【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

「灯楽や(とらや)」(蓮田市本町1-28;tel 048-720-8788)

2016-03-30 21:52:27 | 居酒屋&BAR/お酒

  「灯楽や」は全席禁煙で気持ちがよい。蓮田駅東口を出て徒歩1分ほどの便利なところにある。
                      

  土曜の6時に入ったがお客はほぼ満席。予約しておいてよかった。地元のお客が多いのだろうか。カウンター席に座る。ここは厨房がよくみえた。若いカップル、家族風の人たちなどがなごやかに団欒している。個室、ほりごたつの場所もあるようだ。


  「炉端焼き」を売りにしているので、突き出しに、キノコを焼いたものが出てくる。つられたわけではないが、混んでいたので、早めにエリンギ、真菰筍、アスパラ、ホッケなどを焼いてもらうことにする。
                     
  「カツオの藁焼き」というのも選んだ。ここの名物だそうだ。限定品である。ほんの藁の焼いた香りがする。ドラム缶に藁を入れて燃やし、鉄串に刺したカツオをあぶり焼きしていた。豪快だ。他にジャコサラダ、お刺身、牛タンのつくね焼きなどもお願いする。


  ここでは、炉端焼きよろしく、注文したものを大きなヘラの上にのせて、お客のほうにつきだして出してくれる方式。これはかなり昔、函館にもあったと記憶を取り戻した。

  お酒は、秋田の「春霞」。お奨めメニューにあったなかから「真澄」(長野県)を選んだのだが売り切れだったので、これに変える。初めてだったが芳醇ないいお酒だった。


マイク・ニコルズ監督「卒業」(アメリカ・1967年)

2016-03-29 20:31:35 | 映画

       
 かつては同時代の青春メロディーだった、サイモンとガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」「ミセス・ロビンソン」「スカロボフェア」などなど。今、これらの曲を聴くと、その時代がよみがえります。


 映画館でも、ビデオでも観た映画です。今度が3回目だろうか。

 主人公はベンジャミン。大学を出て故郷に帰るがやるせない日々をすごしています。大学院に進学するべきか、どこかにしっかり就職すべきか。はっきりしないまま曖昧に時間が過ぎていきます。

 友人と親戚が開いてくれた失業パーティで、ベンジャミンは久方ぶりで幼馴染のエレんの母(ミセス・ロビンソン)にあいます。彼女はベンジャミンの仕事上のパートナーでした。

 ミセス・ロビンソンは、ベンジャミンを誘惑します。赤いアルファロメオで送ってくれた彼を夫のいない自宅に呼び込み、お酒を酌み交わします。これがきっかけで、ベンジャミンは彼女とホテルで逢瀬を繰り返すことになります。

 ベンジャミンの父母は、あてがなくブルブラしているベンジャミンにエレンとのデートをけしかけます。ベンジャミンはエレンをデートに誘い、楽しいときを過ごしますが、うっかりエレンの母親とのことを喋ってしまいます。激怒したエレン。ふたりの仲は、寸断されてしまいます。

 それでもベンジャミンはエレンのことが忘れられず、彼女の通う大学におしかけたり、その大学の近くに下宿したり。

 そのうち、ベンジャミンはエレンが大学をやめ、結婚が決まったことを知らされます。結婚式の当日、式が行われる教会をめざすベンジャミン。いま口づけをかわそうとするエレンと男性。ベンジャミンは、窓越しに叫びます、「エレン!」。ベンジャミンは彼女を式場から奪略し、追ってくる者どもが教会から出られないように十字架でロック。

 ふたりは、老人で満席の通りすがりのバスに乗り込み後部座席に座ります。二人を訝しげに見つめる老人たち。はしゃいでいた二人は、次の瞬間、顔をやや曇らせ、あてどもない表情に変わります。とくに花嫁になるはずだったエレンの目は泳いでいます。不安な二人に未来が象徴されているかのようです。

■配役
・ダスティン・ホフマン(ベンジャミン)
・アン・バンクロフト(ミセス・ロビンソン)
・キャサリン・ロス(エレン・ロビンソン)
・マーレイ・ハミルトン(ミスター・ロビンソン)
・ウィリアム・ダニエルス(ミスター・ブラドック)
・エリザベス・ウィルソン(ミセス・ブラドック)


マイケル・カーチス監督「カサブランカ」(アメリカ、1942年)

