【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

【オペラ】ロッシーニ「セビリャの理髪師」(ネーデルランド歌劇場)

2016-05-31 21:54:51 | 音楽/CDの紹介

 「セビリャの理髪師」パイジェッロ版に続いて、ロッシーニ版を観ました。こちらは登場する人間が多く、演出が色彩豊かで、いろいろ工夫があり、愉しめました。
 ロッシーニは13日間でこれを作ったいわれ、その際にそれまでに作った作品のエッセンスをここに盛り込み、それだけによくまとまって構成が見事でした。


■第1幕第1場

 時は18世紀。場所はセヴィリャの医師バルトロ邸。ロジーナに恋心をもったアルマヴィーヴァ伯爵は、彼女にむけてセレナーデを歌うが反応がありません。そこにフィガロがやってきて、カヴァンチーナ<俺は町のなんでも屋だよ>を歌います。伯爵はそのフィガロに報酬をはずむから、ロジーナ攻略作戦を手伝ってくれるように頼みます。
 露台にロジーナがあらわれ、紙きれを一枚落とします。その紙切れには「後見人が煩わしく、外出もままなりません。お名前と御身分を教えてください」とありました。
 若くして莫大な遺産を継いだロジーナの財産を目当にする後見人バルトロはそれを見て怪しみ、取りに行くが、紙切れは伯爵がひろってもうありあません。後見人は怒って外出してしまいます。伯爵はここで歌にたくして、「わたしの名前はリンドーロ、貧しい学生です」と名乗ります。ロジーナはそれに応えようとしますが、何者かに中断されます。伯爵はフィガロに仲介をたのみ、フィガロとの二重唱<不思議な力をもつ金属(お金のこと)のことを思う>を歌う。

■第1幕第2場
 ロジーナはカヴァンチーナ<少し前に聞こえたあのお声は>で、リンドーロへの想いを歌います。バルトロが戻ってきます。そこに音楽教師バジーリオが現われ、伯爵がロジーナを目当てにこの町にきた、この町から追い出しましょう、とアリア<陰口とは>を歌います。しかし、バルトロはすぐに彼女と結婚するのが最良と提案します。
 フィガロが現れ、ロジーナに、ある若者があなたに夢中になっていると告げます。ロジーナは恥ずかしがりながらも喜び、既に書いてあったフィガロに手紙をたくします。そこにバルトロが来て、ロジーナの指にインク跡をみとめ、怒りだします。ロジーナはいいのがれをしますが、バルトロはアリア<わたしのような経験豊かな先生に>を歌い、小娘を威嚇します。
 そこに士官姿の伯爵が酩酊のふりをして闖入し、その夜の宿舎とする命令書を見せます。バルトロは家の宿舎割り当て免除証を見せますが、伯爵はそれを破り捨て、そこに現れたロジーナにこっそり手紙を手渡します。それをみてバルトロは怒り出し、伯爵は戦争ごっこをやるか、と暴れ出す。
 フィガロが仲裁に入ってきますが時遅し、この家の喧騒に兵隊たちがやってきて、隊長は喧噪の張本人として士官を連行使用とすると、隊長に身分証明書を見せます。驚いた兵隊たちの前で、バルトロたちは再び罪のなすり合いを始めます。

■第2幕第1場
 バジーリオの代理とそして伯爵が音楽教師になりすまして現れます。疑うバルトロに伯爵はその朝、ロジーナから受け取った手紙をみせ、それを宿屋で偶然手に入れたと言って渡すので、バルトロは彼を信用します。
 歌の稽古でロジーナはアリア<真実の愛と不屈の愛が>を歌います。フィガロがヒゲをあたりにやってきて、隙をみてバルトロから露台の鍵を抜き取ります。伯爵はどさくさに紛れてロジーナに愛を打ち明けます。
 そこに突然バジーリオが現れ一同驚くが、伯爵は素早く財布をつかませ追い返します。伯爵とロジーナは駆け落ちを約束しますが、二人の様子をいぶかったバルトロに変装を見破られ、伯爵は逃げ出します。バルトロはロジーナに伯爵の不実を説明し、怒った彼女はそれを信じてバルトロとの結婚を承諾します。喜んだバルトロは、公証人を呼び寄せます。

