尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

李麗仙、姜徳相、根岸英一、大島康徳等ー2021年6月の訃報②

2021年07月10日 22時54分49秒 | 追悼
 2021年6月の訃報。最近訃報特集が長すぎるので簡潔に書いていきたい。まず女優の李麗仙が、6月22日に死去。79歳。最近見た昔の映画「サマー・ソルジャー」で李麗仙が印象的に出ていて、そう言えば今何しているのかなと思ったら訃報が報じられた。映画では脱走米兵を匿う水商売の女をほとんど実在人物のような存在感で演じていた。相手は素人俳優なので、かなり大変だったらしい。李麗仙といえば、唐十郎状況劇場(紅テント)の看板女優だった。今調べてみると少しは見てると思うけど、具体的には覚えてない。一番勢いがあった70年前後は中学生だから見てない。その当時は李礼仙と表記していた。唐十郎と67年に結婚し、88年に離婚したが離婚のことも忘れていた。「金八先生」などテレビでも活躍した。
(李麗仙)
 歴史学者の姜徳相(カン・ドクサン)が6月12日に死去、89歳。1989年に一橋大学教授となったが、これは韓国人として初の国立大学教授だった。朝鮮近現代史、日朝関係史を専攻し、特に朝鮮独立運動史や関東大震災時の朝鮮人虐殺事件の実証的研究を行った。1975年に中公新書から出た「関東大震災」はこの問題の先駆的な著書で、僕も若い頃に読んで大きな影響を受けた。在日韓人歴史資料館の初代館長を務めた。
(姜徳相)
 2010年にノーベル化学賞を受賞した根岸英一が6月6日に死去、85歳。帝人勤務の後アメリカのインディアナ州にあるパデュー大学の研究員となり、シラキュース大を経てパデュー大学教授となった。40年以上アメリカで研究し、有機亜鉛化合物を用いる「根岸カップリング」の開発でノーベル賞を受賞した。(北大名誉教授の鈴木章らと同時。)2018年に車が溝にはまり救助を求めた妻が低体温症で亡くなる事故が起きた。根岸氏には二度目のノーベル賞を期待する声があったようだが、それは「人工光合成」の研究だったようだ。
(根岸英一)
 中日日本ハムで活躍したプロ野球選手、また2000年から2002年にかけて日本ハムの監督を務めた大島康徳が6月30日に死去、70歳。僕はこの人をそんなに知らなかったが、現在東京新聞夕刊に「この道」という自伝を連載していて、連載中に亡くなった。(原稿は出来ているということで、没後も連載されている。)ガンだということは公表していたが、まさに読んでるさなかに亡くなったとは…。中学時代はテニスやバレーをやっていて、高校から野球を始めた。投手だったにもかかわらずホームランを中日のスカウトが見ていてドラフト会議で3位で指名された。入団後に水原監督から野手に転向させられたという。1983年のホームラン王。通算2204安打、382本塁打。引退後に第1回WBCの打撃コーチを務めた。選手、監督として5回の退場処分を受けたことでも知られる。
(大島康徳)
 ビッグバンド「原信夫とシャープス&フラッツ」のリーダーでサックス奏者の原信夫が6月21日に死去、94歳。海軍軍楽隊から戦後になってジャズバンドを結成し進駐軍向けに演奏した。アメリカの大物歌手の伴奏も務めた。美空ひばりの「真赤な太陽」の作曲も。僕はナマで一回聞いてると思う。
(原信夫)
 「寺内タケシとブルージーンズ」のリーダーで、「エレキの神様」と言われた寺内タケシが6月18日死去、82歳。僕はあまり知らないんだけど、74年に全国の学校で「エレキ禁止令」が広がり、寺内は抗議の意味でハイスクールコンサートを長く続けたという。「エレキの神様」って言う表現はおかしいなと思うけど。
(寺内タケシ)
 政治学者の石田雄(いしだ・たけし)が6月2日死去、97歳。訃報の写真がなかったことに驚いた。東大法学部で丸山真男の系譜を継ぐ学者として、著作も多かったし社会的発言も多かった。安保法制の時は朝日新聞投書欄で反対論を投稿した。しかし、新書本などの一般向け著作がなかったから一般的知名度は低かったのかも。「明治政治思想史研究」(1954)以後多くの著作があり、「日本の政治と言葉」(1989)で毎日出版文化賞。学徒出陣世代として平和を論じ続けた。「安保と原発――命を脅かす二つの聖域を問う」(2012)、「ふたたびの<戦前> 軍隊体験者の反省とこれから」(2015)など近年まで言論活動を続けていた。
(石田雄)
 5月まで経団連会長だった中西宏明が6月27日に死去、75歳。日立製作所社長、会長を務め業績の急回復を果たした。2018年から経団連会長に就任し、就活ルール見直しを主導した。組織として決定する前に発言したのだという。石田氏と異なって、原発を推進する立場で率直な発言をすることで知られた。
(中西宏明)
 アメリカのブッシュ(ジュニア)大統領の下で国防長官を務めたドナルド・ラムズフェルドが6月29日に死去、88歳。1975年にフォード政権で43歳という最年少の国防長官になった。二度目の国防長官として、アフガニスタンとイラクの戦争を主導した。強硬派で知られ、イラク戦争の泥沼に大きな責任がある。
(ラムズフェルド)
藤田紘一郎、5月14日死去、81歳。寄生虫学者で「笑うカイチュウ」など多くのユーモラスな著作で知られた。
船戸順、5月26日死去、82歳。俳優。映画、舞台、テレビで幅広く活躍した。妻の岩井友見とともにCMなどに出演したことも多かった。
茂木清夫、6日死去、91歳。地震学者で地震予知連絡会長を務めた。東海地震と浜岡原発の危険性を警告した。
大和岩雄(おわ・いわお)、20日死去、93歳。52年に「人生手帳」を創刊、若者の悩みを投稿する人生雑誌として成功した。61年に「愛と死をみつめて」がベストセラーになった。その後古代史研究を始め多くの著作がある他、民間古代史学者が発表できる雑誌を刊行した。僕は「大和書房」を昔から知っていたが「やまと」なのか「だいわ」なのかずっと疑問だった。「おわ」だったとは知らなかった。
大野茂、21日死去、71歳。元関脇玉の富士で、前片男波親方として玉春日らを育てた。
ベニグノ・アキノ、24日死去、61歳。前フィリピン大統領。暗殺された父とマルコス政権打倒後の大統領コラソンとの間に生まれ、2010~16年に大統領を務めた。
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