南斗屋のブログ

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症状固定後の治療費

2006年12月14日 | 未分類
 交通事故に遭い、治療を受けるということになりますと、治療費用を損害賠償として請求するということになりますが、どこまでを治療費として認めるのかというのは法律上は難しい問題があります。
 この点について、赤い本は、
 「治療費は必要かつ相当な実費全額を認めます」
としています。
 この意味は、
 1 治療が必要でなければならない(必要性)
 2 交通事故であった傷害を治療するのに相当でなければならない(相当性)
ということです。

 後遺障害が残るケースの場合は、治療費をいつの時点まで支払うかというのは、症状固定を基準にして扱いが変わります。
 症状固定というのは、これ以上治療を加えてもよくならない時期のことです。
 症状固定前は、先ほど述べました必要性、相当性があれば支払う
 症状固定後は、原則として支払わない
という扱いがなされています。
 これは、症状固定後の治療費は必要性がないからという考えをされているからだと思います。
 もっとも、症状固定後でも、症状を悪化させないためには治療やリハビリテーションが必要であるということであれば、それを積極的に立証していくことにより、症状固定後の治療費は認められる場合もあります。

 赤い本でも、症状固定後の治療費については、
「一般的には否定される場合が多いでしょうが、その支出が相当なときは認められる場合もあるでしょう。リハビリテーションの費用は症状の内容や程度によります」
としています。

 高次脳機能障害の場合は、症状固定後の治療費が認められないことが多いです。
 しかし、てんかんの症状があり、服薬しててんかんをコントロールしなければならない場合は、治療と投薬が必要不可欠ですので、症状固定後であっても治療費を認める傾向にあります。
 また、遷延性意識障害(意識障害が遷延化している状態)の方の場合も、治療を続けなければならない、医師や看護師の管理が
必要不可欠であり、症状固定後の治療費が認められたというケースを扱ったことがあります。

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