チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

蝉しぐれ

2008年08月13日 10時00分48秒 | 日記
東京は人がだんだん少なくなり
電車に乗っても人がまばら
確実に座れる

駅の傍の広場では
遠くに行くらしいバス旅行の人々の群れ

成田も一日5万人が日本脱出
東京が涼しくなった

チャコちゃん先生ご愛用の新宿西口中央公園も
いつもおじさんたちに占領されているベンチが空き
そこにすわりゆっくり緑を眺められる

のんびり座っていると
人の動きや声ではなく蝉時雨
すでに秋風になった風が頬を撫でる
耳を澄ますと恐ろしいほどの蝉のシンフォニー

みーんみーん
ガチャガチャガチャ
すいっちょすいっちょ

彼らは思い切り声を出した後
この世から去る

其の死骸に蟻がたかる
まだ羽をバタバタしている蝉を
すずめが突く

蝉時雨のあと一転して
壮絶な生き死

公園に住むおじさんが
命の終わったセミ達を集め
土に埋めている姿を見た
傍を声高くおしゃべりに夢中のセレブまま達が犬の散歩

黒猫が道路の真ん中に陣取って
そういう人たちをじーと眺めている
高級ならしい犬たちが猫をよけて通る

動物のほうがその場の「主」が分かるらしい
其の姿を見つめているのが大きな樹木
更には其の上に広がる空
そしてそして更なる大いなるモノが
広い視野で見渡している

上から見たら
みーーんな同じ
肩書きなんぞ通じないよ

利権を奪い合う戦争などはよう やめんかい!!

オリンピックの影に必ず戦争が勃発するのはなぜ?



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食っちゃった!!

2008年08月12日 09時52分47秒 | 日記
加奈子が責任上重曹を入れて
繭を煮た
青熟の繭は小さく華奢
蛹と糸を分けながら真綿を作ろうとするのだが
不慣れもあってナカナカ思うようにいかない
それでも
なんとか真綿らしきものが出来上がる
美しい

そこでセキド
「この蛹甘辛く煮ましょうか」
「エッ食べるつもり?」とチャコちゃん先生
はっきり引いている

加奈子
「私食べてみます」
「ほおー」

ちょうど客人もいて二人に勢いがつく

「出来ましたあー」
「食べますっ」
加奈子固い決心で能登の昆布で味つけした蛹を口に含む
全員固唾を呑んでーーーー

「おいしいです!うわーとてもおいしい、上等の大豆を煮たような味ですよ」
セキド、客人と続く
「ナカナカ良いお味、ホッコリとしておいしい」

独り手の出ぬチャコちゃん先生
セキドが目の前に器を置く
中を見ないでつまむと
「それ昆布ですよ」
嫌なやっちゃあ
「わかってます!」

腹で決心し目を瞑ってやっと口に放り込む
「あれおいしいじゃあないの」
「全部たんぱく質ですからね」

丁度現れた運送会社のお兄さんにも
「コレ食べてごらん精がつくよ」
とセキド
「ありがとうございます。なんですかおいしいですね」
「蚕の蛹だよ」
「うえー」
ジュースを口直しに手渡して落着

食の研究をしている農学博士の面々は
「蚕が5令になってから食べるんですよ」だとか
湯葉のような味なのだそうな
いづれにしても高タンパク質であるから食材としては優等生

本当に蚕は命のすべてを人間に与えている

オリンピックが行われている中国では
蚕は高級食材なので
いまや糸にするより
食のほうに回す養蚕農家が増えているという

蚕を食べて金メタルなんてね!
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北京オリンピック

2008年08月11日 11時32分08秒 | 日記
無事にオリンピックが開催されて何より
日本の選手も温かく迎えていただき感謝
オリンピックは木火土金水の調和を尊ぶもの
争わず競わず
といっても勝敗は勝敗

しかし
「オリンピックは参加することに意義があり」
と言う言葉もある
参加して何かを掴んで帰ってくる
選手も応援者も
それでいい

開催式は5000年の歴史と人海戦術
中国の大きさを見せ付けられた

あの歴史
オリンピックの後に捨て去らないでほしい
いまや地球の歴史財産でもある

日本は東京オリンピックのあと
アマリにも多くのものを捨て去った
その結果が今

捨てたもの
壊したもの
忘れ果てたもの
それらをつむぐのも時間がかかる

でも
日本は
本当は世界に先駆けて
とんでもないいい世界に向かっているように思う

今胎児から外に出ようとする陣痛のとき
もうすぐ
もうすぐ
だから日本人は日本人として誇りを持ちましょうよ

勝負に負けても
堂々と帰ってきてくださいね
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物の価値

2008年08月09日 10時44分14秒 | 日記
「三丁目の夕日」のポスターで着る三田佳子さんの仮縫い
先日の打ち合わせで二枚の候補を着る
縫製方の目を見張るようなうまさに感嘆!

