【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

寿岳章子『はんなり ほっこり』新日本出版社、1987年

2012-07-07 00:00:13 | エッセイ/手記/日記/手紙/対談

           

  「はんなり、ほっこり」は京ことば。はんなりは、花からきた言葉。花が匂いでるような美しさ、愛らしくどこかちょっと押さえて、
うすあかりがさすようなきれいさ、のこと。
 ほっこりは、こころよい疲れを表現することば。はんなりも、ほっこりも女のことばではないかと、著者は書いている(pp.20-21)。

  このエッセイ集は、新聞の「はんなり、ほっこり」という欄に連載された文章に、他のいくつかとあわせて編集されている。

  女性の力強さ、したたかさ、しかし半面、ものを言ってはいけない、学ぶ必要はないと育てられ、黙らされてきた過去があり、それをひきずっていることを直視し、理不尽さにことにはもっと声をあげよう、と励ましている。


  時代は1990年前後で、トマホーク配備、国家機密法がたくらまれた頃、そうした政治状況に警鐘をならしている。かと思えば、父、母への思いやり、ぬか床の作り方、家族団欒への郷愁など家庭的なエッセイもいくつかあり、女らしい文章が続く。

  著者は国語学者だったので、ことばには敏感。遠藤織枝さんの「女の目でみた『広辞苑』」の紹介をみつけ、何か得をした感じ(p.208)。

  京都の秋のもみじの美しさを讃えた文章の末尾に、少し山の奥になるけれども、常照皇寺を是非、訪うてほしいとあり(p.132)、わたしは昨年、ここに行ったので、嬉しかった。


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