2016-03-28 18:32:44 | 映画

         
  第二次大戦の最中。ナチス・ドイツはヨーロッパを席巻。フランスはナチスに支配され、臨時政府がビシーにおかれていた。フランスからの難民には、同国支配下のフランス領、カサブランカを経由してリスボンに出て、そこからアメリカへ逃げるルートがあった。しかし、ビザがなければアメリカには行けない。ビザには高値がついていた。カサブランカは、亡命のために逃げ込んできた人たちでごったがえしていた。


 リック(ハンフリー・ボガード)は、ここで賭博場を併設するナイト・クラブを経営していた。店は亡命者たちのたまり場。彼には、パリでの忘れられない過去があった。イルザ(イングリット・バーグマン)との恋愛である。彼女には革命家の夫、ラズロがいた。彼が逮捕され収容所に収監されていたが、その時に起きた男と女の愛であった。

          


 リックとイルザは密会を重ね、愛を確かめ合い、ドイツ軍がパリに入ってくることを察し、二人でパリを離れる約束を交わす。駅舎での待ち合わせの約束をしたリックであったが、約束の時間に彼女はこなかった。以来、イルザは消息をたってしまった。

 その彼女がカサブランカのクラブにあらわれた。リックはその彼女にそっけない態度でふるまう。奥に入って出てこないリック。イルザは酒場でピアノを演奏する黒人に、ふたりにとって忘れられない思い出の曲「時の過行くままに」を弾かせる。

 冒頭、ドイツ兵2名が殺され、その犯人の捜査が行われてるという設定が示される。犯人のウガルテは彼らから旅券を奪って逃亡した。ドイツから送られたシュトラッサー少佐が捜査の任にあたる。彼はリックの経営する居酒屋に目星をつけていた。当然、居酒屋はさまざまな人が出入りし、たむろしている場所なので、捜査の手が及んでいた。

 ウガルテはリックに旅券の保管を依頼した。その旅券をリックはクラブのピアノの中に隠す。イルザは実はウガルテがもっていた旅券を目当てにしていた。リックはイルザに旅券をわたす。リックはイルザに、空港でラズロとふたりで逃げるように促す。シュトラーサは空港まで追って来るが、リックは彼を射殺。イルザとラズロは辛うじて飛行機で離陸し、アメリカに向けてとびたった。

 ストイックな、しかし時に感情がたかまり苛ちをみせるハンフリー・ボガートの演技。類まれな美しさを放つイングリット・バーグマン。ふたりの恋愛関係にも心を揺さぶられるが、リックを演じたボガートが自らの気持ちを押し殺して、イルザとラズロの逃避行を手助けする。カッコよすぎる場面として、映画ファンの記憶に留められている。
 


ガブリエル・アクセル監督「バベットの晩餐会」(デンマーク、1987年)

2016-03-27 20:26:46 | 映画

      
 アイザック・ディーネセンの同名の小説の映画化。
 19世紀の後半。デンマーク、ユトランド地方の片田舎。二人の姉妹マーチーネとフィリパが、清貧と言うにふさわしい生活をしていた。牧師として尊敬されていた父の教えを守り、祈りと節約の日々であった。この二人がまだ若かったころには、男性(後にふたたび登場するローレンスとパパン)からの求愛もあったが、厳格な父の教えが災い(?)して実らなかった。


 それから50年ほど時間が経過する。牧師の父はなくなり、娘二人は相変わらず祈りの日々を過ごしていたが、家政婦の女性がひとり住み込みで働いている。この女性がバベットである。バベットはかつてパリの有名なレストラン「カフェ・アングレ」で料理長をしていた。バベットがここに居るのには訳があった。

 実はバベットはパリ・コミューンで混乱したパリから亡命して、この村にたどり着いたのだった。それは暴風雨の日であり、バベットはびしょぬれになって、その家のドアをたたいた。ずっとそこにおいて欲しいというバベットの懇願に、ふたりは最初、首をたてにふらなかった。しかし、バベットには持参した手紙があり、それはもう35年も前にフィリパに歌唱を教えていたアシール・パパンが書いたものであった。混乱のパリから逃げ出たバベットには身寄りがない、ついては身元を引き受けてほしいといものであった。二人は納得して、バベットをおくことにする。

 そのバベットは密かに宝くじを買っていたが、その宝くじが当たったとの連絡がパリからあった。突然、大金が入ることになった。バベットはそのお金で、ふたりの今は亡き父親を慕う人たち、しかしどういうわけか少しばかりの反目が蔓延しいる彼らを招いて晩餐を企画する。晩餐は牧師の誕生日に、ということで納得したもらった。

