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南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

法的解決までのロードマップ12(控訴にかかる期間)

2005年12月16日 | 法的解決までのロードマップ
 控訴をするとどの程度裁判が長くなるのかということについて触れておきます。
 判決が到達してから控訴まで14日以内にしなければなりません。
 控訴してから、控訴の理由書というのを提出するまでは50日以内です。
 控訴理由書が提出されますとそこから1ヶ月そこそこで期日が入ります。
 そうしますと、約3ヶ月ちょっととなりますから、控訴審の第1回期日は、
  判決が出てから、約3,4ヶ月
とみておけばよいと思います。
 控訴審には第一審の記録がすべて行っており、控訴審の裁判官はそれを読んで検討を終えておりますので、新たな証拠を提出するのであれば、原則として控訴理由書の提出期限内に提出しなければなりません。もちろんその後にも提出は可能ですが、どんどん前倒しで提出しないと裁判官の心証(事件についての考え方)はどんどん固まっていってしまいますので、早め早めに提出する必要があります。
 主張のほうも第一審とほぼ同じならば、控訴審は第一回で基本的には弁論を終結し、判決期日を2,3ヵ月後に指定します。その上で、和解をするように勧告し、それが整わなければ指定した期日に判決するという流れです。
 整理しますと、
  控訴審の第一回期日までが第一審の判決が出てから3,4ヶ月後
  第一回期日から控訴審の判決までが2,3ヵ月後
であり、準備は第一審の判決の2ヶ月以内に完了する必要があります。
 一審が長かった人ほど、あっという間に終了するように見えるほど、高裁はスピード感があり、一審とは違いますから、注意してください。


 

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法的解決までのロードマップ11(控訴)

2005年12月15日 | 法的解決までのロードマップ
 一審(地裁)は2年以内、順調に行けば1年程度で終了することもあるということを前回書きました。
 一審で和解により終了すれば、それで訴訟は終わりますが、一審が判決であれば、原告・被告共に控訴をすることができます。
 この控訴は、判決が届いた日の次の日から14日以内にしなければなりません。
 控訴をするかどうかは非常に迷うところですが、
  ・一審判決が納得できない点はどこか
  ・納得できない点があったとしても、それを控訴して変わりうるのかどうか
  ・その納得できない点が損害額にどの程度の影響を与えるのか
というようなところを考慮していただいて、弁護士等の意見も踏まえ、最終的には当事者本人が決断することとなります。
 弁護士に対する質問で、「一審判決は高裁でどれだけ変更が可能かどうか」というのは非常に難しい部類に属します。一審の裁判官がそのような判断をしているだけに、弁護士個人が不当だとしていても高裁でどう変わるか又は変わらないかについては明言できないからです。
 私はこのような場合は、過去の裁判例を引いて、「このような例ですと、このような判決が出ています。これに比べると本件の裁判例はこのように考えられるのではないでしょうか」と説明することにしています。
 このような説明のしかたで、依頼者の満足が得られるかどうか心もとない点はあるのですが、弁護士としては、過去の実例にそった説明しかできないという限界はあります。
  

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法的解決までのロードマップ10(訴訟)

2005年12月14日 | 法的解決までのロードマップ
 訴訟をするかどうか考えるのに、訴訟をすると一体どのくらいの時間がかかるのかということは大事な考慮要素だと思います。
 世の中で騒がれている裁判は、長い裁判ばかりなので、裁判というものは長くかかるものだと思っておられる方もいるかもしれませんが、10年もかかる裁判はそうあるものではありません。
 交通事故の場合、訴えを提起するまでにきちんと準備すれば、ほとんどの訴訟は一審で2年以内に終了します。裁判の迅速化に関する法律でも2年以内に審理を終結させることとしていますから、裁判官も2年以内で終了するように努力するはずです。 
 争点が少なければ、1年程度で一審が終了することもあります。
 争点が少ないかどうかは、被告次第のところがありますので、なんともいえませんが・・・。
 長引きそうな争点としては、
  ・交通事故の態様が争点で交通事故鑑定が必要な場合
  ・後遺症の程度に争点があって、医療の鑑定が必要な場合
などで、鑑定が必要だと、鑑定期間だけで半年近くかかる場合がありますので、裁判が長期化する原因となります。これは、鑑定をするようなケースでは、鑑定人探しにそもそも時間がかかる、鑑定人に任せてから鑑定書ができあがるまでに時間がかかるからです。

