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観劇記録+日記@不定期更新。俳優・内野聖陽さんを勝手に応援中!時々サカナクション。

No.507 「ふたりものがたり『乳房』~天上の花となった君へ~」

2016年05月11日 22時31分58秒 | 過去の観劇記録
2016年5月8日(日) マチネ 俳優座劇場 3列 カミテブロック

高山憲一=内野聖陽、里子=波瑠。
原作=伊集院静、企画・上演台本・演出=合津直枝。

CMディレクター・高山憲一は、来る日も来る日も酒とギャンブルに明け暮れていた。そんな放埒な生活が始まったのは、7年前、妻・里子を失ってからだ。
ふたりの出会いは、CMの撮影現場。里子は、ひと回り以上も年下の新人モデルあった。その化粧品のCMが大ヒットし、里子は、またたくまに新進女優としてスターダムを駆け上がっていった。
一方、憲一は、巨額を投じたCMという虚構の世界で、「不良中年」を決めこみ、里子から寄せられる真直ぐな好意を受け止めかねていた。
やがて、里子の思いに押されるようにして、ふたりは結婚した。ところが、1年もたたないうちに里子が病魔に侵される。
病気は厄介で、200日余りで里子は逝ってしまう。
「里子を死なせてしまったのは、オレだ…」
愛の言葉もかけてやれず、見送ってしまった憲一は、以来仕事も止め、死んだような生活を送っていたのだ。
ある夜、「ターさん、お酒は楽しく飲まなきゃ」懐かしい声が聞こえた。
里子の声だった…。
(あらすじはプログラムより)

初日は仕事で行けなかったので、公演2日目に観に行きました。
「朗読劇」は普段はほとんど行かないジャンルです。が、これは「新リーディングシリーズ」。ただ台本を持って座ったままでやりとりをする感じではなく、より「演劇」に近い上演でした。みなさん書かれていますけど「立ち稽古」っぽいのかな?

舞台セットは一杯道具で、シモテには後半 里子の病室のベッドとなる黒いリクライニングチェアとオットマン。カミテには簡素な机と椅子、その奥には壁(窓っぽく切り開きがあり)とシンプルそのもの。
開演前には昔流行った昭和な歌謡曲が流れてて、時代を物語っています。一番印象的なのは劇中でも使われる矢沢永吉の「時間よ止まれ」ですかね~
内野さんは少しダボっとした白いシャツとカーキ色のパンツ。波瑠ちゃんはイメージ写真通りの白いワンピースでした。二人とも裸足。

上演が決まってから原作を買って読んだのですけど、本当に短いお話で、これをどうやって1時間30分(当初)にするのかなぁ?と思ったんですわ。
かなり脚色されていて、里子は皆が思っている(いた)であろう夏目雅子像を描いていました。
上のあらすじにもあったのですけど、里子が新進女優として一気にスターダムを駆け上がっていく様が、波瑠ちゃんの今と重なり(朝ドラで大ブレーク)、とても まぶしかったです。
原作自体が憲一の語りで進んでいくので、内野さんへの重心が多い感じはしました。またこの憲一という役がぴったりで♪
不器用な愛の形や「やさぐれ感」とかね~
もーね、波瑠ちゃん演じる里子と舞台中央で座って毛布を肩から掛ける所とか、キュンキュンしまくりですよw

やっと結婚したのもつかの間、難病に侵されて徐々に弱っていく里子。仕事を辞めて看病する憲一…
病室に飾ったひまわりの絵。200日の闘病生活の後に里子は亡くなり、絵が外された所には日焼けせずに四角く残った壁の色。
あのね、家族に入院している人がいる時に観ると、もの凄く染みますよ…ほんと。

憲一が里子に促されて、「遊び」に行った先の 健康的な女の背中と乳房に、「身体を取り替えてやりたい」と願う気持ち。
なぜ妻は若く美しく幸せの絶頂期に病気になってしまったのか、なぜこの女はこのような仕事をしていて健康なのか…
一件不条理に感じるけど、そう思ってしまうのも人間の性なのかな?

「静謐」
こんな言葉が良く似合う舞台でした。

ええ、携帯電話やスマートフォンは「電源」からお切り下さいね~。


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