瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

君と一緒に(ルナミ編-その10-)

2009年12月16日 23時20分19秒 | 君と一緒に(ワンピ長編)
前回の続きです。】




チョコレートの滝をはさんで左側は売り場、右側はレストランだった。
そこで俺達は窓際のテーブル席に向い合って座り、ようやく昼飯を食う事が出来た。
俺は帆船模型の飾ってあるカウンター席が良いって言ったんだけど、ナミがだんことして嫌がったんだからしょうがねェ。

チョコレート専門の店は、レストランのメニューもチョコレートばっかだ。
何を食べるか真剣に悩んだすえ、俺はビーフカレーとアイスチョコレートのセット、ナミはウーロン茶、そして2人でチョコレートフォンデュを注文する事にした。

「チョコフォンデュにチョコドリンクって甘過ぎない?」
「そー思ったからカレー頼んだんじゃねェか。ナミこそチョコレートフォンデュだけじゃ腹減るだろ?」
「そうかしら?どうせ道歩きながら何か食べる積りだし、充分な気がするのよね」
「俺はここで食べて、歩きながら食うつもりでもいるけど」
「あんたのお腹がブラックホールなのは承知してるけど、財布は違うんだから、自重しなさいよ」
「金足りなくなったら貸してくれよ♪」
「嫌!絶対貸さない!」

ナミはやっぱりケチだと思う。


それからもカレーをほおばりつつしゃべってて、食い終わったところへチョコレートフォンデュが運ばれて来た。
基本この店はカウンター受け取りらしいんだけど、フォンデュは準備に少し時間がかかるらしく、出来たら運んでもらえるよう約束してたんだ。

チョコレートフォンデュは俺、初めて食べるけど、2人分のわりには正直少ねーなと感じた。
固形燃料で温めてるつぼの中には、トロットロのチョコレートがたっぷり。
それは良い、けどつける用に、下の皿に円状に並んだフルーツ・パン・マシュマロは4つずつ、1人分としても足りねーだろ。
まーでも腹減ってたから文句は言わずに、ナミが教えてくれた通り、串にパインを刺し、液体チョコにつけて食ってみる。

「うまい!!」
「んまいv」

ミカンをチョコにつけてほおばったナミも同時に叫んだ。
フルーツとチョコって合うんだなー。
帰ったらフルーツ缶とチョコ買って来て、やり方おんなじに食ってみようか。

「売ってる板チョコを溶かして浸けたんじゃ、こんなに美味しくならないんじゃないかな?そもそもチョコは溶けたら油が分離して不味くなるのよ」
「じゃーこれはどーして溶かしてもうまいんだー?」
「生クリームが入ってるんじゃない?だから甘さ控え目でマイルドなのよ」
「ふーん。って事は家でこの味は食べられないわけかー」
「あ、でもそういえば此処の売り場でチョコフォンデュ売ってた!それ買ってけば家でも出来るわよ」
「そうか!よし買う!絶対買おう!」
「買うのは良いけど今は止めときなさい。荷物になるもの。ホテルにチェックインしてからね」
「解った…なーナミ、マシュマロもらって良いかー?」
「いいわよ。甘いから、私それ要らない」
「フランスパンももらって良いかー?」
「まァ…いいけど…」
「それからパインにキウイにバナナにモモにミカン――」
「全部食おうとすな!!2人分だって事解ってんの!?」

つける物を全部食べ終わっても、チョコはたっぷり残った。
もったいないから飲もうとしたら、ナミに「意地汚い真似しないで!」と止められた。
けど食い物を残すなんてバチ当たり、俺には許せねェ。
ギャーギャーもめてたら、店員がフランスパンのおかわりを持って来てくれた。
なんて親切な店だろう。
感謝して再びつけて食った、それでもまだ余る。
3回目のおかわりを頼もうとしたら、「いいかげんにしなさい!」とナミにはたかれた。

腹八分目って感じだけど、とりあえず落ち着いた。
片付いたテーブルの上で、ナミが場内の地図を広げる。

「今居るエリアは『ニュースタッド』って言って、アミューズメント館が集合してるんだって。テーマパークに来といて何も遊ばないんじゃそれこそ勿体無い。腹ごなしに次はアトラクション巡りしよ!」

ナミのこの言葉で、俺達の次の目的が決まった。




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




席を立った俺達はチョコレートの滝の前で記念写真をとった後、店を出て近くのアトラクションに向った。
ところが途中でナミが「サンタハウス」に引っかかっちまった。
そこはサンタの家をイメージした場所らしく、時々サンタが来て一緒に記念写真をとれるらしい。
中にはお菓子やオモチャやぬいぐるみやプレゼントの箱がいっぱい飾られてて、ナミいわく「可愛くて乙女心がくすぐられちゃう」らしかった。
女って何でカワイイ物にこんな弱いんだ?
飾られてるお菓子が全部本物だったら、俺も心がくすぐられたかもしれない。
けどにせ物で、今はサンタも来ちゃ居ない、そんな場所に用は無ェ。
「まだ居たい」とだだをこねるナミを無理矢理引きずり、目の前でちょうど呼びこみしてた館の中に入ってった。