  


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法的解決までのロードマップ9(訴訟)

2005年12月13日 | 法的解決までのロードマップ
 訴訟をするということは、当事者の方からは非常にストレスがかかることと思います。
 しかし、
 ・事故態様の主張が相当隔たりがある
 ・損害額についての評価が相当隔たりがある
 ・相手方から訴訟でなければ解決しないと言われた
というような場合には、訴訟をするほかありません。
 訴訟をする場合には、裁判所は中立の立場として証拠を冷静に客観的に判断する立場となるので、調停とは違って、話を聞きますから、どうぞお話しくださいというようなわけにはいきません。
 本人でも訴訟を提起することは認められていますが、どのような書面を出しますか、どのような訴訟進行にするつもりですか、どのような証拠を提出するのですかという裁判官からの問に全て自分で答えなければなりません。
 どうしても本人訴訟でやりたいという方を除いては、弁護士を代理人とした方がよいかと思います。
 弁護士を選ぶにあたっては、
  ・信頼できる方からの紹介を受けた
  ・自治体の相談や弁護士会の相談で相談にのってくれた
など色々な方法がありうるところですが、方針について納得のいく弁護士を選ばれることをお薦めします。
 そのためには、弁護士の相談を利用し、納得のいくまで説明を受ける必要があります。
 相談料は、30分単位で5000円というところが多く、1時間もあれば大きな方向性については話し合えると思いますので、この相談を利用し、話し合いをすればよいと思います。
 1回あたり1万円かかるわけですが、それ以降にかかる弁護士費用や方針が異なってしまった場合の時間及び費用のロスを考えれば、1万円の先行投資は高くはないと思います。
   
  
  

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法的解決までのロードマップ8(紛争処理センター)

2005年12月12日 | 法的解決までのロードマップ
「示談に応じるか否か検討し、応じなければ別の手続(調停、訴訟、紛争処理センター等)の選択」

 紛争が生じた場合、裁判所での解決をする方法としては、調停及び訴訟があります。
 交通事故の場合は、それ以外にも裁判所外での解決方法が存在し、そのひとつが交通事故紛争処理センター(紛争処理センター)です。
 これは、財団法人交通事故紛争処理センターという法人が運営しており、
  相談→和解斡旋→審査
という流れで行われています。
 手続については、紛争処理センターのホームページが非常にわかりやすくかいていますので、そちらをご覧いただいたほうがよいと思います(図解での説明はこちら)。
 紛争処理センターは交通事故に特化しており、審査については、センターとの協定等で裁定を尊重することとなっている損害保険会社等の場合、訴訟に近い効果が期待できますので、調停のような話し合いでしかまとまらない法的解決手段よりもその効果が期待できることが大きいです。
 欠点は、紛争処理センターは全国どこでもあるわけではなく、東京、さいたま、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、福岡にしかないことです。
 そのため、事件が集中し、和解斡旋を始まるまでにある程度待たなければなりません。


 


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法的解決までのロードマップ7(調停)

2005年12月11日 | 法的解決までのロードマップ
「任意保険会社からの示談案の提示→示談に応じるか否か検討し、応じなければ別の手続(調停、訴訟、紛争処理センター等)の選択」