ピッタリ
寸法だけでよくからだの特長を掴んでいると感心する

三田さんはもちろん満足
しかし
「コレ使ってみない」
と昔のご自分の洋服やベルトをばさっと衣装さんに提供

「ええ三田さんウエストこんなに細かったの?」
言わずもがなの一言を言ってしまうチャコちゃん先生

洋服のすべてがオートクチュールなので
素材も良いし形ももちろんセンスがいい
「1960年代のものって素材探すだけでも大変ですものね」
とご自分の洋服を作り変えて他の舞台の方々に生かすといいと衣装さんへ

「先日の夏目雅子さんのテレヴィでの衣装もほとんど私物よ、当時の色や素材のもの見つけるの大変ですもの」

まさしくプロの女優
洋服を作るときからこういう日もありなんと考えているのだと驚いた

ああ
チャコちゃん先生はぱっぱと人に差し上げてしまう
今回も
「竜郷柄の大島を着せましょう」
と演出家に提案しておきながら探すの大変
赤と青の差し色3枚持っていたがみーーーんなどこかへ

衣装さんも必死で探してくださったが「ない」
本場にも問い合わせたがもう生産をしていない
作るとしたら16枚買い取らなければならないとーー。

チャコちゃん先生はプロでないね
先見の明があれば定番の着物の柄、其の時代にはやったものは手元においておかなけりゃね

でも死ぬときはたった一枚あれば良いと思う
だから手元からきものを放しているのだがーー。

どこの産地も
アマリにもその土地の定番柄を見捨てている
日本国中他のものもそうかもしれない
手間隙かけてその土地の人に愛されるものの影が薄くなってきた

三田さんの手入れされた昔の衣装を見ていて
つくづく物の価値と言うものを考えさせられた
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蚕博士

2008年08月08日 10時09分36秒 | 日記
農工大府中校舎にスタッフ全員で参上
横山先生は蚕の話をするのが嬉しくてたまらない様子
何より
この学校は都心の大学と趣が違い
自然の風たっぷり
研究のためとはいえ
いろんな野菜や果物が植えられていて
それを
誰でも簡単に校庭に入って見ることができる
まさしくオープンカレッジ

校門を入ったとたん
おなじみの蚕の臭い
馬糞の臭い
いろいろと混じりあって何か懐かしい
リヤカーまであって
嬉しくなる

先生方も素朴で誠実
生徒も純粋
横山先生蚕暦25年
300種類の蚕を飼って研究し
交配はもちろん
蚕の習性にも深く関心を持って細かく研究
其の成果を
惜しみなく教えてくださる

蚕とながーーーいこと付き合っているチャコちゃん先生
「おお」
と言うことが多くとても充実した3時間であった

桑畑も観察
桑も300種類あるという
今朝公園の桑をよくよく眺めたら
大学の桑とは大違いであったが

「家蚕は桑しか食べませんから食べたと言うことは桑です」
と言う言葉に力を得て
これからもうんと頂戴しようと思ったら
なんとなんと
あちらにもこちらにも
3000頭くらいは飼える量が確保できるくらい

「桑は剪定したほうが大きく強くなる」
と言う言葉を信じ
大いに剪定をしよう
「ホラ加奈ちゃん枝ごと切ったほうが良いのよやっぱり」
とチャコちゃん先生自分の行動を正当化している

そういうことを教わりに農工大までいったんではないよキミ

真っ青な空に真っ白な雲
武蔵野の面影を残す農工大のキャンバスは
浮世離れしたと言うか
コレこそ本来の学びの舎であり
人間の住むべきところ

あーー気持ちのよい時間であった
またお邪魔しまあーーーーす
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紐なし着装

2008年08月07日 10時41分17秒 | 日記
麻の着物が涼しい
日本の気候に良く合っている
急に雨が降っても
コイコイ水気
と言う感じ

なぜなら水がかかると皺が伸び
更に涼しくなる

ところで
其の上涼しさの究極は
十二単のように
着付けては紐を抜くと言う作業
これを続けると
最後は帯だけで着装完了

ココのところ
チャコちゃん先生
紐なしの着付けに挑戦
コレが涼しい
本当に涼しい

昔の人たち
この着方をしていたのだと確信する
胸元がゆったりと風を受ける
身八つから
ヒュウヒュウと風が吹き通る
いやー涼しい

昔の写真を見ていると
その着方と良く似た自分の姿がある
きものは着方そのものもおくが深いなあ
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逆光の美

