リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

2010年12月~その1

2010年12月11日 | 昔語り(2006~2013)
内緒の話はあのねのね

12月1日。水曜日。またちょっと冷えて来そうな予報だけど、まあまあの天気。今日から12月。もう12月なのだ!いつもこの時期になって思うんだけど、どうしてこう時間の足が速くなるのか。別に生き急いでなんかいないのに、どうして?

ここのところ「腐敗組織への対抗」とか称してやたらと極秘文書をばらまいて注目されている人。最初は「アメリカ」政府の極秘文書、次に「アメリカ」の外交電文、そしてお次は「アメリカ」の銀行の内情をばらすんだそうで、おまけにずいぶん下品な容疑で国際逮捕状が出ているけど、それも「アメリカ」の陰謀ということらしい。よっぽど「アメリカ」に恨みつらみがあるんだろうなあと思ったけど、興味半分で背景を調べているうちに、何だかこの人は「恨みつらみ」の向けどころを間違えているんじゃないのかと思えてきた。(まあ、今になって「いや、ロシアや中国のもアメリカと同じように暴露するよ」と言っているらしいけど。)

写真を見ると冷たそうな目つきが印象に残るタイプなんだけど、自分のことを「きわめてシニカルな人間」と評しているそうな。先ごろ、息子の安否を心配する母親がマスコミのインタビューに応じていたそうだけど、どうもサブカル的な環境で育ったらしい。それ自体は70年代初めの生まれであれば決してめずらしくはないとしても、子供の頃に、再婚した母親が離婚の際に継父との間の子供の親権をめぐって住居を点々としたり、母親と隠れ住んだりしたことがあったらしい。さらに、自分自身も同棲していた女性との間に生まれた子供めぐって壮絶な親権争いをして、そのときに母親と一緒に一般人には入手しにくい裁判所などの文書をサービスを始めたという話だった。

そこでふっと、権力の仮面を引っ剥がすという怨念のような考えはこのあたりから芽生えたのかもしれなくて、それを駆り立てているのはひょっとしたら「女」なんじゃないかという感じがした。性的暴行の容疑で追われているし、他にもセクハラの訴えも出ているらしい。ブッシュ政権の国務長官コンドリーザ・ライス、オバマ政権の国務長官はヒラリー・クリントン。どちらも女性が世界政治の権力中枢に関わっているわけだし。これはワタシの直感的なうがちに過ぎないし、当人はまったくそんな意識はなくて、ただ「正義の味方」である自分に自己陶酔しているだけかもしれないけど、アメリカ人でもないのにクリントン国務長官の辞任を「要求」したと聞いたときは、なあんだ、爆弾の代わりに極秘情報のリークと言う武器を使っているだけで、テロの脅しでアメリカ人に「イスラムへの改宗」を要求したビンラーデンと同列じゃないかと思ってしまったな。

この人は数学や物理を学んだそうだから、頭脳は人並み以上に明晰なんだろうと思う。ジャーナリストとしても一応の実績があるそうだけど、ハッカーでもあるとか。しかも「倫理的」ハッカーなんだそうな。ハッキングのルールとか何とかを作ったそうだけど、忍び込んで盗むという手口は同じで、こそ泥のルールとあまり変わらないような感じもするな。まあ、自分の行動は正しいと確信しているんだったら、世界中にそれを支持する人たちがいるんだから、こそこそ隠れてないで、堂々と権力の腐敗や隠蔽体質を糾弾したらいいんじゃないのかな。物陰から狙い打ちなんて、透明性も何もあったもんじゃないと思うけどね。

まあそれにしても、世界各国の首脳たちが、あっちの首相はどうの、そっちの大統領はどうの、どこそこの国はどうだの、あいつらはああだのとやっている光景は、どこかの団地や公園の井戸端会議で飛び交う噂話や、掲示板やSNSサイトへの匿名の投稿とけっこう同じレベルのように思えて、つい笑ってしまった。世界政治も外交も、とどのつまりはご近所づきあいと変わらないってことかな。時には人命の安否に関わるような極秘情報を扱う職場にいた経験から言うと、どんな秘密だって、いったん別の人に伝えたら、その先のどこからか漏れるものなんだと思う。まあ、国際政治から、国政から、お役所、はては職場の飲み会から、大学のサークルから、ご近所の主婦たちの井戸端会議にいたるまで、みんな基本は人間の関係。それぞれが分離しているのではなくて、コミュニケーションという糸で果てしなく結ばれているひとつの連続したスペクトラムなんだと思う。ま、知られたら赤っ恥をかくような秘密は持たないにこしたことはないな。

英語の先生はミスターロボット?

