>アメリカ巡回旅行中のK(クリシュナムルティ)は、次のように彼女(エミリー夫人)に書き送っていた。
>「私は何かとてつもないものであふれています。私はあなたにそれを言葉で告げることはできません。(中略)・・・・・私は2,3人の患者に自分の手による治療を試みたことがあり、彼らにそれについて口外しないように求めましたが、それはすこぶる効果がありました。失明しかかっていたある女性は、すっかり回復するだろうと思います」
>Kは疑いもなくある種の治癒力を持っていたが、しかし彼は常にそれについては非常に口が重かった。なぜなら、彼は人々が身体の治療者としての彼のもとに来ることを望まなかったからである。ある集会での質問に答えて、彼は次のように答えた。
>「人が全き存在であり続ける道を示してくれる教師と、一時的にあなたの傷を癒してくれる人のどちらをあなたは持ちたいですか? (中略) 私の多くの友人はスピリチュアル・ヒーラーです。が、彼らは体を治すことはできるかもしれませんが、彼らが精神と心をも健康にしないかぎり、病気が再発するでしょう。私は心と精神の治療に関心があるのです・・・」
(メアリー・ルティエンス 大野純一訳 「クリシュナムルティの生と死」より)
神秘家としてはクールでドライな印象のあるクリシュナムルティだが、目立たないところではヒーリングもやっていたようだ。
でも、なるべく目立たないようにしていた。「病気治し」なんて評判が立って、人々がどっと押しかけてきたら大変だ・・・。
Kによれば、大事なのは身体だけでなく、精神を癒すこと。
心の治療こそが、真のヒーリングだという。
地球上のエネルギーが増大するのに伴い、情緒不安定な人が増えている。心の病こそ、現代人にとって最大の敵なのかもしれない・・・。