 任意保険の示談提案に納得できた場合又は、そこからある程度交渉して納得のいく結果が出れば、示談書に調印して、交通事故の法的なものは終了ということになります。
 しかし、自分のほうの主張と保険会社側の主張が対立するということは往々にしてみられることでして、相対で交渉してもこの主張の溝が埋まらないという場合は別の法的な手続をとる必要が生じてきます。
 調停はそのひとつの手段です。
 調停は、裁判所で開かれる調停委員を交えた当事者同士の話し合いです。
 裁判所で開かれ、調停委員が間に入りますので、これまで相対では埋まらなかった溝を調停委員がなんとか埋めようと努力してくれます。
 調停委員は、裁判所の委員ですから、法律を基準とした話し合いを行おうとするということも特徴です。
 費用も少なくてすみます。
 調停申し立て費用だけで言いますと、1000万円の請求なら印紙代は2万5000円、あと裁判所に納める郵便切手代が若干かかります。
 弁護士に調停の代理人を依頼すると弁護士費用がかかりますが、調停委員が話を聞いてくれますので、調停は本人で行って、その都度、弁護士に法律上のアドバイスを求めたほうが、弁護士にかかる費用は相談料だけですので、安く済ませることができます。
 調停の欠点は、あくまで話し合いなので、強制力がないことで、裁判所の調停案を当事者の一方でも蹴ってしまった場合は、話し合いは終了ということになります。
 ですから、交通事故態様が被害者側と加害者側で全然違うという場合は、調停は向きませんし、また、被害額の提示額が被害者側主張と開きが大きいという場合もこれまた調停には向きません。
 調停案と被害者側主張がある程度開きがあるが、埋まらない差ではないなと思われるときには調停の手段をとるのがよいと思います。

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法的解決までのロードマップ6(専門家の説明を聞く)

2005年12月10日 | 法的解決までのロードマップ
「任意保険会社からの示談案の提示→示談に応じるか否か検討し、応じなければ別の手続(調停、訴訟、紛争処理センター等)の選択」

 任意保険会社から示談案の提示があれば、それをたたき台として示談するか否かを検討します。
 示談案は、通常は、項目ごとに提示額が示されているはずです。例えば、治療費がいくら、休業損害がいくら、慰謝料がいくら、逸失利益がいくらというようにです。
 それぞれの項目ごとに、法律上の問題点がありえますので、示談書が納得できるものであればともかく、「これは一体どういうことなのだろうか」とか「これでよいのだろうか」、「これでは納得できない」と思われた場合は、専門家に示談書を見てもらった方がよいと思います。
 弁護士が示談書を検討するときは、「赤い本」などの交通事故の基準に当該示談案が合致しているかどうかを見るわけです。ですから、通常の裁判例での基準と比べて、自分に提示されている示談書の金額がどうかという点を見たい場合はどのような弁護士でも一通りできます。
 つまり、「裁判例での基準はこうなっていますが、この示談書ではこの基準とおおむね合致する(又は低い)ので、これは妥当(又は妥当でない)と思われます」のような説明がされることとなります。
 しかし、その基準自体なかなか承服しがたい場合、基準を超えることができないのか否かという質問をしたい場合には注意が必要です。
 これに答えるには、弁護士側は、基準の意味をしっておかなければなりません。
 ですから、基準がいくらであるかしかわからない弁護士は、「裁判での基準がこれなんだから」という説明に終始せざるを得ません。
 この説明に納得できない場合は、交通事故に明るい弁護士にご相談されたほうがよいと思います。
 交通事故に明るい弁護士であれば、なぜそのような基準になっているか、その基準が裁判例の動向に照らして、それ以上の金額を請求しても全然駄目なものなのか、それともチャレンジする価値はあるのかということの説明が期待できます。
 専門家の説明は、今後どのような手続を選択するかと大いに関係しますので、是非納得いくまで受けていただければと思います。

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法的解決までのロードマップ5(示談案の提示)