12月3日。金曜日(だよねえ・・・)。木曜日はどこへ行ったんだろう。目が覚めたのは午後12時35分。例によって目算が狂ってしまって半徹夜。そろ~っとベッドに入ったのは午前9時に近かったから、睡眠は4時間に足りないか。朝一番のごみ収集トラックの音を聞いてから寝るなんて酔狂なもんだけど、そこは自営業。仕事があるときは、というよりは納期がまる時限爆弾みたいにコチコチと言っているときは、とにかくやるっきゃないのだ。もっとも、その気になってほんとにやっちゃうから、やっぱり酔狂だなあと思うんだけど。

いつもなら徹夜や半徹夜の後は、しばらくへた~っとしていられるんだけど、おあいにく様。次の仕事が待っている。もや~んとした頭を抱えてよく見たら何だか納期がきっついなあ。シンクタンクという、think tankじゃなくてsink tankじゃないの?と突っ込みたくなるような何とか研究所がたくさんあって、実体のある科学の研究なら、知りたがり屋のワタシもふむふむと楽しくやれるんだけど、文系はあーだこーだそーだと、どうも部外者にはどーだっていーよーな論文を書くもので、あーあ。ま、これは言うなれば車の「vanity plate(見栄っ張りナンバープレート)」のようなものだから、「実は国際会議でこういうものを配りましてねえ」と触れて回りたいがためのものかな。う~ん、こっちはめっちゃくたびれたて、あくびが出るけど・・・。

予定が詰まっているのにきのうは歯医者に行ったのがそもそもの間違い(じゃないけど)。ウー先生は中国系二世か三世かな。ちょっと見には少林寺拳法の法師のような風貌だけど、腕はいい。うちはカレシの組合年金のおまけで歯科保険があるのに、歯医者ってついついサボりたくなるよね。ワタシはなんと2年半ぶりだけど、「そんなにサボっていたにしてはいい状態だなあ」と言われてひと安心。今は歯科の技術もかなり進んで、歯垢を取るのにも昔のように鋭い器具でひっかかずに、水圧でやる。おかげで歯茎を傷つけられて血が出ることもなくなった。歯茎も過敏なところがなくて、年の割には健康でよろしい。「下の前歯の裏側は一番歯垢がたまりやすいから、念入りにフロスして磨くんだよ」とウー先生。ふむ、一日モニタの前に座って、ややうつむき加減にしているから、そこに唾がたまって歯垢ができやすいんだろうな。

ワタシが歯のクリーニングをしてもらっている間、カレシは一応の「上司」にあたるロバータと英語教室のことで相談するために10丁ほど先のネイバーフッドハウスへ。カレシに推薦状を要求して断られたなんちゃって英語先生、どうやらカレシに自分の教室を持てばと言われてその気になったらしい。ところが、ロバータに提案書を出せば責任者と相談すると言ったら、「いや、今月中に始めたい」。今は空いている部屋がないから無理だと言ったら、今度はぶっちぎれていきなり電話をガチャン!いやはや、そりゃ「先生」って器じゃないんじゃないかい?いくら先生が張り切ったところで生徒がいないことにはどうにもならないのに、なんか社会の現実をよくわかっていなさそうな人だなあ。

最近は英語教室に来る生徒の数が減っているらしい。政府が資金を出してプロの教師を雇って無料で開いているELSAという英語講座も生徒数がめっきり減っているんだそうな。このままでは閉鎖になりかねないと言う。ふむ、移民の数が減ったのか、あるいは英語ができる移民が増えたのか。(アイルランドの経済危機で、かなりの数がカナダに移民し始めているそうだけど、彼らは英語学習は不要・・・。)ま、カレシは一銭ももらっていなから、生徒が減りすぎたら教室はしばらく休みにすればいいけど、営利の英語学校の先生は生活がかかっているからそうは行かない。ダウンタウンの図書館やスタバで最低賃金に近い料金を取って個人指導をする「経験豊かな」英語先生がかなりいるようだけど、夜や週末にやっている人は副業なんだろうな。昼間もやっている人は就職先がないのかな。かってはESL教師はお金になる有望な職種だともてはやされていたのに、計画通りには行かないのが人生ってことで・・・。

先日また英語学校が倒産したそうだから、また失業中の英語先生が増えるわけで、なんちゃって先生の前途は厳しそう。韓国ではロボット英語教師が登場したそうで、韓国政府は数年のうちに相当数いるはずの外国人英語教師の契約を解除して、順次ロボット教師に切り替える計画だとか。購入費用だけで給料や厚生給付を払い続けなくてもいいから、経済的かもね。長時間労働も平気の平左だろうしね。ロボット好きの日本人もゆくゆくはロボット先生を相手に英語を学ぶようになるのかな。日本ではきっと人間そっくりに作るだろうな。TIME誌に載っていた写真を見たら、いかにもロボットらしくて(人間そっくりに作られていない)、真っ赤な口がなんともご愛嬌。だけど、ロボット相手の英語学習では「国際交流」という大義名分がなくなるような気もするけど、ま、英語を話せるようになるのが目的なんだから、そこは目をつぶることにして・・・。

解けない魔法は悲劇だけど

12月4日。土曜日。自分へのご褒美にレミのXOをちょっと嗜んで、よ~く寝て、元気回復。いやあ、外の光がまぶしい。今夜は冷え込みそうだなあ。暖まる前に雨が来てしまうとまた雪になるから困る。雨は雨降りにふさわしいときに降ってくれないとなあ。

