申し出たところ、一億円の解約費用を請求されました。そんな巨額の支払いはできるはずもなく、A社は解約もできずに支払いを続けざるを得ませんでした。

金融商品取引法による規制



論文では通貨オプション取引の概要と法律による規制の状況について、説明しています。そして、日本共産党の大門みきし参議院議員がこの問題をとりあげ、「不招請勧誘禁止」ルール(顧客の要請がないのに業者の側が電話もしくは訪問による勧誘を行うことを禁止するもの)を指摘し、金融庁もこれを認めました。
その後、今年の通常国会で金融取引法の改正がされ、デリバティブ取引などへの規制が強化されました。
しかし、被害をうけ、苦しんでいる中小企業への救済の道が開かれていません。
2005年の三井住友銀行の金利スワップ取引被害では損害額を返還するなどの措置がとられましたことがあり、世論と運動で行政当局への働きかけを強める必要があります。

くわしいことが知りたい方は日本共産党理論政治誌「前衛」をお読みください。
定価710円(本体676円)発行は日本共産党中央委員会です。電話03-3470-9636へどうぞ