■第2幕第2場
 真夜中、フィガロと伯爵が露台から忍び込んできます。ロジーナは不実者となじるが、伯爵が身分をあかし、誤解がとけます。そこにバルトロが呼んでおいた公証人がやってきたので、二人はその場で結婚していましました。伯爵はバルトロに彼女の財産をすべて与えるので、彼女を妻にくださいと言います。初めから財産目当てで、ロジーナに言い寄っていたバルトロはしぶしぶこれを承知し、幕となります。

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原作:ピエール・ギュスタン・カロン・ド・ボーマルシェの「セビリャの理髪師」
初演:1816年2月20日 アルジェンティーナ歌劇場(ローマ)


【配役】
アルマヴィーヴァ伯爵:マヌエル・ガルシア
バルトロ:バルトロメオ・ボッティチェリ
ロジーナ:ジェルトルーデ・リゲッティ・ジョルジ
フィガロ:ルイージ・サンボーニ
バジーリオ:ゼノビーオ・ヴィタレッリ
ベルタ:エリザベッタ・ロイセレト
フィオレッロ:パオロ・ビアッジェッリ

   ⇦ネーデルランド歌劇場のものではありませんが。


【オペラ】ジョバンニ・パイジェッロ「セビリャの理髪師」(ローマ室内歌劇団)

2016-05-30 18:02:13 | 音楽/CDの紹介

 「セビリャの理髪師」は、ロッシーニ版が有名ですが、今回DVDで観たのはパイジェッロ版です。

 「セビリャの理髪師」は、原作がボーマルシェ(1732-99)です。彼はモリエールのような専門の劇作家ではありませんでしたが、自分の考え方をドラマ(喜劇)という形で一般にしらしめようとしました。ボルテール(1694-1778)と同時代人です。ボルテールは、悲劇という形で社会批判を行っていました。ボーマルシェは、そのボルテールを崇拝していた。
 ボーマルシェが共鳴していたもう一人の作家は、百科全書派のディドロ(1713-84)です。ディドロは悲劇と喜劇の中間に、同時代の社会や家庭を舞台にした真面目なドラマが存在するとして、新しいジャンルの劇を構想しました。
 「セビリャの理髪師」でボーマルシェは被後見人(ロジーナ)がいかにいやらしい後見人から逃げるかを描きました。そこに登場するのがフィガロという床屋です。

 パイジェッロ(1740-1816)の「セビリャの理髪師」は、ボルテールやディドロとも交流があったロシアのエカテリーナ2世がかかわっています。1782年、エカテリナはパリからコメディ・フランセーズを招きましたが、その演目のなかに「セビリャの理髪師」があり、気にいりました。エカテリーナはそこで、当時ロシアにいたパイジェッロに(1776年、エカテリーナの招きで宮廷音楽長になっていた)、これをオペラ化するように命じ、それに応えてできあがったのが、このパイジェッロ版の「セビリャの理髪師」です。初演は1782年9月26日、エルミタージュ帝国劇場です。

 全体がエカテリーナ好みで、上品で洗練されています。面白いのは従僕たちの演技で、これはロッシーニ版の「セビリャの理髪師」にはないものです。

 今回観たDVDは、1970年に大阪フェスティバルホールで公演されたもので、パイジェッロ版のDVD化はこれが最初ではないかと言われています。

・音楽:ジョバンニ・パイジェッロ
・台本:ジュゼッペ・ペトロセッリーニ
・指揮:レナード・ファザーノ
・演出:サンドロ・セクイ
【配役】
アルマヴィーバ伯爵:アルヴィーニオ・ミシアーノ
ロジーナ:エレナ・ズィーリオ
フィガロ:セスト・ブルスカンティーニ
バルトロ:ァルロ・バディオーリ
バジーリオ:プリニオ・クラバッシ
ジョビネット/裁判官:フロンド・アンドレオッリ
ズヴェリアート/公証人:アッティーリオ・ブルキエッラーロ

独奏:ヴィルトィオージ・ディ・ローマ合奏団
演奏:コレギウム・ムジクム・イタリクム


谷崎潤一郎『細雪』中公文庫、1983年

2016-05-26 01:04:07 | 小説

        

 谷崎潤一郎の『細雪』を読了(「長編(大河)小説への道」の第2回目。第1回目はトーマス・マン『ブテンブローグ家の人々』)。1月末から読み始めたので、4カ月かかっているが、3月半ばから4月はまるまる読んでいなかったので実質2か月半で読了したことになる。