 しかし、宗教心に篤い村の人々は、次々に運ばれてくる海亀などの生き物に目を白黒させ、それが悪夢となって登場することに。動物を食べる習慣がなかったのだ。また、食事という俗なことに欲を働かせたり、感情を示したりすることにも抵抗がある。宗教心がそうさせるのだろうか。皆で示し合わせて、食事の感想などは一切言わないことにする。

 かつての料理長だったバベットは大金を投入して材料の買い入れ、ワインの仕入れを行い、入魂の理フランス料理を作り始める。

 晩餐にはかつてマーチーナに思いを寄せたローレンスも招待され、豪華な晩餐が始まるが・・・・。

■キャスト
・スティアーヌ・オードラン(バベット)
・マーチーネ(ビルキッテ・フェグスピール)
・若きマルチーネ(ヴィーベケ・ハストルプ)
・フィリパ(ボディル・キュア)
・若きフィリパ(ハンネ・スティブソン)


無名塾40周年記念「俺たちは天使じゃない」(於:世田谷パブリックシアター)

2016-03-17 13:56:20 | 演劇/バレエ/ミュージカル

      

「おれたちは天使じゃない」(作サム&ベッラ・スピーワック、翻訳・演出 丹野郁弓)[仲代達矢文化賞受賞記念・無名塾40周年記念]の東京での公演が終わりました。盛況でした。


 場所は南米フランス領ギアナにある町カイエンヌ。1910年の時代設定です。
 この太平洋に面した温暖な土地には、本国フランスからやってきた移住者が暮らしています。この町は、犯罪者の流刑地でもありました。監獄に収監された囚人たちは、周囲の湿地帯や町で強制労働を課せられていました。

 クリスマス・イブの日。3人の囚人、詐欺師のジョセフ、殺人犯のジュール、強殺犯のアルフレッドは、雑貨屋の屋根の修理をしていました。

 雑貨屋の店主デュコテル一家は主人のフェリックス、妻と娘の3人家族です。この家族、店をあかわたさなければならないかどうかの瀬戸際でした。叔父のアンリが経営の具合を調べにきます。調査の結果次第では、お店を明け渡さなければならない状況に追い込まれそうです。

 ポールとの結婚を夢見ている娘のエミリーには、どうも抜き差しならぬ情報が入ってきます。ポールが資産家の娘と婚約?

 デュコテル家の状況を知った3人は、この家族を何とか助けようとします。3人3様に一家の窮地を救おうとするのですが・・・・。

  仲代さんは独特のセリフ回しで、お元気です。名優、怪優です。80歳を超えているとは思えません。

 わたしは松崎さんが好きで、この日もいい味を出していました。エミリー役の西山さんは演技がリアルで、可愛いです。


■配役
・仲代達矢(ジョゼフ)
・松崎謙二(ジュール)
・赤羽秀之(アルフレッド)
・神林茂典(フェリックス・デュコテル)
・西山知佐(エミリー・デュコテル)
・松浦唯(マリ・ルイーズ・デュコテル)
・菅原あき(パロール夫人)
・平井真軌(アンリ・トロシャール)
・ポール(吉田道広)
・大塚航二朗(大尉)


「スパルタカス」(スタンリー・キューブリック監督、1960年、アメリカ)

2016-03-13 20:56:25 | 映画

                    

 歴史上の事件であるスパルタカスの乱を題材に、映画化された作品です。と言っても紀元前のローマ時代の話ですから、内容はフィクションに近いものでしょう。スケールの大きい映画です。脚本はダルトン・トランボ。


 ストーリーは、「ウィクペディア」を参考に示すと、概略、以下のとおりです。
 共和政ローマ時代のリビア。奴隷が働く鉱山です。トラキア人奴隷のスパルタカス(カーク・ダグラス)は、過酷な労働を強いられ、体力を失って倒れた奴隷を助けたおりに衛兵に抵抗し、飢え死にの刑に処せられます。そこに剣闘士養成所主のバタイアタス(ピーター・ユスティノフ)が見世物に使う剣闘士を探しに現れ、スパルタカスを見出し、カプアにある養成所に引き立てました。 

  養成所でスパルタカスは、バタイアタスと剣闘士上がりの教官マーセラスに目を付けられ、何度も屈辱を味わいます。しかし、そこで働く女奴隷のヴァリニア(ジーン・シモンズ)と好意を持つ間柄になります。

