南斗屋のブログ

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後遺障害の認定基準についてのコメントによせて

2007年10月12日 | 未分類
 このブログをご覧いただき有益なコメントを書いていただいている方、ありがとうございます。
 
 コメントは拝見しておりますが、なかなか個々のコメントについて的確な返事を書くのは難しいので、ときどき今回のような形でとりあげさせていただきます。

 さて、先週、「ADL(日常生活動作)が自立とは」という題でこのブログに記事を書きましたところ、「医者の中で、後遺障害の認定基準についてよく知っている人は、なかなかいないのではないか」というようなご感想をいただきました。

 医者も様々ですから、勉強熱心な方もいれば、不熱心な方もいらっしゃると思います。
 それに、後遺障害の認定基準というのは、自賠責、労災、年金、身体障害手帳、精神障害手帳・・・等々でそれぞれ基準が微妙に又は大幅に違ったりするわけですし、それらをすべて理解していくというのは、かなり勉強熱心な方でないと難しいのではないかと思います。

 それでは、弁護士はどうかというと、法律の専門家であるとはいえ、医学知識を前提とする後遺障害の認定基準が得意な方というのは、これまたそう多くはないという現状にあると思います。

 このように、
 医者は医学的なことは、そこそこわかるが、損害賠償の基準はよくわからない
 弁護士は、法律のことは、そこそこわかるが、やはり損害賠償の基準がよくわからない
という現状があります。
 つまり、損害賠償の等級認定が正当に行われているのか否かチェックする機能が欠けている谷間に落ちてしまう被害者が出る可能性があるということです。

 これを防止するためには、医者か弁護士が熱心に勉強をすればよいわけですが、それをさせるのも大変手間のかかるところですから、結局は、被害者が勉強をしていくということにならざるをえないのではないかと思います。

 実際、様々な方の法律相談をお受けしていますが、損害賠償の認定などについて熱心に調べ上げている方が多いです。
 ただ、ひとりで調べていくのは、大変なことですし、孤独な作業となってしまい、それでいいのかどうか不安に思われることも少なくないでしょうから、後遺障害の認定基準に明るい弁護士なり医師を見つけて、相談しつつ、進めていくのがより良い結果をもたらすのではないかと思います。

 
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認定の判断基準と判断資料。 (コスモス)
2007-10-12 11:32:09
交通事故関連の本など読みますと、「被害者自らがどの等級にあたるのかを研究し、それに適った診断書をとるべく医師に症状を伝え、場合によっては再検査を受ける」というようなことを書いている本が多数あります。

たしかに、医師に症状を正確に伝えることは重要なことで正確な等級認定の第一歩と思います。

しかし、等級認定の知識を全く持たないが、名医といわれ、親身に治療にあたってくれる先生に、このような働きかけをするのは、被害者にとっては大きな負担ですね。

損害保険料率算出機構の等級の認定基準と等級ごとの認定に必要な資料が、被害者・医師・法律家に明らかで、共有できればよいのですが…。

その意味で、機構側がどういう認定資料を重視するかを明らかにすることは重要と思います。
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Unknown (世逃げ屋)
2007-10-23 00:03:23
金子先生、僕は返事がいただけるかどうかはあまり気にしていません。あればうれしいですが、なくてもいっこうに気になりません。僕自身、自分の書いたコメントに対して、どなたかがさらにコメントを加えてくれても、それに反応するかどうかはわからないからです。忙しい時もあるし、コメントしようにも納得できるようなものが書けないこともある。文章を書くって、こんな短い文章でも、時間と労力がけっこうかかりますしね。だから返事がなくてもかまいません。お気持ちだけでありがたいです。たぶん、コスモスさんも同じ気持ちだと思います。ですから、そのように気を使っていただくと、プログの記事出しだけでも大変だろうに、まったく恐縮してしまいます。こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。

コスモスさん。僕も機構側へ質問のための電話をしたことが何回かありますが、アイマイな返事を繰り返すばかりで、コスモスさんの言われるとおり、その秘密主義たるやかなり徹底しています。電話では不十分な回答しかできないからなのかもしれませんが、それならそうで、後遺障害に関する認定資料を公開すればいいものを、そのような動きはまったくありませんよね。
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