けさはこの1週間ちょっと高めだった血圧も普通に戻った。高めとは言っても下の数値が70とか72で、ワタシとしては高め。やっぱりちょ~っと仕事のペースがきつかったかな。ま、それにしても、62歳と7ヵ月のおば(あ)ちゃんの火事場のばか力的な張り切りぶりには我ながら言葉もない感じ。もっとも、今年はもう「売上目標」」を達成してしまったことだし、あと10日でカレシの英語教室が休みに入るのと同時に仕事納めをしてしまう腹づもり。そうしたら、年明けの仕事始めまで、あるある、なんと3週間の休み!美食三昧に美酒三昧・・・。

クリスマスパーティのシーズンに入って、酒屋が込み始めるので、ゆうべ一段落したところで、お酒の「買出し」に出かけた。たまたま一番近いところにあるのが、州営の酒屋の中でも「旗艦店」と呼ばれる大きな店。ワインセラーのソヴィニョンブランの在庫がかなり減っていたから、カレシが大いに気に入っているニュージーランド産のうち、の極楽とんぼ亭のハウスワインになっているStarboroughをひとケース、Kim Crawfordを6本、他にOyster BayとBabichを3本ずつ。ま、2ダースもあれば手持ちの赤、白、ロゼと合わせて年を越せると思うけど。バーテンダーのカレシは1.5リットル入りのジンを一気に3本、ベルモットとコアントロー。「仕事、よくがんばったらね」と新しいレミのXO。後は、料理に使う安い日本酒と冷酒用のオーガニックの吟醸酒を1本ずつ。どっちも日本のメーカーだけどアメリカで醸造されたもの。ついでにカレシの好きなイギリスのエールを6本。しめて@#&ドル。んっとにのん兵衛ろだよねえ、私たちって・・・。

今夜はバンクーバー交響楽団のコンサート。寒いから、モールの近くまで車で行って、そこから地下鉄。カナダの若手の指揮者のバトンで、モーツァルトの『皇帝ティートの慈悲』序曲で始まり、カナダの若手チェロ奏者のソロでシューマンの『チェロ交響曲イ短調』。これはイントロがなんとも切なくて、胸がキュ~ッとなる。ドイツの冬ってこんな感じなのかなあと想像しながら聞いていたけど、これを作曲した頃のシューマンはすでに精神障害に陥っていたんだろうな。そう思うとよけいに胸がじ~んとなる。もっとも、そういう精神状態だったからこそ、後世に残る作品が生まれたのかもしれない。どんどん深みへ落ちていく夫をクララはどんな気持で見ていたんだろうな。(妻として家庭を切り盛りし、7人の子供を育て、自分でも作曲をしながらピアニストとして演奏活動で夫を支えたクララ・シューマンは稀に見る「できる女性」だったと思う。)

第2部はリムスキー・コルサコフのオペラ『金鶏』のさわりをやって、ストラヴィンスキーの『火の鳥組曲』。深くもやがたちこめた魔法の森を連想させるイントロにうっとり。ロシアのバレエはよく魔法がテーマになるけど、魔法を解いてくれるのはたいていは白馬の王子サマ。まあ、ジーグフリート王子のようにまんまとだまされてオデット姫を魔法から救えなかった悲劇もあるけど、いっとき魔法にかかってもそのうちに覚めて現実に戻れるから魔法はすばらしいのかもしれない。仮想現実の世界のような現代の魔法の森に迷い込んで、魔法にかかったままで目が覚めて、現実に戻れなくなってしまうと、なんだか『白鳥の湖』に通じるところもなきにしもあらずのような。

もっとも、白馬に乗って現れたハンサムな王子サマと熱いキスを交わしたら、とたんに王子サマが醜いヒキガエルになってしまった、なんてことだったら、魔法が解けたばかりに悲劇(あるいは、ひょっとしたら喜劇?)になることだってあり得るということか。『火の鳥』は勇敢な王子様と魔法が解けて自由になったお姫様はいつまでも仲良く幸せに暮らしましたとさ、めでたし、めでたし、ということになるんだけど、はて、王子様に手を貸してあげた肝心の火の鳥の方は・・・?

絆が試される季節かも

12月5日。日曜日(だと思う)。きのうは寒かったけど、今日はまあまあの天気。あんまりラニーニャっぽくないところがいいな。このまま春になればしめしめなんだけど、そうは行かないよね、当然。

予定表に残った(願わくは今年最後の)仕事。今度はもめごと。要は、ああだこうだと言ったのに、ああしてこうしてするから、なんたらかんたらということになったんであって、こっちが悪いんじゃないのに、なんたらかんたら大枚の金を出せとはど~ゆ~こった、という話。まあ、商売は基本がお金だから、損をしたら、誰かに責任をおっかぶせて埋め合わせをさせなきゃあ、ということになるんだろうけど、そのために莫大な弁護士費用をかけて、ついでに通訳や翻訳者までおこぼれに預からせて、最終的に利益になるのかな。億のお金がからんでいるなら、損はしないのかもしれないけど、まあ、それも裁判に勝ったらの話だしね。とにかく、うちの責任じゃないよということを、相手がぐうの音も出せないくらいに疑問の余地のない論理で明確、明瞭に説明しなければならないので、日本語でもさすがに筋が通っていて、やりやすいことはやりやすい。

