チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

駅野中州信

2008年09月29日 16時21分58秒 | 日記
いまだに右読みの駅「信州中野」
長野電鉄の駅のホームに座ってキョロキョロ看板を見ていたら
野口雨情・中山晋平のコンビで
「中野小唄」という歌詞が大きく書かれていた

其の三番に
信州中野はお蚕どころ
中野紬のなかのつむぎの
出るところでるところーー

ほーヤハリ養蚕の町かーー
と思いながら
線路脇に咲く秋櫻を見やっていると

「着物姿は良いですねえ」
と婦人の声
駅のゴミ箱の整理をしているヒトで
年のころは50代後半

「ありがとうございます」
「私も一時着物にはまって、小紋や紬をいっぱい買いました」
とゴミ袋片手にニコニコと近寄ってくる
「着物は本当に好き、良いですね」
「着ないの?」
「はーい」
「ホラあそこの看板、昔お蚕さん育てていたのねこの町」
「あらそんなことかいてますかねー」

ホームで仕事をしているのに全く気がつかなかったといって詫びる

地元の人はそういうものかもしれないなあと思う

急に寒くなった信州は
一晩で黒姫の山頂に雪が降ったらしく
山頂は真綿を被せたような雪景色だ

長野までの小一時間
たわわに成ったりんご
ぎっしりと実をつけた栗
頭を垂れた稲穂
そして風に揺れるコスモス
其の間を千曲川が悠然と流れる
景色に見とれながら
右側の窓に移ったり
停車時間にちらりと外に出たり
と景色を満喫

食べ物の危機を迎えている日本
しかし「身土不二」
つまり住んでいる土地で出来る食物を口にすることが
人の最高の幸せ
日本の食物はこうやって粛々と自然の中で育っている

農家の主婦に大勢会ったが
みんな自分の作るものに誇りを持っていたのが嬉しかった

土とともに過す人は誠実な人が多い

空の広い信州から人の多い新宿へ
コメント
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