千の天使がバスケットボールする

クラシック音楽、映画、本、たわいないこと、そしてGackt・・・日々感じることの事件?と記録  TB&コメントにも☆

大学管弦楽団第57回定期演奏会

2005-05-15 22:38:13 | Classic
高速道路のインターチェンジを降りると、先ほどまで静かに降り注いでいた霧のような雨がやみ、わずかにあかるくなった雲を背景に、洗われたような街路樹が整然と並んで過ぎてゆく。いつものように、近道である大学のキャンパスに入っていく。瑞々しい新緑の葉群れが、祝福されたアーチのように迎えてくれる。いつもここへくると、日本ではない、外国のようなキャンパスに感慨深いものを感じる。
体まで緑にそまりそうな5月のこんな季節の午後、コンサート会場に車を走らせるのは、小さいけれどやはり私にとっては、ひとつの至福の時だ。

今日の席は、めずらしく2階の末席だった。けれども、コンサート会場としては、中規模ともいえそうなホームベースのホールでは、オーケストラ全体を手にとるようによく見渡せ、また音の響きのバランスよく満足だった。
すでに社会人として経験があるのかと疑ってしまう?W君の、あまりにも板についたコンサート・マスターぶりが、こころなしか今日の響きに自信を与えているのだろうか。よくも悪くも天真爛漫で、ノリがよく溌剌とした持ち味のこの大学オケが、新しい気鋭1974年生まれの指揮者を迎え、朗々と「セビリアの理髪師」序曲を響かせている音楽に、ちょっと感動した。生の演奏を聴いたのが久しぶりということや、身内の贔屓ということもあるかもしれないが、アマチュア・オケの存在価値を説得力もって活き々々と伝えてくる。批評しようという耳は気が抜けて素直にいいな、と思える。

音楽家のなかには、この作曲家の曲だけは弾けないと、避ける方もまれにいっらしゃるそうだ。そうでなくとも、自分の生涯の音楽をバッハにおいたり、ベートーベンの全曲演奏会を数年かけて世に贈るピアニスト、ひとつの曲を円熟期に入り再録音するヴァイオリニスト、それぞれの感性と理性が一致する作曲家、作品に出あうことですでに音楽ははじまっている。今回の定期演奏会は、なによりも選曲がよかった。都心ではないから、客層も地元の家族連れもいたりするし、定演を年4回地方公演もこなし、海外演奏会にもいくような有名大学オケもあるが、オーディションで団員を選別することを嫌う主義のこのオケが、オペラで研鑚を積んでいる指揮者とこれらの曲で共演したのは、成功だったと言えよう。フルートの女性ソロが上手で、オケをひっぱていたのも印象深い。

アンコールのメンルスゾーンの「結婚行進曲」もよく曲想をつかんでいて、しばし音楽に浸れる満ち足りた気持ちだった。

*追記:アマチュアの音楽家に関して、5月6日のブログにTBしてくださったblueさまの「音楽を愛する心」に素適な話が紹介されています。

--------プログラム------- 指揮  大井剛史-----------------------------------------------
G.ロッシーニ     歌劇「セビリアの理髪師」序曲
G.ビゼー       組曲「カルメン」より抜粋
F.メンデルスゾーン 交響曲第5番 ニ短調 作品107 《宗教改革》

アンコール  
F.メンデルスゾーン 「真夏の夜の夢」より 結婚行進曲

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして (Jun-ichi)
2005-05-16 22:48:54
先日は書き込みありがとうございました。

こちらのブログも音楽等について深く語られているものが多くて感心します。



クラシックも色々と聴かれているんですね。上に書かれている曲は僕も好きです。



映画等の話も含めて、色々と参考にさせていただきます。

では、またお邪魔します。
返信する
クラシック音楽は生活必需品です (樹衣子)
2005-05-16 23:53:25
オケの譜面すらも読めない私のブログを訪問してくださり、大変恐縮しております。

このようなアマオケでも現代曲を1曲演奏する必要があると常々思いますが、やはり多くの点で演奏者たちが未熟なために、せいぜい芥川さんあたりまでなどが残念です。この大学オケでは一昨年、「ぐるりよざ」という曲の演奏をするか否かをめぐって、指揮者とコンミスが話し合いましたが結局断念しました。

映画に関しては、「永遠の語らい」のマノエル・ド・オリヴェイラ 監督の言葉がそのまま音楽にもあてはまると思います。

今後の活動を楽しみにしております。
返信する

コメントを投稿