南斗屋のブログ

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「一審裁判の審理期間が8ヶ月弱」は統計のマジック

2008年01月16日 | 交通事故民事
 前回(→こちら)は、法律相談を受けるときに多いご質問のひとつである
”民事訴訟はどのくらいで終わるのか”
について、裁判所が出した報告書である

 「裁判の迅速化に関する検証結果の公表について

をもとに、

 一審裁判の審理期間は8ヶ月弱

という統計を紹介しましたが、実はこの期間は実際の感覚よりも早くでてしまっています。

 なぜならば、この数字には
  被告が期日に欠席するケース
が含まれてしまっているからです。

 被告が期日に欠席するというケースが、民事訴訟上どのように処理されるのかというと、被告は”原告の主張どおりの事実を認めた”ことになります。
 そして、審理は1回で終了。
 つまり、被告欠席のケースは、審理期間が約1ヶ月程度で終了することになってしまうわけです。

 被告が欠席するケースというのは、たとえば、
 ・AさんがBさんに100万円貸してあり、Bさんは借金100万円したことは争っていないのに、Bさんがちっとも返してくれない、いつか返すというが、全然返してくれないので、AさんがしびれをきらしてBさんに対して、訴訟を提起する
というような場合
 が考えられます。

 交通事故の場合、被告欠席になるということはあまりありません。
 というのは、被告が加害者であるとすれば、損保会社(任意保険)がついていることが多く、過失相殺や損害額を争ってくることが多いからです。

 ですから、交通事故事件の場合、
  一審裁判の審理期間が8ヶ月弱
という把握をすると間違ったことになります。

 そこで、裁判所の報告書の別の部分を参照することになりますが、それについては次回で(→こちら)。

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