  ある日、ローマの閥族派(オプティマテス)の大物であるクラッサス(ローレンス・オリヴィエ)が養成所を訪れ、剣闘士同士の真剣試合の観戦を所望しました。バタイアタスは真剣試合が剣闘士達に及ぼす悪影響を考えて断りますが、クラッサスは大金を積んで強要します。

  スパルタカスはトリアイナ(矛先が3つに分かれた槍)使いの黒人剣闘士ドラバ(ウディ・ストロード)と闘うことになります。激しい闘いの末スパルタカスは剣を失い、ドラバにとどめを刺される窮地に陥りました。しかしドラバはクラッサスらの命に従わず、スパルタカスを殺すことをやめ、その槍でクラッサスらに襲い掛かかりますが、衛兵に阻まれ殺されてしまいました。ドラバの死体は養成所内に見せしめとして逆さづりにされます。

 クラッサスは、接待に出たヴァリニアが気に入り、バタイアタスから買う約束をして引き上げた。

 売られていくヴァリニアの姿を見たスパルタカスは、怒り狂いマーセラスに襲い掛かり、他の剣闘士とともにマーセラスと衛兵を殺害します。その勢いのって、剣闘士達は養成所を制圧。やがてヴェスヴィオ山中に立てこもり、他の奴隷達をも吸収し、一大勢力になります。その中に、ローマに向かう途中で逃げ出したヴァリニアがまぎれこんでいて、スパルタカスと再開し、結ばれます。 

 ローマでは、奴隷たちが反乱軍を組織し始めてことに対して、元老院の中で、クラッサスの閥族派と対立する民衆派の大物政治家グラッカス(チャールズ・ロートン)がクラッサスの親友グラブラスをたきつけ、彼が指揮するローマ市兵団によって反乱鎮圧に向かわせます。同時に、同じ民衆派の仲間のジュリアス・シーザー(ジョン・ギャヴィン)をローマの留守兵団の司令官に任じます。

 クラッサスはシチリア人の青年奴隷で詩吟を専門とするアントナイナス(トニー・カーティス)を買いますが、彼は隙をみつけてスパルタカスのもとに逃亡してしまいます。相手が奴隷であると油断していたグラブラスは、スパルタカス率いる兵団に奇襲攻撃を受け敗北します。

 スパルタカスの指揮の下、反乱軍は東方のキリキア海賊の船によってイタリアから脱出するため、南イタリアのブリンディジ目指して南下した。これを阻止すべく正規軍であるローマ軍団が投入されたが、いまや数万に膨れ上がったスパルタカスの反乱軍は次から次へとそれらを打ち破った。敵対するクラッサスが奴隷討伐軍の総司令官に任命されて権力を握ることを恐れるグラッカスは、海賊と共謀してスパルタカスを安全に脱出させようとしたが果たせず、ついにクラッサスは元老院によって筆頭執政官兼全軍総司令官に指名され、8個軍団を率いてスパルタカスの討伐に向かうこととなった。

 さて、この結末は・・・。大変長い映画なので、全部を紹介するのは断念!

■配役
スパルタカス( カーク・ダグラス)
クラッサス (ローレンス・オリヴィエ)
ヴァリニア (ジーン・シモンズ)
グラッカス( チャールズ・ロートン)
アントナイナス( トニー・カーティス )
ジュリアス・シーザー( ジョン・ギャヴィン)
ヘレナ( ニナ・フォック)
クリクサス (ジョン・アイアランド)
ティグラネス( ハーバート・ロム)
グラブラス (ジョン・ドール)


「海鮮茶屋 魚國」(小田原市栄町1-1-9 小田原ラスカ2F:tel 0465-24-1187)

2016-03-04 18:02:33 | グルメ

 「相模の地魚・地酒・お米にこだわった 小田原城下町の茶屋」のキャッチフレーズです。

                


  駅の改札を出てまっすぐ進み、すぐ左手に見えます。駅の構内にあります。

  煮魚(あかうお)定食を注文しました。煮汁がかなり色濃く、辛いのかなと思いましたが、そんなことはなく、いい味でした。ご飯もおいしく、煮魚とよく合います。

  店内をみわたすと、カウンターもあり、そこで食事をとっている人もいました。日本酒もたくさん並んでいました。小田原はそう来るところがないですが、一度ここで宿泊をして、おいしいお酒をたしなみたいものです。


「第三の男」(キャロル・リード監督、イギリス、1949年、140分)

2016-03-01 14:55:35 | 映画

                

