「日本にいるありとあらゆる人間を愛し尽くす」
歯の浮くような言葉を自信に満ちた表情で並べていく若き政治家。目的不明のサイバー攻撃、潜水艦の消息不明…と、突如、安全保障上の危機に直面し、不安にとらわれた国民はその甘い言葉に酔っていく-。
ふんするのは、史上最年少で内閣官房長官に就任した政界のホープ。日本のかじ取りを任されるが、都合の悪い情報を隠蔽しようする政府方針に苦悩し、自殺の念にとらわれるようになる。そんな折、脳科学者の鈴木(江口洋介)にある治療を施されたことで“覚醒”。迷いのない強い指導者へと変身を遂げる。
あらすじを読んだ時点で「その暴走感が面白い」と出演を快諾したというが、台本にちりばめられた名言集はちょっとしたくせ者だった。
「役者的には燃えますが、普通はいえない言葉を純粋な瞳を持った子供のように言わなくてはいけない(笑)。そういう精神状態になるのが今回の課題です。不安や恐怖といったネガティブな要素がなくなった人って、どうなんだろうというのは想像の世界でしかないですが、どうリアリティーある存在として表現していけるか、さじ加減は難しい」
がんを滅ぼす特効薬、飢餓を救う食物と、革命的な発明によりパンドラの箱を開いた人々の運命を描いてきた連続ドラマシリーズ。第3弾は、自殺を防止する治療法が生み出された世界が舞台だが、「自分にとっては恐怖とか不安は必要。俳優の仕事でも勝負をかける瞬間があって、負けるかもしれないぞ俺は、と思う自分がいることで、勝てたりすることもある」と話す。「マイナス思考になるのは血の巡りが悪くなっているとき。走るなど、汗を流すこと」で気持ちを切り替えていくという。
舞台出身だが、ドラマ、映画と引っ張りだこ。一昨年、今年に放送された「JIN-仁-」の龍馬役は大きな反響を呼んだ。演技派としての地位は揺るぎないものだが…。「常に自分が試されるような役をやっていきたい。ぬるい敵とは、戦いたくないんです」。不敵なせりふを、いたずらっ子のような笑顔で語った。
(MSNインタビューより)