尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

都教委の「全教職員ストレス検査」

2011年08月18日 23時05分27秒 |  〃 (東京・大阪の教育)
 8月17日付朝日新聞夕刊(社会面トップ)に「ストレス 全教職員検査 都教委 精神疾患で休職激増」という記事が載っている。WEB版にはないのかなと思うと、今日付けで簡単な記事が載っている。東京の教育の実情、実態については、このブログの中心記事になるはずだったけど、震災が起こって書けないままになっていた。ちょうどいい機会だから、簡単にこの問題を書いておくことにする。

 この動きは昨年度末に伝えられていたが、全くピントはずれであるというか、むしろ逆効果対策である。そして、一番の問題は都教委自身がそれをわかっているに違いないということだ。考えて見ればすぐわかるが、「よく眠れるか」「1日3食とっているか」などを全教職員に問診票を配って把握するというというのは、それ自体が巨大なストレスである。しかも日常の仕事についても「苦痛を感じるか」などの設問がある。管理職による成績評価が徹底され、昇給に完全に影響するようになってすでにだいぶたつ。そのようなシステムを作っておいて、こんな問診票に答えさせるというのは、一種の不当労働行為であるとも言える。都の教職員互助会が運営している三楽病院の医者などもよく協力しているが、一体自分の行為をどのように考えているのだろうか?

 記事によれば「学校に育児依存」「書類作り多忙」などと見出しがあるが、そんな事情は全国どこでも共通ではないか。しかし、精神疾患で休職した教員は、都の増加ペースが全国を上回り、教員全体に占める割合は0.9%で全国平均の1・5倍とある。それはなぜか?
 それは、都教委の存在そのものが、トリガー(発症の引き金)になっているからである。たとえば今回の例だが、休職が多い、どうしよう、では全員に問診票を書かせて、上から全員を管理しよう、というこの発想。すべてがこの発想で進むので、もはや誰も何も言わないし、こういう問診票も仕方ないから適当に書いて出しておくけど(情報管理に関する毎月のようにあるアンケートと同じ)、どうでもいいと思ってる。

 こういうことは、都に勤めている教員ならだれでも判ってることだが、何か言っても変わらない、むしろ逆効果にしかならないということをこの10年以上で学んだから、誰ももはやマスコミに投書したりしない。全国に先駆けて進められてきた、東京の「教育改革」の実情については、今後様々な機会に報告していきたいと思っている。ま、50代にもなれば、早く辞めたいな、もう限界という人ばかりで、僕の知ってる範囲でもずいぶん早期退職している。生徒との関係などで責任感でやってるけど、このままではホントに大変だと思う。けれど、都教委というところは、自分をかえりみることができない人たちの集まりだから、今後よくなるとは信じていない。
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1 コメント

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「やらせ」問診票 (散歩人)
2013-07-16 01:21:47
文中にある「問診票」には学校現場の最大のストレス原因に関する記述がありません。「教育行政にストレスを感じる」とか「管理職との関係にストレスを感じる」という項目は設けられていないのです。後者は「YES」が過半数くらいで収まるかもしれませんが、前者は90%以上が「YES」と回答するでしょう。いまや都教委は教員を圧迫することに血道をあげるしか能のない「ブラック企業」と化してますから。
こんな問診票、ストレスを小さく見せかけるだけの「やらせ」でしかありません。ホントに都教委のやり方は姑息です。
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