そこでつい小町横町に寄り道。タイトルを読んでいて、ふとなんとなく思ったんだけど、今頃の季節になると国際結婚、国際恋愛、国際離婚の悩みが増えるような感じがするのはどうしてなんだろう。クリスマス休暇の季節だし、日本では年末年始の帰省の季節。どっちも「家族」の季節だな。海外生活を謳歌しているはずの国際結婚妻たちもこの季節になると憂鬱の極みという人が多いらしい。義理の親や小姑や親戚一同が集まってのにぎやかなおしゃべりの輪からはじき出されてさびしい思いをさせられるからだという人もかなりいるけど、家族との30年の歴史とたった1年や2年の2人の歴史とでは、そりゃあ話題の量が違いすぎて当然だろうに。つまるところ、自分に興味のない話ばかりでつまらない、自分にわかる話題を振ってくれない、みんなおしゃべりに夢中で異国人の自分に気を遣ってくれない。くれない、くれない、こんな国、大嫌い・・・。

この時期に国際離婚の危機が勃発しやすいのは、苦境や不満の中で、家族と過ごしていた日本のお正月がなつかしくてたまらなくなるからなのかな。何もかも嫌になって、楽しかった日本の暮らしに戻りたいという気持になるんだろうな。一種のホームシックなんだろう、海外在住歴が比較的短い人や日本の親がまだ健在の人が多いように思う。ちょうどハネムーン期が過ぎて、現実に向き合わざるを得ない厳しい時期かな。もっとも、20年、30年と経てば、誰だって親は他界して帰る「実家」はなくなるんだから、ギブアップするんだったら、へその緒が切れてしまわないうちにそうした方が賢明といえるのかもしれないな。

日本と比べたら緯度の高い地域の冬は暗くて、寒いことが多いし、クリスマスは華やいだ季節ではあるけど、何かとお金がかかる季節だから、ある意味、カップルとしての「絆」の強さが試される時期なのかもしれないけど、それは国際なんたらの関係に限ったことではないんじゃないのかな。日本で「国内結婚」した妻たちも、夫の実家への帰省がゆううつで、ゆううつで、という愚痴を投稿しているじゃないの。お正月も華やいでいるけど、年の暮れは何かと物入りだし、仕事納めが済めば「家族」が集まる季節で、結局はどこでも同じことのように見えるけどなあ。

この先、「ま、いっか」厳禁!

12月6日。月曜日。いやあ、ラニーニャの冬にしては暖かい。カレシは起きてすぐに温室へ走って行って、ヒーターをオフにする始末。そうでないと、温度が上がりすぎて屋根が開いてしまう。まあ、電気代の節約になっていいんだけどね。寒波の冬には家全体を暖房する電気代の倍はかかってしまうから、カレシの趣味とはいえ、真冬の新鮮な野菜はすっごい高級品になってしまう。電力会社も値上げしては節約キャンペーンをやっていないで、夜中の割引料金を導入してくれるといいのにな。そしたら、私たちの生活時間の電気料金が安くなる計算だけど・・・。

きのうはかなりがんばったおかげで、仕事に終わりが見えてきた。びっくりするくらいすいすいと進むから不思議。これじゃあまるで同時翻訳。日本語文書にしては論理が生前としているなあと思ってよくよく見たら、どうも元の書類はドイツ語だったんじゃないかという感じがする。それを日本語に訳したのを、アメリカの方で必要になったから英語に翻訳という流れかもしれない。グローバリゼーションは世界経済の趨勢だとしても、世界のあちこちにいる当事者の間でもめごとが起こったら、解決するのもグローバル。こうやってあっちの言葉に訳し、こっちの言葉に訳しで、子供の頃にやって電報遊びのように、初めの文書と最後の文書が似ても似つかないものになっていたなんてことがないといいけどね。

朝一番にびっくりしたのが州議会野党の新民主党(NDP)の党首が辞めちゃったというニュース。この人、好感度は党の支持率よりずっと低い。上から目線というのか何というのか、どうしてか話し方が神経に障る。いい人なんだろうけど、イメージが何より先行する時代には損だよな。与党自由党も支持率は高いのに、党首はHST導入のごり押しで州民から総すかんを食って、支持率はどこかの国の総理大臣のような9%というていたらくk。内輪でもめているうちに辞任を発表したけど、2月に党首選をするまでは首相の職を全うするとか。与党のつまずきは野党にとっては解散と総選挙を要求する絶好のチャンスのはずだけど、どっこいNDPも内戦状態。一応党首続投で収まったと思ったら、13人の造反議員が出て、一気に党首辞任へと進んでしまった。ただし、こっちも党首選は来年の1月だそうで、与党も野党もそろってlame duckとは。おまけに野党最大の支持団体であるBC労働組合連盟も2つの公務員組合が角を突き合わせて内戦状態らしいから、BC州の政治は相も変わらずコメディ続き。それでも何とかなっているみたいだから、菅さんも気を落とさずにね・・・な~んて。