2008年08月06日 12時09分19秒 | 日記
昨日の雨のお陰
木々の緑が生き生きとし
太陽の光線を浴びて輝いている

特に逆光に映える葉脈はえもいわれぬ美しさ

順光は物の形の美しさが目立ち
逆光は
形よりも其の本質の美しさが湧き出る

人間も
時折きらりとした輝きが出る場合がある
その部分を信じて付き合うと
その人の良さが
日々発見できて嬉しくなる

ところで
毎朝散歩する公園に亀がいる
玄武である

今から5000年も前
この亀の甲羅の模様から
八方に隠された秘宝を読み解いた人がいる

多分
逆光で真の美しさを感じる気持ちと
同じかもしれないなあ
なんて思いながら亀と遊んだが

其の甲羅から
秘密の宝は見出せなかった

凡人だもんねチャコちゃん先生
ムリムリ
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三丁目の夕日

2008年08月02日 10時24分12秒 | 日記
ビックコミックでも
映画でも大人気の「三丁目の夕日」西岸良平作
今度は三田佳子さん主演で舞台にかかる

三田さんから
「ねえ私は着物は着ないけど、当時の衣食住が分かるでしょう?ナカタニさん、衣装を担当して?せめて私だけでも」
周りが若い人ばかりなので、当時はこういう感じの風潮であったという、生き証人的な役割をしてほしいらしい。

チャコちゃん先生は学生から雑誌社の記者になるあたりの時期なので
「ウンわかったわ、お声かけていただいてありがとう」
と腕まくり

当時と言うのは60年代
明日に向かってみんな元気で明るいいい頃
目いっぱいお洒落をしていた時代でもある

11月の明治座公演
昨日ポスター衣装の打ち合わせがあり
久しぶりに
衣装さんや結髪やサン達にお会いして
懐かしかった

三田さんは
古い仲間を大切にする方で
もちろん其の人たちのプロとしての力を認めてのことであるが
其の上でご自分の意見がきちんとある方

夕日をバックに写真を撮ることだけが決まっていて
「オレンジの反対色は紺だから紺が綺麗よね」
さすが女子美出身だけあって
色の配色にはいつもながらなかなかーーー。

三田さんの中には
もちろん女優として自分が中心であるが
観客が如何に満足できるかと言うことを重く考えて衣装を決める
サービス精神が旺盛でもある

であるから
当時のサザエさん的ヘアースタイルも登場
「下駄も履くわね」
と三丁目の夕日に切り替わってきた

三田さんがきものでないのは寂しいが
音無さんがきものを着る役なので
チョットは嬉しいかも。チャコちゃん先生は。

11月是非明治座へお越しやす


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今日は八朔 造繭

2008年08月01日 10時02分20秒 | 日記
日本原種と言う青熟蚕は直径一センチ長さに二センチの繭を作った
原種と言うだけ小石丸と良く似た繭
おそらく糸は細く800メートルくらいしか取れないであろう

日本の原種は
華奢で美しい
それだけに大量に糸を取ることには向かず
古代絹糸が貴重であったことが、この繭を見ていると分かる

やんごとなき人の衣類や調度品となったのであろうことも伺える
正倉院に残る絹は日本の原種の蚕から取った糸なので
細くしなやかで品がいい

しかし
それでは生産量が少ないため、ビジネスにならないし
一般の人民が着られない
遺伝子操作をして
どんどん新しいまゆを作り行くうち
現在のような現行品種と言われるいろんな国の強い蚕が交配されて
この原種の4倍くらいの繭が誕生するようになった

この繭は一個から1600メートルの糸が取れる

効率がよいので
養蚕農家は同じ手間ならば大きい蚕を育てるようになる
コレは資本主義社会では当然の成り行き

国も効率のよい大きい繭を作ることを進めるので
大きくて強い繭を作ることに拍車がかかった

その結果
より安く大量にできる他の国の繭を輸入する
そうすると
日本原種の蚕は趣味の糸となり消え行く運命になる

かろうじて小石丸は皇室で飼育され脚光を浴びているが
わがもとに来た青熟は数寄者しか育てない

他にも曙と言う蚕がいるが
この糸は今世界にある生糸の中で
染めのきもの地には一番向いていると思う とチャコちゃん先生は実感

面白い子がいて
糸を吐き散らかし
繭ではなく、ドームのような形を作った芸術蚕

糸を吐く前に身を縮めて繭を作るのがこの原種の生態
日本の女がー優しげな女に限るがー
腰をかがめて挨拶する仕種に似ていて面白い

日本がより理解できる原種でもあった

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