南斗屋のブログ

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赤い本

2005年11月17日 | 交通事故民事
 交通事故の損害賠償実務に携わっている人々が参照する本で、通称「赤い本」と呼ばれています。
 正式名称は、「損害賠償額算定基準」で、従前は非売品扱いでした。 
 といっても、本をもらうのに「寄付」をしなければならなかったので、実質的には買えたのですが・・・。
 今は、どうやら非売品扱いではなくなり、定価が本にも記載してあります。
 この本、毎年改訂版が出ています。
 といっても、基準自体はそう毎年毎年変わるわけではなく、判例を差し替えたり、増やしたりしています。また、東京地裁の交通部の裁判官の講演が毎年行われるようで、その講演録が変わります。この講演録が弁護士にとっては大変勉強になるのですが、一般の方にとっては難しすぎるかもしれません。
 赤い本はあまりにも有名なのですが、この本を読み解くのは容易ではありません。それは解説が書いていないからです。
 なぜ、そのような基準が定立されているのか、どのようにしたらより適切な賠償を勝ち取れるのかということは、この本だけからでは読み取れません。
 弁護士でもこの本をただ漫然と読んでいるだけでは勉強になりませんで、さらにこの本の注解本が出版されていますので、そのような本を頼りに勉強をするわけです。
 赤い本を参考にして、少し勉強すれば、一応損害賠償を算定することはできますが、さらに深い知識と適切な立証手段を獲得していくのは、一朝一夕にはできないものです。
 特に、交通事故関係は、交通事故工学や医学知識が必要とされる場合があるからです。
 赤い本はあくまで法律問題のごく一部の知識を集約したものにすぎませんし、基準というのも変わっていくべきものでありますので、これを絶対視することは避けたほうがよいと思います。


 
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