千の天使がバスケットボールする

クラシック音楽、映画、本、たわいないこと、そしてGackt・・・日々感じることの事件?と記録  TB&コメントにも☆

「ブルーアイランドの夜」

2006-10-27 23:03:31 | Classic
爆笑、哄笑、失笑、微笑、・・・そして艶笑。。。
笑いにはいろいろあるが、モーツァルトさんは天国で自分の作曲した演奏会でこんなにさまざまな笑いが弾けるとは想像もできないだろう。
10月27日サントリーホールの小ホールにわずか2時間だけ浮かんでいた島「ブルーアイランドの夜」は、クラシック音楽の演奏会ではめったにない笑いの渦で包まれた。
そもそも開演前から、クラシックの演奏会のホールの中では見かけない帽子とコートをはおった怪しい人物が、案内係の女性に誘導されてあらかじめとっておいた席(全席自由席)に座ったのも変だった。清潔な帽子とコートだが、あれで汚れていたらまるで東京文化会館近辺でたむろするホームレス風。

妙に気になるのだが、神童モーツァルトの生涯の今夜のナビゲーター役、青島広志さんのトークがはじまると、一気に舞台にひきこまれる。
青島さんが携帯電話をもって、ひまでチケットが売れる美人歌手に出演依頼をするところからはじまった。(以下、MCのほんの一部を)

「名古屋出身の江口さん、最近二期会からちっとも東京での出演依頼がこないって言ってましたよね。ひまでしょう。出演してください。」こうして江口さんの一本釣りに成功した青島さんは、続いてひまでチケットが売れる美人の横山さんにも声をかける。残るは、男声歌手。
「ドイツ語のうまい萩原さんは月曜日に出演済み、ナルシス入っている宮原さんは他のオペラに出演中、、、あっ、そこにいるのは太田さん。隠れていてもその顔の大きさですぐばれますよっ。(太田さんは、本当に舞台向きの顔の大きさだった)出演しませんか。最近ひまでしょ。」と、あの怪しいコート姿の男性に声をかける。そうだったのかっ。だからマナーにもっとも厳しく、だから安心して聴けるここサントリーホールの会場で、コートも帽子も脱がないで座っていたのだ。
舞台にあがった太田さんに、青島さんはしきりに「ギャラは、女性よりも男性の方が高いですよ。」と説得する。この間のかけあいが、まるで吉本興業の舞台以上に笑えるのだ。
青島さんは芸能人かと思っていたが、れっきとして東京○○大学大学院出身の作曲家だったのだが、トークがうまくてわかりやすい。歌曲「すみれ」の解説も自虐的な笑いをとりながら、わかる人にはわかるこの曲の儚さをさりげなく語る芸は、まるで落語の名人級!
その後、モーツァルト役をふたりの女性のどちらが演じるかでも、最近の芸能人が身内の楽屋ネタで笑いをとる風潮にならい、一度男役をやると後は老け役!と過激でしかもツボをついている暴露ネタも披露。3人とも、なりきり演技にたけていることに感心したが、考えてみればオペラにも演技力が必要だからそれも当然か。

冒頭、トークで観客のきもちをつかんで初期のモーツァルトの音楽にはじまり、休憩をはさんだ後半からヒートアップ。間に、世間の”上品な”クラシック愛好というくだらない偏見を一蹴するかのごときエロ系のトークもあり。出演者だけでなく、観客も一体となってモーツァルト音楽をいたく楽しんだ夜だった。まさに、ぶらぼぉ~。
ただし最終2列をはずしたのだが、まだ空席があると最後に伝えた青島氏の気持ちを考えると、また別な感情もわく。
カップルでつまらないハリウッド映画を観るなら、このブルーアイランドに来たほうが愛も深まるというもの。(どういうわけか、歌ものはご年配の方が多いのだが・・・。)だからもっと、コンサートに行こう。

構成と企画を考えたお茶目なブルーアイランドには、感謝したい。しかし、やっぱりそれも相手がモーツァルトだから。
人間くさい天才モーツァルト、大好き!!

-----------   06/10/27 サントリーホール  ------------------------------
メヌエット(ピアノ)
アレルヤ
『フィガロの結婚』より "おいでなさい ひざまずいて"
『フィガロの結婚』より "恋とはどんなものかしら"
『フィガロの結婚』より "もう飛ぶまいぞこの蝶々"
『ドン・ジョヴァンニ』より "手を取り合って"
『ドン・ジョヴァンニ』より "ぶってよマゼット"
『コジ・ファン・トゥッテ』より "岩のように動かずに"
『魔笛』より 首吊り~"パ・パ・パ"
春への憧れ~早春賦~知床旅情
トルコ行進曲(ピアノ)

江口二美 (Sop) 横山美奈 (Sop) 太田直樹(Bar)

お話とピアノ:青島広志


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2 コメント

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Unknown (ところ)
2006-10-29 22:59:51
樹衣子さまのクラシック体験談を毎回楽しみにしています。・・・・・・・・・・青島広志さんのテレビ出演番組を見たことがあります。とても謙虚な方で音楽一筋の人生、気付いたらあの年になっていたとのことです。クラシック音楽普及には必要なキャラですね。一度は行きたくなるコンサートのようにお見受けしました。
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ブルーアイランド (樹衣子)
2006-10-31 00:00:00
>クラシック体験談



そうなんですよね。音楽批評や感想という以前に、体験談になってしまう。。。

やっぱり楽理の教養がないし、オケの譜面も読めないのはいかんともし難いですね。

(ちょこっと作曲家の方の本など読んで、勉強したのですが。)



>クラシック音楽普及には必要なキャラ



「ブルーアイランド」の興業は、今回限りではなさそうです。

気楽にクラシック音楽にふれられて楽しいし、また歌は抽象的でないので入りやすいですよね。文字にするには、ちょっと恥かしいエロ・トークもありました・・・。もしところさまのお住まいの近くに「ブルーアイランド」がやってきたら、是非その島に遊びに行ってみてください。お薦めですっ。
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