さて、あしたの夕方までに終わらせて納品したら、そのまま仕事納めに突入ということになるか。あちこちで暗に「もうめっちゃくちゃな戦闘体制のようなもんでして・・・」とか何とか防衛線を張っているんだけど、はたして効果のほどはいかに。いくら根回し、根切りをしっかりやっているつもりでも、「ほんっとに助かるんですぅ」なんて言われると、うっかりその気になって「ま、いっか」と言ったら一巻の終わりだから、気をつけなくちゃね。なんたって、クリスマスの準備があるんだから、買い物がたくさんあるんだから、少しは家の中を整理整頓しないとリサイクルごみで足の踏み場がなくなっちゃうんだから、カレシが持ち込んできたガレージの錠前の問題も解決しなきゃならないんだから、それよりも何よりもとにかくワタシ自身がまとめてだだ~んと休まなくちゃならないんだから、仕事をしているヒマはないのだ。ここは来年まで「ま、いっか厳禁」と行こう。とはいっても、「小さいですから~」なんて囁かれるとわからないな。極楽とんぼは酔狂だから・・・。

あれ、夜中だというのに気温はまだ8度。大雨注意報が出ている。天気予報を見たら、明日は雨。あさっても雨。しあさっても雨。やのあさっても雨。土曜日も雨。日曜日も雨。来週の月曜日になってやっと晴れ時々曇りだって。ぐしょぐしょになってしまいまそう。だけど、雪よりはマシだから、ま、いっか。(あ、言っちゃった・・・。)

取らぬ何とかの皮算用になるか?

12月7日。火曜日。予報どおり、雨、雨、雨。でも、ラニーニャ嬢はスコットランドあたりで羽目を外して暴れているらしいので、こっちはシィ~~。ヨーロッパで遊んでいてはいけないわよね~なんて、戻って来ていただいても困るもんね。

午後3時。仕事完了。じわじわと張っておいた防衛線の効き目はいかに。もっとも、はっきりと「これにて本年の営業は打ち止めぇ」とやっちゃえば簡単なんだけど、そこはひいきにしてくれるお客筋があっての商売だから、むげにそういうわけには行かないのが現実。嘘も方便という手もあることはあるだろうけど、それもなんだかなあと思うし・・・。ほんとにこのままそ~っと年が暮れてくれたらいいけどなあ。今年はほんっとによく働いたんだからさ(遊ぶときは遊んだけど)。

カレシを英語教室に送り出して、まずは請求書の処理。電気料金にケーブル放送料金に電話料金に業務用のクレジットカード、それと所得税の前納の4回目。今年の税金がこの前納の合計額を超えないといいけどな。超えなかったら還付、超えたら追加納税。追加がありそうな予感がするから、やっぱり年度末の前にちょっと設備投資をするかな。そんな思惑を察してかどうか、プリンタは印字がかすれたり、濃くなったり。たぶん古い機種だからトナーも古いんだろうけど、ページの真ん中が薄くなって読みにくい。カラーのレーザープリンタがいいかなあ。と、あれこれ考えていたら、今度はマウスの調子がヘン。動かしているのに、カーソルがやたらと突っかかる。がたが来るとなったら、申し合わせていっせいにガタガタ。ま、今回は業者に頼んで設備一式の搬入から立ち上げ、設定、データの移行まで、めんどうなことはおんぶに抱っこで行こうっと。

払うものを期日に払う設定をしたところで、待ってました。クリスマスショッピングの始まり。もっとも、今からだとアメリカから来るメールオーダーはクリスマスにぎりぎりか、その後の週だろうな。ま、お互いの「プレゼント」は地元で買うとして、とりあえず、L.L.Bean、Lands’ End、Coldwater Creek、Magellan’sと仮想モールを徘徊して、衣料品やら何やらをクリック、クリック。アメリカのカタログだから価格はもちろんアメリカドル表示。ここんところ、アメリカドルとカナダドルはほぼ等価。ということで、換算のたびに何パーセントかの為替手数料を取られるから、アメリカドル建ての口座に入ってくる収入をカナダドルの口座に移すと目減りして損をした気分になる。カナダドルが安かった頃は為替で二重にぼろ儲けしたから、ますます働き損の気分。そこで、アメリカドル建てのクレジットカードを使って、アメリカドルのままで払っそのまましまおうという寸法。(それに、アメリカドル建ての口座はカナダの預金保険の対象外だから、銀行が潰れたら元も子もなくなるしね。)

自分のおもちゃのつもりで注文したのが、6ヵ国語の「しゃべるトラベル辞書」。英語のほかに、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ギリシャ語で、旅行者のための慣用語句が入っていて、音声で聞けるというもの。「明瞭な発音で」といううたい文句に釣られたんだけど、まあ、「○○はどこにありますか?」というようなごく簡単なフレーズを聞けるんだろうと思うから、口まねをしてみたり、○○を別の名詞に変えたりして、お遊び程度の軽い気持で「語学勉強」をやってみるのも一興。何と52ヵ国語!に対応というのもあったけど、それはいくら酔狂な極楽とんぼでも酔狂過ぎるかもしれないと思い直して、今回はやめた。だって三倍の値段だし、あくまでも「おもちゃ」のつもりなんだし・・・。

さて、クリスマスショッピング、次はどこへ行こうかなあ・・・。

まず第一歩、クリスマスへGO!

