実戦教師塾・琴寄政人の〈場所〉

震災と原発で大揺れの日本、私たちにとって不動の場所とは何か

牧場再開!  実戦教師塾通信五百七十一号

2017-10-27 11:30:16 | 福島からの報告
 牧場再開!
     ~農業という生業(なりわい)~


 ☆初めに☆
選挙終わりましたね。日曜の夜はテレビ見ないで寝ました。悪いことばかりではなかったとも思ってます。勝つためにという戦略が、いかに政治をダメなものにするのか、どれだけ内容を陳腐(ちんぷ)なものにするか、等ということが示されたことです。
この事態を、前原代表はいまだに「想定内」としているのでしょうか。民進党にとっては必然、かつ、いい結果だったと思います。
 ☆ ☆
福島県内では9月時点で、小池都知事の「原発ゼロ」政策が、大きく報道されていたのです。やっぱり地元では、原発への思いが違うのだなあと思っていました。でも日を追うに従い、この原発政策関連記事の勢いは、福島でも消え入るようでした。

  雨に煙る広野の火力発電所。クレーンがフル操業でした

 1 ダルマ
 牛舎の修繕が終わり牛の競(せ)りも無事にすみ、仲村トオルからのお祝いで、高崎のダルマが届いた。蛭田さんの時と同じく、ダルマさんの顔の横にある字、
「心身健康」の上には「うしもひとも」
「開運招福」の下に「しま」
と、小さく書き添えられていた。そして背中には、渡部牧場へのエールがあった。

◇ダルマの片目を入れるのは、子牛が牧場で生まれたら。
これは渡部夫婦一致していた。そして、もう片方は、
◇生まれた牛が売れたら
というのが渡部さんの考え。しかし、お母さん(奥さん)の方は違った。全く別な角度からのアタックに、私はしばし呆然(ぼうぜん)とした。また、ダルマさんの正式な置き場所は、来春完成する母屋だ。議論?がされた。普通、床の間か神棚でしょと私まで参戦したのは、
◇ダルマさん専用の部屋を作る
という話を、お母さんが持ち上げたからだ。まだもっとすごいのがあるのだが、恥ずかしくて書けない。とにかく、お母さんはもうひと通りではなかった。
「ダルマさんを焚(た)き上げる(供養に焼く)? ンなこととんでもない!」
というわけだ。こんなに喜んでもらえて、きっと送った本人も喜んでいるに違いない。

 2 渡部牧場
 雨のなか、牛さんたちのいる母屋に移動した。


ストロボに迷惑そうな顔もせず、出迎えてくれた。餌を食べる写真の奥に、庭の柿がオレンジ色を見せている。


   渡部さんの嬉しそうな顔です。

 乳牛の質はすぐに分かる。牛が乳を出すようになれば、量ばかりでなく、脂肪の含有(がんゆう)等、牛の素質がすぐに分かる。それで、牛の価値/価格が決まっていく。牛は生きながら価値の判断がされる。
「でも和牛(肉牛)は、そうは行かねえ」
体を開いてみないことには分からない、のである。エコーやらCTやらと、なんとかなりそうなもんだと素人(しろうと)には思えるが、そうではないようだ。牛が肉になり、それが評価されて初めて血統というものが出来ていく。渡部さんは「和牛農家」としてスタートしたのだ。
 まだ始まったばかりなんだ、と改めて思った。

 3 農業という生業
 いっとき全国ネットにまで登場した蛭田牧場は、いま相当な投資をしているらしい。昔は120頭以上いたのである。そのレベルまで目標にしているのだろう、堆肥(たいひ)の攪拌(かくはん)や搾乳(さくにゅう)ロボットなど、多くの作業が機械化されるという。方や渡部さんの牧場も、震災前の20~30頭を目指すのだ。
「お金持ちになりたいの?」
いつもながらのぶしつけな質問を私はする。もちろんそんなはずはない。そして、これもいつも通り渡部さんは笑いながら言う。
「オレにはサラリーマンは出来ねえ」
「これ(農業)しか出来ねえんだよ」
「これをやっていこうって時によ、オレには先祖から受け継いだ土地があるんだ」
「オレには、あと牛があれば生きて行けるんだ」
「牛が20頭いたら20頭を育て、育てるに必要な土地を守る」
「そうやって生きてきたし、これからも生きてくんだ」
いつも思う。ここには私たちとは別な時間が流れている。この人たちの行く末を、これからも見て行けたら、改めて思ったのだった。


 ☆後記☆
この日はおばあちゃんの手作り料理に招待されまして、秋茗荷(みょうが)の味噌汁や野菜の炊き合わせなど、ご馳走になりました。ありがたいです。
収穫の始まった芋畑です。

これで三分の一ほどの収穫が終えたと言います。収穫量は一㌧。でも予定はその3倍だったそうです。どんな製品(「ケンピ」)になるのでしょう。
 ☆ ☆
戦後シベリアに抑留(よくりゅう)され、帰国以来、ずっと国の責任を問い続けてきた大野清氏が亡くなりました。91歳。氏のおかげで、満洲経験者の生の声が聞けていました。両親の仲間であり友人だった大野清氏です。告別式は今日です。行って来ます。

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