千の天使がバスケットボールする

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「作曲家の挑戦」ピアノ300年の旅

2009-11-06 17:56:25 | Classic
最近、「パリ左岸のピアノ工房」という本を読んだ影響だろうか、ちょっとピアノという楽器に興味がわいている。
東京文化会館の「作曲家の挑戦」シリーズは、一級の名手が登場してのレクチャーコンサートというなかなかの好企画である。それにチケット代も学生券並み。今宵のナビゲーターは、2002年ッザルツブルグで行われた第8回モーツァルト国際コンクールにおいて、日本人として初めて優勝した当代きってのモーツァルト弾きと評判の高いピアニストの菊池洋子さんである。

東京文化会館の小ホールは、燻し銀の天井と扇子を縦においたようなこれまた燻し銀の大きなついたてがあり、建設当時のモダンな装飾は今でも独特のシックな雰囲気を伝えている。しかも、廊下は真紅の壁。その舞台に登場したのが、明るめのオレンジ色のドレスを着た菊池洋子さんである。早速向かった鍵盤は、フォルテ・ピアノ。この楽器は、1700年代半ばの製作者の複製だそうだが、菊池さんのナビゲーターによるとフォルテピアノは、音のそれ自体に音色があり人間の声に近いそうだ。それに比較して、現代のモダンピアノは音そのものには音色の違いはなく、演奏者が音をつくりださなければいけないが、無限の表現があるとのこと。
最初の曲、ロンドを演奏した後に、ピアノの楽器の歴史の簡単な紹介とフォルテピアノとモダンピアノの違いのレクチャーがあった。実際に同じ曲をフォルテピアノとスタンウエイと弾き比べをされたのが、思わぬ余得のような感じ。


演奏とレクチャーを同時に行うのは難しいと思われるのだが、ゆっくりと言葉を選びながら解説される菊池さんの声は心地よい声質で聞きやすく、またお話もわかりやすい。だからもっとさくさんのお話をしてほしい、と期待したのだが、残念ながら後半は演奏だけに集中されていた。丁寧で音をひとつひとつ磨いた彼女のモーツァルトは、秋の月の光に淡く輝くようで心地よい。内田光子さんの完璧に洗練された鬼気迫る集中力が凝縮した音と違い、このようなモーツァルトも心がふわっとして帰宅の満員電車も苦にならなかった。

会場 東京文化会館小ホール
出演 ナビゲーター&ピアノ(フォルテ、モダン):菊池洋子
曲目 モーツァルト/ピアノ・ソナタより
ロンド 二長調 KV485
ソナタ第1番 ハ長調 KV279
ソナタ第5番 ト長調 KV283
ロンド イ短調 KV511
ソナタ第15番 KV545
ソナタ第8番 イ短調 KV310
ウェーベルン/ピアノのための変奏曲 Op.27 ほか
シェーンベルク/6つの小さなピアノ曲 Op.19


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2 コメント

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なかなかの大物! (calaf)
2009-12-06 00:41:05
こんばんは。まず、パソコンのリニューアルおめでとうございます。「女房と畳は新しい方が・・・」はパソコンにも言えます。ブログのデザインもシックになりましたね。

さて菊池洋子さんですが、顔に似合わず大胆な演奏をするので今注目を浴びているニューカマーのひとりです。私はまだ聴いていないのですがモーツァルトのピアノソナタの録音があり、好評らしいです。

ところでプログラムですが、ウエーベルンとシェーンベルクがモーツァルトが同時に聴けるなんてこれまた余程の機会がないと聴けません。

話題は変わって、パソコンが昇天する前に「クラッシュ」というブログのエントリーがありますね。あぁこれかと今になって思いました。
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菊池洋子さん (樹衣子)
2009-12-07 22:47:10
>今注目を浴びているニューカマーのひとりです

calafさまへ
ニューカマーときましたね。菊池さんと言えば、モーツァルトという評判がありますね。確かに充分に弾きこまれた音の輝きがありました。機会がございましたら、一度聴かれてください。

>あぁこれかと今になって思いました

そうそう、まさにクラッシュでしたよ!
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