 時代は1930年代後半、日本が戦争に向かい、軍靴の音が聞こえてくる時代。舞台設定は芦屋と東京。

 「細雪」という表題だが、内容は「蒔岡家の人々」ということになるであろう。あるいは「蒔岡家の四姉妹」。四姉妹の名前は、鶴子、幸子(ごりょうさん)、雪子(きあんちゃん)、妙子(こいさん)。蒔岡という大阪の船場で旧幕時代から続いた商家(今は斜陽の憂き目にあっている)の姉妹とその家族の日々の生活の様子を、絵巻物のようにゆったりとした時間のなかに描写したものである。流れるような文章が小説の内容によく似合っている。

 四姉妹のうち、上の二人、鶴子と幸子は結婚している。話は雪子の数度のお見合い(縁談)と妙子の破天荒な生活ぶりに蒔岡家の人々はふりまわされるという話である。視点は二女の幸子にある。

 市川昆監督「細雪」とはだいぶ違う。この映画を観て、小説を読む気になったのだが、内容がまるで違うことがわかった。もっともこの大河小説を映画化すとすれば、かなりの部分をざっくり切り落とさなければならないのは自明である。そして市川監督による映画は、大事なところはおさえており、そこに不当な改ざんはない。わたしが言いたいのは、この映画を観て、原作を読んだことには全くならないということだけである。

 例えば、原作にある蒔岡家の隣に外国人が暮らしていて、交流があったとか、大洪水との遭遇、雪子の顔のしみ、彼女のお見合いで蛍鑑賞の場面があること、妙子が大病に罹り死線を彷徨うこと、三宅という男性との間に子ができるが死産すること、などは映画にはまったく出てこない。

 終わりが妙である。ようやく決まった雪子の結婚。雪子は幸子夫妻とともに上京するのであるが、その雪子は数日前から腹具合が悪く、下痢をしている、当日になっても止まらず「汽車に乗ってからもまだ続いていた」と書かれて、終わっている。まことに妙な完結の仕方であり、気になった。


「2016バラまつり」(伊奈町制施行記念公園)

2016-05-19 11:40:04 | 旅行/温泉

     


  伊奈町制施行記念公園で「バラ祭り」が開催されています。昨日は天気がよく、車で25分ほどのところにあるので、出かけました。

 ちょうど盛りの時期でした。薔薇の香りがかすかにただよい、初夏の雰囲気です。種類が非常に多いのに驚かされました。300種以上で、株の数は4800以上とのことです。案内のパンフレットには、それが全部(?)書かれています。

 会期中には、ライトアップ、撮影会、コンサート、YOSAKOIソーラン、薔薇栽培相談会、女性コーラス、太鼓演奏など、イベント満載です。

 

       

       

       

       


退職祝賀会(於:松本楼[池袋キャンパス]) 2016年5月14日

2016-05-18 00:39:33 | その他

      

 わたしが担当していたゼミナールのOB・OGが中心になって、退職送別会を開催してくれました。キャンパスにあるセントポールズ会館の「松本楼」においてです。

 ゼミの卒業生は25年間で200余名でしたが、この日は70名ほどが集まりました。統計学というあまり人気のない(?)ゼミなので、それほど多くの学生が所属していたわけではないですが、それでも年月がたつとこれだけの数になります。

 1991年度卒のゼミ生が第一期生で、そのときの3名が発起人となってくれました。緻密に名簿を作っていたわけではなく、25年の間には異動のため残念ながら消息がわからない学生も多数いましたが、多くの卒業生が集合してくれ、うれしいかぎりです。

 当日はこれなかったものの、ニューヨークにある大学で博士号をとり、現在大学で経済学の講義をしている女性からは、ビデオ・メッセージがありました。

 わたしのゼミ生の進路はまちまちで、なかには医者になったものもいますし、キャビン・アテンダントなった女性(2名)もいます。変わり種が多いです。


 卒業以来、初めてあった学生もいました。みな立派に人生を切り拓いて生活し、仕事をしていました。

 二次会は、池袋北口近くのロサ会館。40名ほどが残り、この二次会から参加したものも数名いました。

 みなさん、たくさん集まってくれて、ありがとう。

 二次会↓ ロサ会館(魚や[ととや])前方で一人潰れている(?)
 


