リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

気候変動と森林火災と科学盲信

2021年07月19日 | 日々の風の吹くまま
7月18日(日曜日)。☀☀。予想最高気温は27度だって。夏が戻って来たらしいけど、やっぱりそれほど暑いという感じはしないなあ。向こう2週間の予想最高気温はほぼ平均的な気温で、普通なら最高に快適なんだけど、皓ごろは何だか涼し過ぎる感じで、夜なんか寒くて目が覚めてしまうこともあるくらい。まあ、あの数日間は平均気温より20度近くも高かったわけで、バンクーバー周辺の海岸では岩場に生息する貝類やヒトデが大量に死んで腐敗臭が漂っていたそうだし、海の水温が上がってサケに悪影響が出ているという話だから、人間の生理的な感覚が狂ってもおかしくないか。

内陸では今300ヵ所以上の山林火災が燃え盛っていて、大規模なものは何万ヘクタールにも燃え広がって、あちこちで避難勧告が出ている。ほとんどが落雷による自然発火だそうで、雨が降らなくてカラカラに乾燥していてひとたまりもないんだそう。とにかく乾き切っているもので、延焼面積がひと晩で2千ヘクタールから5千ヘクタールに広がったところもあるくらいの猛スピードで、消火作業に当たっている人たちには危険きわまりないし、火の手の先にあるコミュニティの人たちはいつ避難命令が出るかわからないからものすごいストレスだろうと思う。そのうち気流が変わって煙が沿岸地方に流れて来て、2年前、3年前の夏のように来る日も来る日もどんよりと煙に覆われるなんてこともあり得るから、何百キロも離れているからと言って安心していられないのも事実。

大規模な山林火災は毎年のことではあるけど、BC州で野焼きを監督指揮する資格を持つ人が、山林火災を減らすためには先住民の伝統的な野焼きの手法を復活させるべきだと主張していて、大いに同感。何千年も住み着いて来た先住民のコミュニティには、周囲の地勢を熟知した上で野焼きの場所とタイミングを決める長老格の人がいて、春になると小規模な野焼きをして、下草や枯れ木を焼き払っていたそうで、州政府が森林の所有権を握ってからは、野焼きは先住民から林野庁のような政府機関の手に移って、ごく限られた規模でしか実施されなくなったそうな。先住民の野焼きの目的は焼けた土地に生えてくる若草を食べに来る動物の捕獲や食料になる果実の成長を促すことだったからで、森林の保護は副次的な恩恵に過ぎないというのがお役所の理由だったらしい。

でも、このあたりで、ちょっと待てよ。狩猟民族である先住民の人たちにとっては生活の糧の確保と自然保護は切り離せないセットだったはず。そうやって何千年もその土地に住み着いて野焼きの文化を築いて来たんだから、頭から原始的な文化と決め付けて止めさせるのは科学を盲信する現代人の短絡的な思考だと思う。先住民のコミュニティが受け継いで来た先人の地勢や野焼きの知識や手法に目を向けるべきという主張には一理も二理もあると思う。科学を崇拝するデジタル思考では原始的で時代遅れのアナログ思考でしかないかもしれないけど、先住民の伝統的なノウハウは、近代の科学技術なんかとは比べものにならないほど膨大な「臨床試験」を経て来ているんだから、その知見が途絶えてしまわないうちに復活させて、学ぶべきものを学んで実践に取り入れる方が賢いんじゃないかと思うんだけどねえ。