「ここって何するトコだ?」
「連れて来た人間が訊かないでよ!!」

薄暗いフロアではビデオ上映をやっていて、SF映画みたいなのを流してた。
まだブータレてるも、ナミが地図を広げて調べてくれる。

「『グランオデッセイ』だって。フューチャーキャストシステムで貴方も映画の登場人物になって活躍…」
「言ってる事全然解んねーよ!」
「つまり3Dスキャナで撮影した顔を映像の中にはめ込む事によって、映画の中で活躍してるように思わせるの――解る?」
「やっぱ解んねェ」
「仕組みは兎も角、私達が映画に登場するのよ!」
「えええ!?俺達がかァ~!?」

館内には俺達以外に30人位居て、A・B・C3つの組に分けられた。
俺とナミは真ん中のB組。
そうしてメインショーが始まるまでの間、館内での注意を見せられた。
声が小さくて聞えなかったけど、飲み食いするなとかカメラでとるなとか、けーたいは切っておけとか、そんな事を言ってたんだと思う。
時間が来たところで次のフロアに通され、証明写真をとるみたく顔のスキャンをされた。
入口で渡されたボーディングパスってのを機械に通し、数人でいっせいに鏡のボックスに顔をつっこむんだ。
この時面白い顔をするなって注意されて…言われるとかえってやりたくなるじゃねェか?
やりそうになったけど、ナミの圧力を背中に感じた俺は、けんめーにもたえた。
とり終ったら集合させられ、今度はプロローグ映像を見せられた。
時間が無いから、てっとり早くあらすじを理解させて、映画はクライマックスシーンだけ流すらしい。


『遥か未来、人類は地球環境を完璧に管理するシステムを作り上げた。
 しかしそれが原因で地球は人の住めない星に変り、やがて人類は生れ故郷を離れ、広大な宇宙へと散らばって行った。
 長い航海の末、人類は地球から遠く離れた惑星フロンティアに新たな文明を築く。

 そして長い時が過ぎ、地球が伝説の存在になった頃、彼らは謎の信号をキャッチした。
 信号は彼らが耳にした事の無い、地球からの音。
 祖先が乗っていた宇宙船ニモニック号を蘇らせ、故郷の地球を探す壮大な冒険が始まった。』


これは後でサイトで読んだあらすじだ。
プロローグが終わり、3組に分かれて入った映画館では、俺もナミも自分がどこにどんな役で登場してるか追っかけるのに夢中で、細かい話はさっぱり耳に入らなかった。
2人とも派手に戦闘する役についてたおかげで、意外と簡単に見つける事が出来た。
特に俺はいちいちアップになって目立つもんだから、顔が出る度にナミに爆笑された。

「性格までスキャンするなんて、優秀なコンピューターね!」
「…どうせなら船長役にしてくれりゃーいいんだ」
「充分主役級に目立ってるじゃない!観客のクセして欲掻いちゃ駄目よ!」

ふてくされた俺を楽しげに見ながらナミが笑う。
機嫌がすっかり良くなった事はうれしく、入って良かったなと感じた。


ネタバレになるけど地球からの謎のメッセージは「海の波の音」だった。
未来、地球から離れた人間達は、海を知らずに育ったって設定になっていたんだ。
ありきたりな話だけど、皆一緒に地球へ帰るラストは、ハッピーで良かったと思う。

エンディングが流れるシーンで、ニモニック号と同じ様に、他の星から旅立った元地球人達と出会った。
集合した宇宙船が1つに合体する、そこでフロアをしきるかべがスーッと上がり、映画館まで合体したのにはビックリした。
けどもっとビックリしたのは――

「ナミ…!!?」

――かべの向うの映画館に、もう1人ナミが居た事だ。


暗い映画館の中、俺達と同じ後ろの列に、もう1人のナミは座ってた。
隣で金髪のオールバック男が、驚いて立ち上がった俺を見て、もう1人のナミに話しかける。

「何、ルフィ?…どうしたの?」

もう1度名前を呼ぼうとした瞬間ライトがパッと点き、まばたきして見直した後には、ナミも隣の金髪男も消えて居なくなってた。





…ラブコメと見せかけSF、いやきっちりラブコメだけど。(汗)
パラレルワールドという訳で、ゾロもサンジも登場するんですよ。
毎度ワンパターンで済みません。(汗)
で、次回から漸く後半です。(汗)

写真はグランオデッセイ館、顔の濃い人と遊びに行くと楽しめるでしょう。

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2 コメント

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Unknown (Jr)
2009-12-19 07:51:14
1から読ませて頂きました。
ハウステンボスが舞台?になっていることもあって、等身大で妙に面白いです。
ハウステンボスもそうだけど、これからの突拍子も無い展開期待してしまいますが、黙って拝読続けさせて頂きます。
執筆がんばって下さい。
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有難う御座いますv (びょり)
2009-12-19 20:04:16
長い話(汗)を最初から読んで頂いた上、等身大で面白いとの感想、とても嬉しく思います。
ハウステンボスを身近に感じて貰う事が狙いですから…ワンピースのキャラが登場するのは個人的趣味ですが。(汗)
多分今月は後1話、そして来年の3月には、第1章(汗)が終るかと。
終らなかったら御免なさいですが、最後までお付き合い頂ければ嬉しいです。

応援コメント有難う御座いました~!
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