「特別展 黒田清輝-日本近代絵画の巨匠-」(東京国立博物館・平成館)

2016-05-15 00:54:09 | 美術(絵画)/写真

 東京国立博物館・平成館で「特別展 黒田清輝-日本近代絵画の巨匠-」が開催されていました。今日までです。

 黒田清輝と言えば、「読書する女」「湖畔」などで有名です。この展覧会でもこの2点が美術の教科書に出ていた絵画ということを謳っていました。

 全体をみると黒田の大きな、広い画業を知ることできます。黒田は若くして法律を学びにパリに渡りましたが、向こうで画家としての途を進む決意を固めました。そのことを父親に伝える書簡が展示されています。

 黒田は、コランに師事し、頭角を現します。とくに西洋絵画の基本にある人間の肉体の美しさの表現を学ぶようになります。それまでの日本絵画になかったコンセプトでした。しかし、裸婦像は日本の土壌ではなかなか受け入れられず、スキャンダルになったり、批判の対象にもなりましたが、地道にその意味を日本の画壇に浸透させていきます。

 展示会には、黒田がコランらから学んだ裸婦の絵画やデッサン、またミレーなどの影響を受けた庶民の生活をモチーフにした作品、さらに肖像画、花々を描いた作品が、大変たくさん展示され、さながら黒田の芸術活動の全体がわかるように構成されていました。

 昭和20年5月に焼失した旧東京駅には、黒田の天井画があったそうです。空襲で焼けていまはありません。この他、大作が焼けて無くなってしまったようで、残念でした。


          


大相撲夏場所5日目(両国国技館)

2016-05-14 00:34:57 | スポーツ/登山/将棋

 国技館に座布団が舞いました(場内放送で、何度も投げないように注意があったのですが)。結びの一番、関脇の勢が4連勝中の鶴竜を向正面、土俵際で鶴竜が出てくるところを小手投げでほふりました。興奮さめやらぬ中、聡ノ富士が堂々の弓取り。観衆は、「よいしょ」の掛け声に、いつも以上の力が入りました。

 久しぶりに国技館に行きました。秋葉原から総武線で隅田川をわたると、もう相撲情緒が香り始めます。両国で下車、まっすぐ力士幟が翻るなか国技館へ。今回は土俵のすぐ近く、正面のたまり席での観戦です。

 3時ころ、十両の取り組みから見ました。土俵に近いので、力士の髪結に使うびんつけ油の匂いがうっすらとします。十両では小兵の宇良、石浦に声援が飛んでいました。


 呼び出し、行事には美声の人が多いです。よくとおる声で、四股名を呼びあげます。熱戦が多く、力の入った取り組みを堪能しました。横綱白鵬、日馬富士は盤石の勝ち名乗りでした。

 今場所は、毎場所、前半で星をおとしがちな稀勢の里、豪栄道が安定した強みを発揮して勝ち進んでいます。後半戦が、楽しみです。


              


「The Greatest Hits:Delux Version(IL DIVO)」

2016-05-13 11:15:59 | 音楽/CDの紹介

 圧倒的な声量、美しいハーモニー、レパートリーの広さ、三拍子そろったグループです。

   

 このところ、この「IL DIVO」のCDをずっと流しています。どこまでも甘美なウルスの声、透明感のあるデビット、セバスチャンの声、重厚なカルロスの低音、それらがない混ざり、一体感をかもしだしたり、分かれたり、変化があって厚みのあるコーラスです。

 聴いていて、からだのなかのエネルギーがひきだされ、活力がでてきます。とくに朝方に聴くとまだ眠っていた状態の気持ちが覚醒し、何事に対してもやる気が出てきます。不思議な感情です。いい音楽にはそういう力があるのでしょうか?


1. マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン(イル・ミオ・クオーレ・ヴァ)
2. オールウェイズ・ラヴ・ユー(シエンプレ・テ・アマーレ)
3. 好きにならずにいられない
4. アローン (ソロ)
5. アンチェインド・メロディ(センツァ・カテーネ)
6. アメイジング・グレイス
7. ヒーロー
8. アンブレイク・マイ・ハート(レグレサ・ア・ミ)
9. サムホエア
10. パセラ
11. オール・バイ・マイセルフ
12. MAMA
13. アダージョ
14. ウィズアウト・ユー
15. カルーソー
16. アルゼンチンよ、泣かないで
17. マイ・ウェイ
18. タイム・トゥ・セイ・グッバイ
19. 故郷 (日本盤ボーナス・トラック)