2005年12月08日 | 法的解決までのロードマップ
「自賠責保険に対して後遺症認定手続→任意保険会社からの示談案の提示」

自賠責保険から被害者請求で後遺症認定を得た場合は、任意保険会社にはそのことはわかりませんから、被害者側から後遺症の認定の結果を知らせる必要があります。
 自賠責保険からは、後遺症の認定通知を取得することができますので、そのコピーを任意保険会社に送付すればよいでしょう。 
 ここから被害者側がどのような手段をとるかは自由で、いきなり訴訟などの手段に訴えてもよいのですが、話し合いでの解決もありうるのであれば、任意保険会社から示談案を提示してもらうとよいと思います。
 交通事故の損害賠償の算出方法は、なれない方には結構難しいらしく、なぜこのような算出方法になるのかというご質問をよく聞きます。
 そこで、任意保険会社からの示談案を一旦出してもらい、その金額だ適正か否かという観点から考えるほうが、検討のしやすさからいってもよいのかと思います。
 もっとも、任意保険会社が、示談案を提出するために必要だからという理由で、後遺症の認定通知以上に様々な書類などを要求することがありえますが、この場合、その要求に対して納得できなければ、それを断っていただいても構いません。ただし、断ってしまうと、任意保険会社は、「資料が不足のため示談案を提示できません」という可能性もありますから、この辺はうまく交渉が必要でしょう。
場合によっては、それを理由に示談案の提示を拒む場合もありえます。 
 こうなった場合は、自分ひとりでは解決することは困難なので、専門家のアドバイスが必要となりましょう。
 

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法的解決までのロードマップ4(被害者請求)

2005年12月07日 | 法的解決までのロードマップ
「症状固定まで治療→自賠責保険に対して後遺症認定手続」

 症状固定ということになりますと、後遺症を認定する手続に移ります。
 後遺症の認定は、まず自賠責保険でしてもらうのが定石です。
 理論的には、自賠責保険の後遺症認定をせずに、いきなり裁判等の法的手段に訴えても良いのですが、通常の裁判官は後遺症認定の細かい実務に精通しているわけではなく、また、医療上の専門的な知識を有している人ばかりではありませんので、いきなり訴訟をするのではなく、自賠責保険に対して後遺症認定手続をするというステップを踏むのがよいでしょう。
 自賠責保険に対しては、被害者請求ができますので、この被害者請求の手続の中で後遺症を認定してもらうことがよいと思います。
 この点、任意保険会社の担当と折衝している場合は、その担当からは、「当方に書類は提出してください」と言われて、その言葉に従ってしまうことが多いのですが、担当によっては、手持ち件数の多さからか、自賠責保険の方に申請する手続自体を忘れていたり、遅滞していたりする例が見られます。また、任意保険会社というのはあくまで相手方であり、被害者側に有利なようにはアドバイスはしてくれませんので、このような理由からも任意保険の担当任せにすることは避けるべきです。
 自賠責保険の請求については、手続自体は簡単なので、自分ひとりでも可能ではありますが、後遺症を適正に認定してもらえるだけの資料がそろっているかどうかは、後遺症の実務及びある程度の医療知識が必要です。このような知識のある弁護士などの専門家のアドバイスを得ることが望ましいのですが、すべての弁護士がこのようなことに通じているわけではないので、その弁護士が熱心に調べて対応してくれそうかどうか確かめてアドバイスを受けてください。 

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法的解決までのロードマップ3(症状固定)

2005年12月06日 | 法的解決までのロードマップ
「任意保険会社の担当との折衝→症状固定まで治療」

 治療を続けていくうちに、治癒して後遺症が残らないことが一番ですが、不幸にして後遺症が残ることもあります。
 このようなときは、後遺症診断書を医師に書いてもらい、後遺症の認定を受けることになります。
 ここで、大事なのが「症状固定」という言葉です。
 この「症状固定」というのは、治療を加えても、それ以上よくならない状態というとされており、後遺症診断書にはその時期を医師が記載することとなっています。
 治療費は、症状固定までは支出されますが、症状固定後は、原則は治療費は支払われないという扱いです。
 これは、治療費が交通事故で負った怪我を治すために必要なもので、症状固定前までは治療が必要だから、治療費を支払うが、症状固定してしまったらそれは治療を加えてもそれ以上よくならないということだから、症状固定後の治療費は損害賠償請求できないと説明されています。
 このように症状固定後は、後遺症の問題として損害賠償請求の計算もしなければなりませんので、どのような後遺症が認定されるのかは、被害者にとって重大な問題となるわけです。

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