リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

悲しみと感動の国葬

2014年04月16日 | 日々の風の吹くまま
雨だ。今日は先週急逝したフレアティ元財務大臣の国葬。元閣僚の国葬はかなり異例だけ
ど、それだけの功績と人望があった人ということで誰も異論はない。カエデの国旗に包まれ
た棺を前にして、まず首相が経済政策を巡って議論を戦わせた思い出話をユーモアを交え
て語って参列者の笑いを誘いながらの頌徳演説。「時には私が最終決定を押し付けました。
時にはジムの方が正しいのではないかと思いました。また時にはジムは間違っていると思
いましたがまかせることにしました。なにしろ彼との議論にほとほと疲れていたのです」。

でも、最後に自分が父親を亡くしたときの気持を引き合いに出して、演壇から23歳になるフ
レアティの三つ子の息子たちに語りかけたときには胸がいっぱいの様子だった。「そのとき
は感情の波が錯綜して何を言ったか、何を言われたか覚えていない。でも、視界が晴れて
来たときに私の中での父の存在の大きさを悟った。それは素晴らしい。君たちにとってもき
っとそうだろうと思う」。子供の人生における父親の存在感は亡くして初めて実感できるもの
らしい。見上げることができて、心の中の存在が拠りどころになるような父親を持った子は
幸運だと思う。

三つ子で生まれたジョン、ガレン、クィンのうち、ジョンは2歳のときに重症の脳炎にかかり、
命は取り留めたものの知的障害が残ったという。でも、仲の良さそうな兄弟に見えた。最後
にクィンが声を詰まらせながら誇らしげに披露した父の遺訓は「この世で最も大事な4つの
もの、それは友達、家族、信仰、そして愛」。最後の最後に「親父よ、格好を崩して、目を閉
じてゆっくりしなよ。ここから先は僕らがやるから」と締めくくり。もうダメだ、涙がぽろぽろ。い
つもシニカルなカレシまでがそそくさと裏庭に出て行ってしまった。

誇り高きカナダ人であると同時に誇り高きアイリッシュであったフレアティ。参列者には緑色
のスカーフをしている人が多かった。緑はアイリッシュカラー。引退後は夏ごとにアイルラン
ドへゴルフをしに行くのが夢だったのに、その夢も果たさずに財相辞任からわずか3週間で
逝ってしまった。聖堂の外でも涙を拭っている一般市民の姿があちこちにあった。カナダ経
済がこの数年の激動する金融市場を乗り切って来たのはフレアティという舵取りがいたから
こそ。ほんとに惜しい人を亡くしたなあ。ほんとに・・・。