2020年版「このミステリーがすごい」の日本編ベストワンは、相沢沙呼という作家の「medium 霊媒探偵城塚翡翠」(講談社)という本だった。誰、それ? そもそも何と読むのかというと「あいざわ・さこ」という1983年生まれの男性作家。作品名は「メディウム・れいばいたんてい・じょうづかひすい」である。そもそも「霊媒探偵」って何だよ。それは「ミステリーの自己否定」じゃないのか。どんな本なんだろうか。今まで一つも読んでない作家だけど、文庫化を待ちきれず読みたくなってしまった。

相沢沙呼は今まで「ライトノベル」系の作品が多い。「酉乃初シリーズ」「マツリカシリーズ」「小説の神様シリーズ」なんかがあって、「小説の神様」は今度実写映画化され、5月に公開予定。「酉乃初シリーズ」は創元推理文庫に入っているので、こっちも読んでしまった。酉乃シリーズの「午前零時のサンドリヨン」(2009)が第19回鮎川哲也賞を受賞してデビューした。ほぼ10年のキャリアがあるが、今までは「日常の謎」系のミステリーで、今回の霊媒探偵で初めて殺人事件を扱ったということだ。
ミステリー(推理小説)の元祖であるシャーロック・ホームズは、ほんの小さな事実を取り逃さずに観察し、思いも掛けぬ真相を暴き出す。それは究極的な「論理的思考力」であり、あまりにも偶然性を排除しすぎていると思うときもあるが、まさに産業革命下のイギリス都市社会の成立が背景になっている。誰かが殺されて、一体犯人は誰なのか。その謎に「頭脳」を以て立ち向かう名探偵たち。
ところで、死者の霊魂にアクセスできる霊媒が(小説内で)存在したらどうだろうか。死者の霊が犯人を示してしまえば、それで終わりだ。まあ、近代的裁判システムでは有罪証明には使えないという問題はある。しかしミステリーのサブジャンルとして「倒叙」という形式がある。「刑事コロンボ」シリーズなどがそれだが、犯人は判っているが決め手がない。いかにアリバイなどを崩していくかを描くタイプだ。この小説もそのような感じで展開するのだろうか。
単行本の表紙イラストは遠田志帆(えんだ・しほ)という人の担当。ウィキペディアを見ると、「屍人荘の殺人」や角川文庫の綾辻行人作品をやってる。「いかにも」的な美少女が描かれていて、アメリカ帰りの絶世の美女。20歳のクウォーター(4分の1外国系)で何か心に深く傷を負いながら、親の残した遺産で高級マンションに住んで無料で「霊媒」を務めることもある。その名も「城塚翡翠」って、何だ何だ、やり過ぎだろ。これは少女向けの「ライトノベル」というか、少女マンガのノベライズなんだろうか。
語り手は推理作家の香月史朗(こうげつ・しろう)という人物で、過去に難事件を解決した過去があって今も時々警察から協力を頼まれることがある。そんな香月が大学の後輩に頼まれて、霊媒城塚翡翠に会うことになる。そして巻き込まれた殺人事件。続いて二人で訪れたミステリーの大家の別荘で起きた事件。それらの事件解決に翡翠がどのように関わったか。そして続く女子高生連続殺人事件。その合間に謎の「連続死体遺棄事件」の犯人による語りが差し込まれる。連続殺人犯は翡翠を狙うのか。翡翠は近づく死の予感を感じてゆくのだが…。
そして最終章、最後に驚く真相とは…? 読んだ人にしか語れない展開だ。とにかく驚くべき真相が待っているのは保証できる。なるほどなあ、テキトーに読んでたら全然見抜けなかった。絶対に損はない本だ。ライトノベル的、美少女霊媒探偵モノと侮っていると足をすくわれる。「medium」とは、中間、中庸、媒介、媒体、中間などの意味だが、霊媒は「Spirit medium」だということだ。メディアムとふりがながされているが、ミディアムと発音することが多く、服のサイズのMでもある。

相沢沙呼は今まで「ライトノベル」系の作品が多い。「酉乃初シリーズ」「マツリカシリーズ」「小説の神様シリーズ」なんかがあって、「小説の神様」は今度実写映画化され、5月に公開予定。「酉乃初シリーズ」は創元推理文庫に入っているので、こっちも読んでしまった。酉乃シリーズの「午前零時のサンドリヨン」(2009)が第19回鮎川哲也賞を受賞してデビューした。ほぼ10年のキャリアがあるが、今までは「日常の謎」系のミステリーで、今回の霊媒探偵で初めて殺人事件を扱ったということだ。
ミステリー(推理小説)の元祖であるシャーロック・ホームズは、ほんの小さな事実を取り逃さずに観察し、思いも掛けぬ真相を暴き出す。それは究極的な「論理的思考力」であり、あまりにも偶然性を排除しすぎていると思うときもあるが、まさに産業革命下のイギリス都市社会の成立が背景になっている。誰かが殺されて、一体犯人は誰なのか。その謎に「頭脳」を以て立ち向かう名探偵たち。
ところで、死者の霊魂にアクセスできる霊媒が(小説内で)存在したらどうだろうか。死者の霊が犯人を示してしまえば、それで終わりだ。まあ、近代的裁判システムでは有罪証明には使えないという問題はある。しかしミステリーのサブジャンルとして「倒叙」という形式がある。「刑事コロンボ」シリーズなどがそれだが、犯人は判っているが決め手がない。いかにアリバイなどを崩していくかを描くタイプだ。この小説もそのような感じで展開するのだろうか。
単行本の表紙イラストは遠田志帆(えんだ・しほ)という人の担当。ウィキペディアを見ると、「屍人荘の殺人」や角川文庫の綾辻行人作品をやってる。「いかにも」的な美少女が描かれていて、アメリカ帰りの絶世の美女。20歳のクウォーター(4分の1外国系)で何か心に深く傷を負いながら、親の残した遺産で高級マンションに住んで無料で「霊媒」を務めることもある。その名も「城塚翡翠」って、何だ何だ、やり過ぎだろ。これは少女向けの「ライトノベル」というか、少女マンガのノベライズなんだろうか。
語り手は推理作家の香月史朗(こうげつ・しろう)という人物で、過去に難事件を解決した過去があって今も時々警察から協力を頼まれることがある。そんな香月が大学の後輩に頼まれて、霊媒城塚翡翠に会うことになる。そして巻き込まれた殺人事件。続いて二人で訪れたミステリーの大家の別荘で起きた事件。それらの事件解決に翡翠がどのように関わったか。そして続く女子高生連続殺人事件。その合間に謎の「連続死体遺棄事件」の犯人による語りが差し込まれる。連続殺人犯は翡翠を狙うのか。翡翠は近づく死の予感を感じてゆくのだが…。
そして最終章、最後に驚く真相とは…? 読んだ人にしか語れない展開だ。とにかく驚くべき真相が待っているのは保証できる。なるほどなあ、テキトーに読んでたら全然見抜けなかった。絶対に損はない本だ。ライトノベル的、美少女霊媒探偵モノと侮っていると足をすくわれる。「medium」とは、中間、中庸、媒介、媒体、中間などの意味だが、霊媒は「Spirit medium」だということだ。メディアムとふりがながされているが、ミディアムと発音することが多く、服のサイズのMでもある。
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