  しっかり観ていないと、内容が分からなくなります。戦後、4か国(アメリカ、フランス、イギリス、ソ連、要するに連合国側)の共同統治のもとにあったウィーンでおきた事件をサスペンスタッチで描いたものです。

  開巻。戦後のウィーンの街が紹介されます。音楽の都、そして爆撃によって破壊された建物、闇市場。そして共同統治。


  白黒フィルムの利点が生かされ、連合国側の侵攻で破壊されたウィーンの街の不安な空気が醸し出されています。登場人物はたくさんいるので、整理しながら観ないといけません。主要人物は、アメリカの小説家 ホリー・マーチス (ジョゼフ・コットン)、友人のハリー(オーソン・ウェルズ)、   (アリダ・バリ)。全編チターがかき鳴らされます。有名な映画音楽になったので、多くの人が知っているはずです。

  アメリカから来たウィーンにやってきた作家ホリーは、友人のハリーが駅に迎えにきていないのを不審に思います。居住しているはずのアパートに行くと、管理人から今しがたトラックにはねられて亡くなったとの情報を得ます。墓場での葬儀に行くと、ちょうどハリーを入れたお棺が埋められるところでした。若い女性が、ハリーにお別れに来ていました。

  墓場を後にしたホリーは、キャロウェイ少佐に同乗を誘われ応じます。車のなかで話すうち、うちとけ、ホリーは居酒屋に誘われますが、そこでハリーの悪い行状を耳にします。不愉快になったホリーは、キャロウェイに食ってかかりますが、居合わせた下士官に殴られる破目に。

 ホリーは 、キャロウェイに勧められるままに、警察ホテルに宿泊。翌日、飛行機で帰途につくつもりでした。

  そこへクルツ男爵という人物から電話が入ります。クルツはハリーの友人なので、事故のことをホリーに教えたいというのです。ハリーのことが気にかかりだったホリーはクルツにあうと、ハリーは車にひかれたあとクルツ本人とポペスクという男の2人に搬送されたとのこと。
                         


  その後、ホリーは劇場で葬儀で見かけた女性、アンナ・シュミット(アリダ・バリ)にあいます。彼女は実は、ハリーの愛人でした。偽造パスポートを使って、チェコスロバキアからウィーンにいたのです。ホリーは知り合いになったアンナとともにアパートの管理人に真相を聞くことになります。それは、ハリーを搬送したのは2人ではなく3人であったとの情報でした。しかし、そのもう一人が誰かは、わからないと言うのです。第三の男は、いったい誰なのか?  これが映画のタイトルになっています。

  しかし貴重な証言を残した管理人は、何者か(たぶんハリー?)に殺害され、ホリーがその下手人だと疑われます。また、国籍を偽っていたアンナはパスポート偽造の罪でソ連のMPに連行されます。

   進退に窮したホリーはアンナの下宿の付近で「第三の男」ライムと偶然に邂逅します。ライムはペニシリン売り捌きで暗躍していたことを聞かされていたホリーは憲兵に急報します。そこで、ホリーはアンナの釈放と引きかえに彼の逮捕の助力をするようキャロウェイに要請されます。

  ホリーはハリーとプラーター公園の観覧車の上でこれまでの経緯について話し合うなかで、彼の凶悪ぶりを知り、親友を売るもやむを得ずと決意します。ここで、ハリーの名セリフがあります、「「ボルジア家支配のイタリアでの30年間は戦争、テロ、殺人、流血に満ちていたが、結局はミケランジェロ、ダヴィンチ、ルネサンスを生んだ。スイスの同胞愛、そして500年の平和と民主主義はいったい何をもたらした? 鳩時計だよ」。このセリフは、キャロル・リードの脚本になく、オーソン・ウェルズによると伝えられています。

 一方、釈放されたアンナは、自分の釈放とハリー逮捕を交渉にかけたホリーを烈しく責め、ホリーは悩みます。しかし、病院を視察してハリーの蛮行を目のあたりにしたホリーはハリー逮捕作戦に参加することを決意、囮となって彼をカフェに待つことになります。

  現れたライムは事情を知るや否や、地下水道にもぐりこみます。地下の銃撃戦が始まり、追いつめられたハリーはマーチンスの一弾に倒れる。

   「第三の男」の埋葬が行われた日、ホリーは墓地でアンナを待つが、彼女は表情をかたくしたまま一瞥もせず、毅然と彼の前を歩み去って行くのでした。カットなしの長回しです。