南斗屋のブログ

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なぜ民事訴訟は平均1年半もかかるのか

2008年01月23日 | 交通事故民事
前回までに、交通事故の民事訴訟の一審の審理期間の目安は、1年半程度ということを説明してきました。
この1年半という期間を
"民事訴訟というのは、もっとかかると思っていたけれども、1年半程度ということであれば、案外早く終わるものだな"
という感想を抱く方もおられるかもしれませんが、多分
"やはり訴訟というものは、長くかかるものだ。何でそんなに時間がかかるのか"
という疑問をもたれる方も多いのではないかと思います。

 では、なぜそれだけの時間がかかるのでしょうか。
 民事訴訟では、期日といって、当事者(代理人でもよいのですが)が集まる日があります。
この期日は大体1ヶ月~1ヶ月半のペースで設定されます。
民事訴訟の一審の審理が1年半、期日が1ヶ月半ごとと仮定すると、期日は
1年半÷1ヶ月半=12回
という計算になります。

この12回の期日で何をしているかというと、原告、被告双方が、「主張」、「立証」を尽くすのに必要な回数です。

 今「主張、立証」という言葉を使用しましたが、これは、ここでは大雑把に
  主張=訴状や準備書面を提出すること
  立証=証拠を提出すること
と考えておいて下さい。
 つまり、証拠を集めて(立証)、それをもとにして、訴状や準備書面を書く(主張)ことが、原告や被告がしなければならないことなのです。

 証拠を集めて、正確な準備書面を書くには、それなりの時間がかかります。
 場合によっては、依頼者の方に書面を見ていただいて、誤りがないかどうかをチェックしていただくことも必要です。

 訴訟の進行は、将棋のように一手こちらが指したら、一手相手が指すという構図に似ています。
 まず、原告が訴状を提出し、それに対して被告は訴状のどこまでを認めて、どこまでを争うのかを明確にします。
 その争う部分に対して、原告が更に反論し、被告はそれに対して再反論し・・・というように続いていきます。
 ある程度のところまでくれば、双方の主張、立証が尽きることになりますので、裁判官は主張、立証を整理しながら、争点についての判断を考えていくことになります。

 このような双方の応酬で、1年近くの期間がかかることが多いわけです。


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