12月8日。水曜日。突然の警報で目が覚めた。がばっと飛び起きて、ベッドから転げだして、警報を解除。ああ、寝室にもコントロールパネルをつけてもらって良かった。だって、え?え?という寝ぼけた頭では階段から転げ落ちた公算が大だもんね。階下ではシーラとヴァルの声。そうそう、今日は掃除の日だったんだ。時刻は午後12時10分。ふああああ・・・。

何だかかなり集中して夢を見ていた気がするけど、その状態から甲高いアラームで瞬時に覚醒してしまったから、とにかく頭はもや~ん、体はどよ~ん、自律神経までがぼや~んで、手足の先端がやたらと冷たく感じられるし、背筋が冷や冷やするし、おまけに何となく胃がむかついているような、いないような。ふむ、仕事が終わったぞ~と、一気に安心して、一気に気が緩んで、一気に熟睡したのかな。いや、「翻訳」という商売はファッショナブルなオーラを放っているのかもしれないけど、ほんとのところは、文化的思考パターンも価値観も世界観も人間観も、はてはコミュニケーションの概念まで違う2つの言語の間で、ともすれば機械並みに、あるいは「奥歯に挟まった」何とかのように扱われて、盛大に増えるのは白髪。国連やEU議会で同時通訳者の自殺率が断トツに高いのもうなずける話。精神的にキツイ。それをねじり鉢巻でウンウン言いながらやるのは身体的にキツイ。ま、濡れ手で粟みたいな楽々の生業なんてないと思うけど。

仕事戦線は静かそうなので、英語教室に行くカレシにモールまで送ってもらって、それっとクリスマスショッピングを開始。まずは入り口の鍵屋で、3個のデッドボルトが必要で、3個ともキーをマスターして欲しいと注文。ガレージのデッドボルトにキーを差し込めなくなって(たぶんカレシが何か本来無理なことをしたんだろうけど)、うまく差し込めても抜けないと困るので、ロックは使用禁止。自分で取り替えるつもりだったけど、鍵屋は錠前屋でもあるということで、あしたの午後に来てもらって取り替えてもらうことにした。ま、仕事に追われてばっかりで、こういう家周りのことまでは手が回らないし、手を回してくれる人もいないから、人に頼まないことには「懸案事項」は山積になるばかりだし。「夫」というタイトルの人が年中いるんだけどなあ・・・。

次に、カード屋でクリスマスカード。シーラとヴァルに1年の感謝のチップを包む封筒も雪だるまのかわいいのを買った。さて、次はカレンダー。この時期になると毎年空いている店舗にカレンダー屋が入るからうまくできているな。業務用のカレンダーと、キッチンとワタシとカレシのオフィス用に3つ。キッチンのはワインがテーマで、ワタシのは去年に引き続きジャック・ヴェトリアーノの絵。カレシには植物図鑑のようなイラストのすてきなのを買った。次にデパ地下の郵便局のワタシ書箱にたまったカタログ類を引き出して、大きなトートバッグはずしっと重たい。

まあ、「用事」が済んだところで、後はカレシとスーパーで落ち合うまで「自由時間」ということで、クリスマスに欲しいものをあれこれ下調べ。Cuisinartのフードプロセッサで、3リットルと1リットルの大小の容器を使い分けれられて、パンやパスタの生地を練るための付属品までついているのがあった。これはいい。想像の「お買上げ済み」の赤札をつけておく。Coachからは25%割引券が来ていたので、自分用は別に何もいらないけど、親身でママの世話をしてくれているマリルーに良いお財布のプレゼントはどうかと思って品定め。使い勝手の良さそうなのが見つかって、何にもやらない息子の何にもできない嫁からの、せめてもの感謝の気持ということで、ギフトラップして、リボンをかけてもらった。

ということで、クリスマスショッピングの第1日め。トートバッグは肩にかけたら青あざができそうなくらない思い。ちょうどスーパーに向かい始めたところでカレシから「今、駐車場」という電話。やれやれ、もうそんな時間。買出しに行くまでのしのぎだから、バスケット1個分だけの買い物。でも、魚売り場のフリーザーで見つけた冷凍のポンパーノ。獲って生きたまま急冷凍したと書いてある。解凍したら尻尾をバタバタなんてことはないだろうなあ。その尻尾と背びれ、腹びれはきれいな黄色。日本語の名前は「コバンアジ」と言うらしい。ニューヨークのレストランで食べたことがあるだけだから、レシピを探してみなきゃ。

買い物が終わって外へ出たら、雨、雨、雨。もう3日連続で大雨注意報が出ている。どこもかしこもびちょびちょ。それでも、降りに降って2日くらいで1メートル以上積もって、まだ降り足りないらしい(オンタリオ州の)ロンドンに比べたら、ほんと、雪かきしないで済むだけましだから、あまり大きな声で文句を言うのもはばかられるかな。近郊の山のスキー場は雨と霧が続いて、せっかく平年より早くオープンできたのに、しばらく閉鎖するという話。ラニーニャお譲ちゃんがエルニーニョ坊やに変身?したわけじゃないだろうけど、21世紀はマザーネイチャーまでちょっとおかしいんじゃないの?

