工藤鍼灸院・院長のひとりごと2

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しゃっくりの東洋医学

2007年02月25日 12時54分47秒 | 鍼灸・東洋医学
今日は今が最盛期の花粉症についてお話しようかと思っていたのですが、こんなニュースを見つけましたので予定変更。
花粉症に関してはまた後日お話しますね。

asahi.com:しゃっくり止まらず4週間 1分間に50回 米の少女

この少女、1月23日から毎分50回のしゃっくりが止まらないのだそうな・・・。そんなに出てるとさすがに苦しいだろうねぇ。昔、死んだじいちゃんが「しゃっくりはなぁ、しゃっかい(100回)出たら死ぬんだぞ」と言ってましたが(笑)、100回で死ぬんだったらこの少女、2分で死んでるよ(^^;)
まぁでもしゃっくりって意外と体力使うし、4週間も続いてたらグッタリだろうなぁ。
しゃっくり自体には病的な意義はありませんが、この少女のように何の異常も認められないのにしゃっくりだけが長期的に続くと、睡眠障害や食欲の減退などを引き起こす原因にもなります。ここまでひどいと単なるしゃっくりと侮れませんねぇ。

実はおもしろい事に、しゃっくりは鍼灸の適応症なんですよ(^^)
数年前まではWHOが認める鍼灸適応疾患にしゃっくりが入っていたくらいです(しゃっくり自体は病名ではないため、今は外されてしまったようですけどね)。さすがにしゃっくりが主訴の患者さんってのはいないですが、僕自身や家族がしゃっくり出ている時に試すときちんと止まります。結構すごいよ。
しゃっくりは鍼灸の適応症っていうよりも、東洋医学的な考え方で治療すれば治りやすい症状なんですね。

東洋医学的には通常のしゃっくりは「寒熱の逆転現象」だと考えるんです。
健康な人は横隔膜を境に胸が冷え、お腹は温かく保たれています。外界と接している臓器である肺はラジエターのような働きもしますから、冷えている方が効率良く仕事ができるわけです。また、胃はその熱で食べ物を腐食させて消化しますから、ある程度胃に熱が入っている状態が健康であるといえます。
それがですね、何らかの原因でお腹が急激に冷えた場合、お腹の熱が胸に逃げて胸に熱が昇ってしまう事で寒熱の逆転が起こり、結果としてしゃっくりが出るというわけです。冷たいビールをグーッと飲むと「・・・ヒック」ってしゃっくり出ることあるじゃないですか。あれはこういう現象によるものなんです。
ですからこの場合、お腹を温めて胸を冷やせばしゃっくりは止まります。鍼やお灸は使う必要なしです。すごく簡単に止まりますから、お試しあれ。

極めて稀ながらも、病的なしゃっくりってのもございます。
例えば脳疾患で出るしゃっくりは、上下の気の交流が妨げられる事で下焦の気が上に突き上がるのが原因です。
また、胃が冷えている時にものを食べると、胃に陽気が集まってきて先にあった寒と合わさってしゃっくりが出るというケースもあります。
これらの場合はしっかりと鍼による本治法的な治療を加える必要があります。胃寒によるしゃっくりは治りやすいのですが、肝虚や腎虚で陰陽の気が交流しなくて出るしゃっくりは極めて重篤な場合もありますから、そういう時は注意が必要です。
コメント
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