それにしても、寝起きが悪かったかなあ。なんかくたびれて、眠いような、だるいような・・・。

万能潤滑剤WD40

12月9日。木曜日。目覚めは午後1時35分。これ、新記録じゃないのかな。なにしろきのうはくたびれていた。ほんとに一気に気持が緩んだ感じで、夜中を過ぎた頃には、顎が外れそうなくらいの大きなあくびの連続。心なしか顎がだる~いような・・・。

朝食が終わったらもう午後2時半に近かった。雨がひと休みで、錠前屋さんが約束の3時に登場。まずガレージのデッドボルトに鍵を差し込んでかちゃかちゃ。説明した通り、奥まできっちり入らないでしょ?「うん、ちょっと引っかかる感じだねえ」と、やおらWD40の缶を取り出して、鍵穴にシューッ。鍵を突っ込んで回したら、すんなり開錠。ドアノブの方も一方にしか回らないんだけど。「ドアを開けるための取っ手なんだから、デッドボルトさえかっちりかかればこれで十分」。で、裏口のデッドボルトも開きにくいんだけど。こっちもまた鍵を差し込んでかちゃかちゃ。またWD40をシューッとやるのかと思ったら、こっちはささっとデッドボルトを分解して、回り具合を調べて、「ちょっと磨り減っているけど、まだ当分もつよ」。え?あと20年くらい?「まさか。20年は保証しないよ~」。ついでにデッドボルトの鍵を2本コピーしてもらえる?「できるけど、店に来た方が安いよ」。でも、今ここにいるんだし・・・。名前から見て韓国系のおじさん、「お金かかるよ」といいながらトラックに戻って、さっと新しい鍵を2本作って、きちんと機能することを確かめて、お代はしめて60ドル。ええ?ふつうの修理屋だったら来るだけでそれくらい取るけど・・・。

というわけで、デッドボルト3個を取り替えて300ドル近くかかるかなと思っていたから、WD40のひと吹きで解決して60ドルにはびっくり。それよりも、「WD40」のひと吹きにカレシは大笑い。そうだよなあ。だって、WD40は昔からある万能潤滑剤で、硬いねじもさびたボルトもシュッとひと吹きでするりと外れるすぐれもの。リューマチで動かない関節もシュットひと吹きで効くという伝説までできてしまって、とうとうメーカーが元は「何とか工業」のようなありきたりの会社名を商品名を変えてしまったそうな。困ったときはWD40かダクトテープというくらいの万能ぶりがジョークのねたにもなっている。鍵が曲がってしまったほどの錠前が、シュッとひと吹きで解決じゃあ、やっぱり笑っちゃうよね。(ぎっくり腰にもシュッとひと吹きで効くのかなあ・・・なんてのは冗談だけど・・・。)

仕事戦線は今日も静か。日本は週末に入るから、夜中までに動きがなければ、このまま大手を振ってウィークエンドに突入。それで後はそのままちょっと早い仕事納めということになればしめたもんだけど、はたしてどうなるか。フリーになってからは週末なんてあって無きがごとしで、仕事のない日が週末だとうそぶくしかない。週末だからと断ればいいんだけど、何度か週末の仕事を引き受けてしまうと、「あの人なら」と期待満々のお声がかかるようになって、それが金曜日の夕方遅くになって月曜の朝イチが納期の仕事の担当を探さなければならないコーディネータさんだったら、むげに断れなくてついOKしてしまう。

日本ではお客様は崇め奉るべき「神様」なんだそうだし、翻訳会社は請負ビジネスだし、「集団」が社会の最小単位とされる国の企業にとっては「個人の生活」なんて観念は無きに等しいだろうから、ある意味で日本は欧米よりもずっと「弱肉強食」だなあと思うことがある。経営理念だのミッションステートメントだの、どこもけっこう立派なんだけど、所詮は「建て前」。まあ、建物の外面なんていくらでもペンキを塗り替えられる(刷新できる)ものだし、ばか丁寧語をちりばめた機械的な接客マニュアルとさして変わらないような、なんだかWD40をシュッとひと吹きしたような感じだけど、マニュアルもひとつの潤滑油というのならそうかもしれないな。あんがい強いものに食われないための弱者のための潤滑油だったりして。万能潤滑剤WD40、金曜日なのに早く帰れないコーディネータさんに、サンタクロースに託して送ろうか・・・。

金曜日の午後のコマーシャルドライブ界隈

12月10日。金曜日。今日は午前11時30分に目覚ましで起床。外はかなりまぶしい。天気チャンネルの予報は来週の金曜日までずう~っと雨になっているのに、この陽射しはいったい何なんだろうね。ま、出かける予定のある日はその方がいいにこしたことはないけど、あしたの夜あたりからはこの時期におなじみのパイナップル特急がやって来るらしい。

どうやら仕事なしの週末。クリスマス前は買い物に行きたいところがたくさんある。今日は日系の海産物問屋の店をのぞいてみることにして、ついでにカレシが州税監査官時代の旧友アルバートと久しぶりに会う約束を入れていた。アルバートはカレシの両親から(カレシがオタワに行くまで住んでいた)家を買って20年ずっとそこに住んでいる。多民族文化が売り物のコマーシャル・ドライブのカフェで落ち合って、コーヒーを飲みながら積もる話。奥さんのローリーがガンの手術からもう2年になるけど、思うように体力が回復しなくて、職場に復帰できないでいるという。ローリーは高校教師でタバコを吸ったことがないのに肺がんで片肺になってしまった。高校生になった一人息子のエリックを大学へ送り出したら夫婦で旅行に出かけようと計画していた矢先のことだったからつらい。

穏やかな人柄のアルバートのもうひとつの悩みはその一人息子。日本で言う高校3年生で、そろそろ進路を決めなければならないのに、モチベーションが今ひとつで、成績は良いらしいけど、仲間と遊びまわって、時には午前様で帰ってくるとか。それを聞いたカレシは「オレもその年頃のときはそうだったけど、高校生が午前様はやっぱりまずいと思うなあ」。そこから今どきの教育の質の低下ぶりをああだこうだ。低下したのは教育の内容だけじゃない。すべて白黒で考える学校運営のマニュアル化、細かなことに口出しするめんどうな母親たち、カナダ版ゆとり教育で育った未来の先生のおんぶにだっこちゃんぶり。聞いているうちに、ワタシはお子様プロジェクトで垣間見た日本の教育事情とイメージが重なり、カレシはクビにした英語先生候補とイメージが重なって、3人でにぎやかにああだこうだ。果ては「人類はベビーブーム世代でピークアウトした」というワタシの持論?で意見が一致。ふむ、どっちかというと左寄り思想のアルバートまでが同意するとなると、人類の未来はほんとに大丈夫かなあと思ってしまうけど・・・。

金曜日の午後だけど、かざりっ気のないカフェは老若男女でいっぱい。政治談議に花を咲かせているおじさんたちもいれば、奇抜なファッションの若いカップルがいたり、人形のような幼い娘の話を熱心に聞いている若いパパもいる。カレシがこの界隈を闊歩していた頃はイタリア系移民の街だったザ・ドライブも、今ではイタリアンカフェに混じってヒッピー時代を思わせるカフェやエスニックレストラン、日本で言う百均ショップのような雑貨屋が並び、その間にちょっとおしゃれなブティックがあったり、八百屋があったり、スタバがあったり。昔からあった独特な雰囲気が雑多な移民文化が入り混じってますます独特なカラーを醸し出している感じだけど、ちょっと横道にそれると、カレシが幼い頃におつかいに行った小さな角の何でも屋の建物がまだそっくりあったりするから、カレシは故郷に帰ったような、何となくノスタルジックな気分・・・。

魚屋まではほんの数ブロック。途中にある(たぶん築後百年を越える)古い家並みがきれいに修復されてカラフルになっていたりして、ちょっぴりサンフランシスコの雰囲気がないでもない。このあたりは昔から移民やブルーカラーの低所得層が住んでいたんだけど、80年代の中頃にヤッピーたちが家庭を持つようになって、フェアビュー地区のコンドミニアムから移り住み始めた頃からだんだんに高級化して来たと思う。おしゃれに改装された「おうち」的な家々にはきっとおしゃれな家族たちが住んでいるんだろうな。車はBMW、時計はロレックスが決まりみたいなブランド消費文化の寵児だったヤッピーたちの多くは、子供ができるとファッショナブルなエコ活動家に傾いていったような記憶がある。今のファッショナブルに過激な若いエコッピーたちはあの頃のヤッピーの子供たちなのかもしれないな。

今日行った魚屋は日本食レストランが仕入をするところで、「一般客にも売ります」というスタンスだから「魚屋」の体裁はない。頼めば新鮮な魚も売ってくれるらしいけど、大きなフリーザーがいくつも並んでいて、その日の手持ちの冷凍品がどっさり。勝手に次々と蓋を開けて、バスケットに入れたのは、ホッケの開き、アジの開き、サンマの開き、紋甲イカ、シシャモ、寿司用に開いたゆでエビ、長いタコの足、赤いトビコ、三枚おろしのサバ、スズキの粕漬け、サバの粕味噌漬け。ついでにオープンフリーザーにあったフカヒレも入れて、遠洋漁業は久しぶりに大漁だった。これでお正月過ぎまでいろいろとおいしいものを楽しめそう。次はGourmet Warehouseでも探検しに行こうかな・・・。